浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



二長町・ラーメン・天神下大喜・納豆ラーメンと納豆のこと

4211号

11月15日(火)第一食

今日もラーメン。
天神下[大喜]、で、ある。

もうお馴染みであろうが、今月、1日にきて、
煮干ラーメンを食べていた。

やはりひと月に一二回はきたい。
むろん、うまい、のだが、ここは、しばらくこないうちに
変わってしまうことがある。あまりにもバランスの取れた
味なので、どう変わったのかもわからなくなってしまう。

が、今日はちょっと目当てがあった。

なにかというと、納豆。
ここにはラーメンやには珍しい納豆ラーメンというのが
定番である。

納豆というのは、私は東京の人間なのでむろん子供の頃から
食べており、好物といってよいのだが、最近あまり
食べる機会がない。

基本、ここに書いている通り、私は家で白い飯を炊いて
おかずを食べるノーマルな家庭の食生活をしていない。
夜は毎日呑む。飯は食べずにおかずは、酒の肴である。
納豆は通常3パックで売られており、ご飯を食べないと
納豆を食べる機会が少なくなる。納豆だけでは
酒の肴になりにくいではないか。
白い飯とともに食べるのが、納豆は最もうまいのは
言うまでもない。

ここで、余談。

納豆というのは考えてみるとユニークな食い物、
で、ある。藁に付いた納豆菌でゆでた大豆を発酵させた
食べ物。世界的には、近いものがネパールなど「中国
雲南省からタイをはじめとする東南アジアにかけた
地域に」(ウィキ)あるよう。どんなものなのか興味があるが。
ただ味噌、しょうゆなど日本の食の起源になっている
大豆発酵食品の多いメインの中国には同じような糸を引く
納豆はないようである。

納豆のこと、ちょっと考えてみたい。

西日本ではあまり食べられていない、などともいう。
実際に消費量を調べると、東高西低は明らかである。

農水省の数字である。

これは県庁所在地別の納豆の購入状況。
No.1は福島市、次が水戸市、以下、盛岡市山形市
長野市宇都宮市の順。
下位を見てみると、最下位が和歌山市、次が大阪市
神戸市、高松市京都市と続く。
西日本というよりは、近畿であまり食べられていない、
とも見える。試みに九州はどうかとみると20位の東京都
区部に続いて21位に佐賀市、23位に鹿児島市
必ずしも、下位ではない。

ただ、東日本、特に北関東、東北でよく食べられている
ということはいえそうである。

では、納豆の歴史を見てみよう。これも出典はウィキ。

納豆がいつから食べられてきたのか、明解なエビデンス
はないようだが、弥生ではないか、とも。
藁なので、稲作が始まっている弥生時代ということか。
大豆自体は、縄文から栽培されていたよう。
中国などからの渡来ではなく、偶然に生まれ、
自然発生的に作られ食べられるようになったの、か。
室町あたりから一般化し江戸期に盛んに食べられるようになったという。

東北日本で盛んに食べられているのはどうしてであろうか。
これも定説はないようである。
私見である。気候的なもの、食文化的なものであろうか。
どうしても、東北日本は寒冷な気候で歴史的にも飢饉は多い。
大豆は保存もきくし、ゆでればいつでも納豆を作れる。
むろん、うまい。食物の選択肢の一つとして、重宝された
のではなかろうか。

ただ、これだけ日常的で身近な食物なのに、わかっていない
ことが多いというのは、むしろ意外である。
これ自体、不思議である。調べた研究者も少ないのか、
記録に残らないほどの存在であったのか。

さて、さて、閑話休題
そんなことで納豆がどうしても食べたくなり、
ここの納豆ラーメンにたどり着いたというわけである。

昼は14時半までなので、14時到着。

特製納豆ラーメン。

納豆と生の玉子をかき混ぜたもの、であろう、
泡立つ表面。
私も納豆を食べる時には、卵白入りの全卵を合わせ
このくらいに泡立てる。これがうまい。
入っているのは、煮玉子、チャーシュー、白い蒲鉾、
メンマ、きざみ海苔、白髪ねぎ。納豆はひきわり。
そして、わんたんも三つ。

麺は細麺と太麺から選べるが、太麺にした。

気持ちウェーブの入った平打ち太麺。

スープは、ここの煮干系ではなかろうか。
微かに煮干の香り。

また、例によって、ここの一杯はかなりバランスが
取れている。
スープと中華麺とひきわり納豆、全卵、その他の具材。
これらが、混然一体となって、調和をしている。

そもそもラーメンと納豆を合わせようというのは、
どういう発想であろうか。
日本そばでは、ある程度定番になっているが
ラーメンというのは、私は見たことがないと思う。

ただ日本そばの場合も冷たいぶっけかのことが多かろう。
温かいつゆやスープに納豆を入れると、納豆の味は、
落ちる。納豆は熱に弱い。
どのように調整しているのか。
やはり、この一杯の味の設計は達人の技。
トウシロウにはまったく想像もつかない。

流石の納豆ラーメンである。

ご馳走様でした。

おかげで、私の納豆欲も満たされた。

 

台東区台東2-4-4
TEL 03-3834-0348

 

 

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