浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



浅草千束通り・ふぐすっぽん・つち田 その3

4195号

10月16日(日)夜

やっと、千束通りの[つち田]にたどり着いた。

ここの創業は戦後、昭和41年(1966年)だが、
最早立派な老舗といってよいだろう。

元浅草の拙亭からタクシー。
春日通りから国際通り言問通りから千束通りを左に曲がる

一葉桜・小松橋通り、パチンコ屋の交差点で降りる。
17時半。
[つち田]はその先を右に入ったところ。

二階はあったと思うが、そう大きな店ではない。
名乗って奥へ。

掘りごたつ式の座敷、右奥に座る。

ビールをもらって、予定通り、鍋ではなく、
焼きとらふぐのコースを頼む。11,000円也。

まず、煮凝りと左は高野豆腐。

ふぐのコースにはお決まりの煮凝り。
どこのふぐやにも必ずある。

ふぐというのはコラーゲンがたっぷり含まれている。
皮などにも。
今、どうやって作っているのかわからぬが、
それで、ふぐには煮凝りがお決まりになっている
のであろう。

そして、刺身。

ふぐ刺し。
関西風にいうとてっさ、なのであろう。

一人前なのでそう大きな皿ではない。
だが、美しいものである。

ふぐらしくきれいに並べられた刺身と皮、細いねぎ。

ふぐだと水色の青磁の皿に載せるのも見るが
ここは久谷なのか伊万里なのか、手の込んだ赤絵。

こんな皿、家にあったらどうだろうか。
だが、ふぐ以外、なにをのせればよいのか。

一切れにねぎを巻き、ぽん酢しょうゆをつけて
食べる。

ふぐ刺しというのが白身のなかでも、
これだけの地位を占めているのはやはり
それなりのものがあろう。

平目とも鯛とも違っている。
かなりしっかりした歯応え、と、うま味。
香りも。
別格であろう。

ぽん酢しょうゆ。
ぽん酢は橙(だいだい)を絞って作った
自家製という。

やっぱりうまいもんである。

次は、これ。

から揚げ。

これもまた、ふぐのコースでは定番である。

コリコリとしたコラーゲン食感と身のうま味。
香ばしく、カリっと揚がった衣にもしっかり
しょうゆ系の味が付いている。

そろそろ、焼きふぐの準備。

カセットコンロに、焼き網。

焼きふぐ用のふぐ。

下に昆布が敷かれている。
〆てあるのであろう。

やはり骨付きの部分。
ここがうまい、のであろう。

にこやかなおかあさんが、焼いてくれる。

すき焼きやでも、どこでも、ここでお客は絶対に
手を出してはいけない。

まず、100%おこられる。
じっくり見る。

そして、じっくり焼くよう。

こんな感じでよいよう。

味付けは、塩だけ、とのこと。

よく食べていたご近所の[牧野]はもう少し
味が付いていた記憶がある。

素朴、といってよいかもしれぬが、
これはこれで、うまいもんである。

ただでさえふぐは身がしっかりしているうえに、
十分に水分が抜けており

ふぐやにきたら、これもやっぱりもらいたい。

ひれ酒。

お姐さんが、お約束、ふたを取ってマッチをすって

アルコールを飛ばす。

ちょっと色の付いた、熱い酒。
焼いたひれからうま味も出る。
そして、なにより、香りがよい。

雑炊は鍋の最後の愉しみ、ではあるが、
焼きふぐにも雑炊が付く。

これがないと、ふぐのコースにはやはり足らない
のであろう。
身もちゃんと入っている。

デザートもついて、かなりの満腹。

うまかった、うまかった。
ご馳走様でした。

つち田

台東区浅草5-9-7
03-3875-1779

 

 

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