浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



羊のキョフテ

4108号

6月13日(月)夜

さて、羊、で、ある。

羊が食べたくなった。

うちの内儀(かみ)さんは北海道人なので
定期的に羊が食べたくなるようだが、まあ、
私はそこまでではないが。

ともあれ、羊。
羊といえば、ラムチョップ
ラムチョップのカツレツ というのはよくやる。

なにか、新しいネタ探し。

肉といえば、いつもお世話になっている、和知シェフ。

ギョフテ。
といっても、名前も聞いたことはないのだが、
トルコ料理のよう。皆さんも聞いたこともなかろう。
なにかといえば、羊のハンバーグのようなもの。

羊というのは、ラム、マトン、むろん世界中で
食べられている。

なかでも、ご存知であろうか、アラブ。
いや、もっと広く、東アジア、満州からモンゴル、
中央アジア、そしてアラブ、北アフリカロッコまで。
この太平洋から大西洋まで続くベルト地帯に
存在する、羊料理。
クミンが必ず入る。
焼いただけ、ゆでただけに近いものも多いと
思うのだが、羊を食べる料理。
イタリアン、フレンチなどヨーロッパ料理では
羊に必ずクミンを合わせたりはしなかろう。

満州では串に刺して、塩とクミンだけで焼く羊肉串
というのがあり、東京でも食べられる。
西の端のモロッコ、マラケッシュの世界遺産
ジャマエルフナ広場の屋台ではゆでただけの
羊肉をクミン塩だけで食べさせるのを
食べたことがある。あそこには脳みそまであった。

遊牧民系の食文化といってよいのではなかろうか。

トルコ料理というギョフテは、羊の挽肉を
丸めて焼いたもの。
小さめの羊のハンバーグといった感じのもの。
トルコではないが、ドバイでほぼ同じものを
食べたことがある。アラブでは一般的なのであろう。
トルコはアラブとはいわないし、独自のトルコ料理
有名だが、隣のアラブと共通する料理は多いのであろう。
トルコ人も元は遊牧民である。
今の中国、ウイグル系ともいう。

ともあれ、ラムの挽肉。
そんなものは売っていないが、叩けばよいか。
大きなハナマサ秋葉原、浅草千束)に売っている
細切れのような焼肉用、あれを叩こう。

これ以外に材料は、松の実、ピスタチオ。
お約束のクミン。それからシナモンパウダーも。
あとは、玉ねぎ、にんにく。

松の実、ピスタチオも買ってくる。
ピスタチオは、なんとなく、アメリカっぽいが、
調べると、アメリカでも多く栽培されているようだが、
原産地はイランからアフガンあたりのよう。

これ。

これを叩く。

また、クミン、シナモンも家にあるのはホールなので
あたり鉢で粉にしておく。

レシピは1kgなので、肉の量から比例計算して、
ピスタチオは殻を抜いて、17g、松の実は3g。

玉ねぎは1/4個、にんにくは切りがわるいので1片
みじん切り。

クミンとシナモンも混ぜる。

クミンは1kgで大さじ1。そこそこの量。
シナモンは同じく小さじ1。
最後に、塩。塩は肉の1.2%。

こんな感じでいいかな。

これを一口に丸めて、フライパンに
オリーブオイルで焼く。

ふたもして、火を通す。

出来上がり。

ハンバーグというよりは、肉団子。
付け合わせもなにもなし。
フンムスでも作ればよかったかな。
まあ、なにもなしも素朴でよいか。

ただ、味はなかなか複雑。
クミンと塩がベースの味なのだが、
ピスタチオの香りと味が感じられ、リッチ。
ただ、かなり叩いてしまった。
もう少し食感を残してもよかったか。

アラブ系の料理は、こうしたナッツ類も比較的
よく使うかもしれぬ。
干したナツメヤシの実、デーツは素朴なスイーツだが、
ちょっと凝ると、やっぱりピスタチオなどと
合わせて粒菓子になったりもする。

ともあれ、羊とクミンはかなりのクセのある組み合わせ。
においを消すというよりも、助長する?。
私は慣れているが、食べ慣れなければ、きつい人も
いるかもしれぬ。

おまけ。
フライパンに残っていた油・脂にケチャップで
ご飯を炒めてみた。

羊というのは、よく脂が出るのである。
また、この脂が、羊の匂の本体かもしれぬ。
羊くさいケチャップライスができた。

ラム脂のケチャップライスとギョフテ。

アラブもトルコも米は食べる。
これはあり、であろう。

 

 

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