浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



そば・浅草 平山

4256号

1月13日(金)第一食

さて、ここ、ご存知であろうか。

開店が2021年11月。1年と少し。
2023年版ミシュランピブグルマン初掲載。

私は、ほぼ毎日のように前を通っていたが
まったく知らなかった。
お洒落な入口は目立たない。

両国の名店[ほそ川]出身、とのこと。

場所は西浅草一丁目。浅草本願寺の東側の通り沿い。
浅草通りから少し入った左側。
拙亭ご近所といってもよい。
これは行ってみなければ、いけなかろう。

まず、昼。
昼のラストオーダーが14時。
直前に入る。

名入りの白くて長い麻の暖簾が掛かって、私は気付かなかったが
小さな店名のプレートがあるだけ。

入ると思いがけず明るい。
大きなテーブル一つと、窓側に二人掛けの
テーブルが二つ。
厨房はオープンでカウンター席もある。

お客は二人掛けテーブルに若めの男女が一組。

入ると、若いお兄さんが対応。
その隣のテーブルに案内される。

寒いので、温かいそばがよい。
真冬でも、ざるしか食べないという人もいるが
私は、やはり冬は温かいかけがよい。

メニュー数は多くない。
小柱のかき揚げ。

これにしようか。

やっぱり、一杯呑もう。
酒の数もいくつか。
吟醸系が多いよう。

一番安い、磯自慢(静岡)特別本醸造
やっぱりぬる燗で。

お兄さんに、なにか、もう一品薦められた。
すすめ上手。

あー、じゃっ、
そら豆の入った卯の花

酒がきた。

左のグラスは水。
お通しのようなものはないよう。

割り箸は両側が細く正目が通っているもの。

割り箸を留めているワンポイント。

店名になぜか、亀。
時折あるが、お洒落である。

卯の花

そら豆と細かく切った鶏肉であろうか。
肉も入っている。

味付けは比較的薄めで、気持ち甘め。

この味、ご主人、そばだけでなく割烹系の
修行もされていると思われる。
丁寧に作られたものとわかる。

食べ終わった頃、そばもきた。

かき揚げは小柱と三つ葉

アップ。

そばは多少太めか。

このかき揚げ、ちょっと驚きである。

むろん意図してであろうが、かき揚げの形がほぼなく
薄い衣を散らしたもの。

これ、ノーマルなかき揚げではないが、よい、と思う。

私が自分でかき揚げを揚げる場合、これよりも
衣は多少しっかりしたものだが、かき揚げの形に
こだわらず、なりゆきで散らしている。

かき揚げをそばに載せる場合、つゆに浸し、くずして
食べるものなので、これでよいのである。

特に小柱の場合、小さいのでしっかりした衣で
包んでしまうと、小柱がどこにあるのか捜索しなければ
いけなくなってしまう。

かき揚げというのは、形にするもの、という
長年の常識が、料理人にも食べる方にもあるが、
目から鱗、かもしれない。

ともあれ。
つゆは、下町浅草界隈のしょうゆの濃さと比べると、
多少薄めに感じるが、一般的なレベルであろう。

うまかった。
ご馳走様でした。
勘定をして、出る。

以前、趣味そば、という言葉を私は使っていた。
町のそばや、藪、砂場などの老舗系など、従来の
東京のそばやに対して脱サラだったり、自己流で
そば打ちを研究して店を開いた、それなりにこだわった
一群のそばやのこと。
料理人の修行をちゃんとしていない。あるいは、
そういった店で働いで独立した、というところ。
むろん、ちゃんとしたところもあるのだが、
千差万別。信者のようなお客もいるが、理屈ばかりで
客商売として首をひねるところもあった。
こういったところ、あまり居心地もよくないので
私は長く近付かないようにしてきた。

やはり、最近、大きく変わってきたようである。
そばだけでなく、割烹だったり和食の修行も
ちゃんとしているところが増えている。
和食の修行をちゃんとしている方は、接客、
お客への対応もちゃんとしている。
またそば以外の肴もむろんしっかりと作られている。

居心地がよく、うまければなんの問題もない。

ただ、そばやなのか?。従来のそばやではない。
居酒屋でもない、そば割烹?。
私自信はまだそのポジショニングにちょいとした
戸惑いがあるのだが、ご近所である、ちょいちょい
これる。愉しみではある。

 

食べログ公式

03-5830-6857
台東区西浅草1-3-14

 

 

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