4737号
引き続き、フィレンツェ、ピッティ宮殿、美術館。
あまりの美の洪水に、書いたように、かなり一杯一杯。
やっと、外に出てきた。
裏はまた、広大な庭園。
時刻は11:30。
まだ午前中だが、疲れた。
こんなところがある、のである。
まさに、フィレンツェ、メディチ家恐るべし。
庭園の見物はいいや。一度戻ろう。
そうである。
これも後でわかったのだが、このアルノ川の対岸の
ピッティ宮殿とヴェッキオ宮殿は実はつながっていた
のである。
この宮殿から隣の建物、隣の建物と廊下でつながり、
アルノ川のヴェッキオ橋は宝飾店があると書いたが二階建てに
なっており、ここの二階にまた廊下がありつながり、渡る。
この二つの宮殿は直線距離だと700m程度だが、
道を歩けばそこそこの時間がかかる。
トスカーナ大公のメディチ家当主は政務を執るヴェッキオ宮殿と
私生活を送るピッティ宮殿を往復するわけだが、安全に雨にも
ぬれず、建物づたいに歩いて往復できるようになっていた
のである。これもまた、おそるべし、メディチ家。
このツアーもあったよう。ちょっとおもしろそうである。
ホテル近くまで戻り、サンドイッチを買おう。
昨日書いた、カルフールエクスプレスのあるチマトーリ広場。
チマトーリ(cimatori)はイタリア語で剪毛(せんもう)。
「毛織物を仕上げる工程で、織物の表面に出たけばを切」ること
らしい。古くからフィレンツェは毛織物産業が盛んであったが
その関係か。
ともあれ、この広場、こんな感じ、なのだが、ここのフード
トラック[Trippaio del Porcellino](トリッパイオ・デル・
ポルチャリーノ、子豚の胃袋)という名前のよう。
パニーノ(panino、パニーニは複数形らしい)屋台なのだが、
なにを買っていいかよくわからないので、前の人が買った、
ものをおうむ返し、してみた。イタリア語は日本人に
発音しやすいのである。bollito(ボリート)!。
持ち帰り、ホテルの部屋でコーヒーを淹れて、食べる。
ほぐした塩味の豚肉をはさんだもの、で、あった。
シンプルだが、こういうものもうまい、のである。
bollitoはゆで豚のよう。
午後は、内儀(かみ)さんがウフツィ(uffizi)美術館の予約を
していた。午前中のピッティは予約はいらなかったが、こちらは
人気だからか、予約が必要。
場所はヴェッキオ宮殿なのだが、その美術館部分。
uffiziというのは、妙な音だと思ったが、調べると、英語の
officeらしい。なるほど近い。つまり、トスカーナのメディチ
大公の政務を行うのがこちらだから、ということ。
その頃から、収集している美術品を公開していたらしい。
それで、世界初の美術館ともいう。数もピッティよりも
さらに膨大なルネサス期の絵画など美術品を展示している。
まあ、フィレンツェにきたら見なければいけない、という
美術館。
予約の14時を目掛けて、再度出る。窓口で身分証明書
(パスポート)を見せる必要があった。
無事入場。
上になにか書かれているが、ラテン語か、意味はわからず。
廊下。
この天井もピッティほどではないが、美しいではないか。
やはり精緻、なのである。
ただ、プライベート空間のピッティの方が内装は豪華と
いうことか。
ともあれ、ここで見るべきものは最低でも、次あたり、のよう。
受胎告知 、レオナルド・ダ・ヴィンチ(Leonardo da Vinci)。
1472年から1475年頃、とのこと。(正確にはアンドレア・デル・
ヴェロッキオという画家との共作)油彩とテンペラ。
ダビンチの残した絵は数が多くないでのそういう意味では
貴重なものといってよいのだろう。
この“受胎告知”は大天使ガブリエルが、聖母マリアにイエズス
キリストの受胎を告げるシーン。もちろん聖書に出てくる。
カトリックではとても重要な場面。で、ここにも多数の他画家の
“受胎告知”が展示してあった。
シロウト目にも、ただならぬ深さのようなものを感じさせる。
そして、これ。
聖家族、ミケランジェロ・ブオナローティ(Michelangelo di Lodovico
Buonarroti Simoni)1507年頃、油彩とテンペラ。
“聖家族”というのも定番のモチーフ。幼子イエズスキリストと
聖母マリア、聖ヨゼフの家族。バックのちょっと手前に上半身
だけ描かれているのが、洗礼者聖ヨハネとのこと。
ミケランジェロは絵画もあるが、彫刻も多数作品を残している。
ダビンチとは大きな違いであろう。特にフィレンツェでメディチ家
の庇護を強く受けている。私自身は、バチカンのシスティーナ
礼拝堂の有名な天井画も見たことがある。
これもそうだが、あー、あの有名な、という感想。
まあ、絵のこと、特に西洋は、からっきしわからないので
これ以上のことはないのだが。
さて。
ウフィツィ美術館、とにかく数が多い。もうこれでもか、
という感じ。それも、時代や傾向にバラエティーがあるのか
といえば、ない。当然なのだが、すべてルネサンス期のもの。
正直にいうと、マニアというのか、オタクというのか、
ピンポイントでルネサンス絵画の専門家向けの展示であろう、と。
パリのルーブルも展示数も質ももの凄いし、真面目に見ると
かなり疲れるし、もういいよ、と、目一杯になるが、あちらは
西洋の美術品だけでなく古代のものやアフリカだったり
博物館的な色彩もあり、ちょっと気を抜けるところもある。
とにかく、トウシロウにはきつかった。
その上、午前中からのダブルヘッダー、疲れ切ってしまった。
フィエンツェにきたら、見ないのは後悔するだろうが、
見たら見たで、このありさま。ただまあ、これがフィレンツェ
ということであろう。まさに、フィレンツェに酔う。
出てきて、路肩にあったフルーツや。
りんごはFUJI。イタリアでもよく見る。あ、左上、
KAKIもある。調べると、柿は日本固有のものだが、
フランスに入り広まり、イタリアでも栽培されているとのこと。
ともかくも、ほっとひと息。
つづく
Corte Calzaiuoli Elegant Suites
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