浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



ポークジンジャー

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4030号

2月9日(水)夜

さて、ポークジンジャー。
いわゆる、豚の生姜焼き。

どうしたわけか、少し前からこれが食べたかった。

豚の生姜焼きというと、なんとなく、夏の
イメージが私にはある。
生姜が、夏、なのである。
辛いものは、夏、という連想なのか。

だが、食べたいものは食べたい。

豚の生姜焼きも二種類ある。

ロースのスライスの一枚肉を焼いたもの。

そして、こま切れを玉ねぎとともに炒めたもの。
これなどは、グリルという名前がついてる
洋食やだったり、定食や、学食などにも
よくあったもの。いや、今もそこら中にある。

だが、私は、玉ねぎバージョンではなく、
一枚肉を焼いたものに軍配をあげる。
もちろん材料の値段が違う。
薄くともロースの一枚肉は、こま切れよりは高い。

ただ、あちら、こま切れ玉ねぎ版の方が
むしろ好きな人もいる。
おもしろいものである。

ともあれ、豚ロースの一枚肉の生姜焼き。
たいていは、薄いスライス。
私も、子供の頃から食べているが、
こういうものだと思ってきた。

だが、薄いスライスではなく、とんかつに使う
厚いものを焼いたものがあることを知った。

豚の生姜焼きよりも、とんかつの方が、
“地位”は上であろう。
そのステータスの高い、とんかつ用の豚ロース
厚切りを、ステータスの低い生姜焼きにするのは
とてももったいない感じではないか。
だが、それを犯してまで生姜焼きにする。

やってみたら、やっぱり、こっちの方が
生姜焼きとしたら、薄いスライスのものよりも、
むろんボリューム感がまったく違い、数段
上の食べ応えになる。

厚いとんかつ用のロース切り身の生姜焼きを
食べたら、薄いスライスは食べられなくなる。
以来、私の豚生姜焼きは厚切りになってしまった。

厚切りになると、豚の生姜焼き、ではなく、
どうしても、ポークジンジャー、という
名前を使いたくなるではないか。

と、いうことで、ポークジンジャー。

豚ロースのとんかつ用とキャベツを買出し。
今日の買い物は、内儀(かみ)さんに託す。

キャベツはむろん千切り。
豚の生姜焼きには必要不可欠である。
生姜じょうゆのたれをキャベツにかけて食べたい。

キャベツはあらかじめ千切りにする。

以前は包丁で切っていたが、最近は鉋(かんな)
のようなもっぱらスライサー。
圧倒的に早い。
そこそこ有名なとんかつ専門店でも使っているのを
見て、まあ、プロがやっているならいいか、と
考えたのである。
だが、先日上野の[ぽんた本家]へ開店直後に入ったら
あそこでは、やはり、手で切っていた。
こういう違いは、ちゃんとあるようである。

千切りを作ったら水に漬けておく。
ここは30分は置いておきたい。
1時間ほど漬けたら、水を切り、冷蔵庫へ入れておく。
水気はきちんと切らねばならない。

そして、生姜じょうゆから。

おろした生姜としょうゆ、酒。
おろしたリンゴだったりいろいろなものを入れる
レシピもあるようだが、シンプルなこれで十分、
で、ある。

豚ロース厚切り、片面に塩胡椒。

さらに、片面のみ、小麦粉をまぶす。
これは薄力粉。
ムニエル式ではなく、たれにとろみをつけるため。

フライパンを熱して、油を敷き、ロース肉を投入。

厚いので、じっくり焼きたい。
中火程度。

厚切りのロースを焼くのには、ちょいとした
ノウハウがある。
フライパンを傾け油を寄せ、ここに脂身部分を置き、
脂身を重点的に焼きながら、さらに脂を出す。

まあ、好みだとは思うが、脂身はこんがり焦げ目が付き、
脂をある程度抜いた方がうまい。

こんな感じ。
両面よく焼く。

ここで、たれを投入。

ジュワッと湯気が上がる。

ここで、小麦粉を投入してもよさそうである。
まぶすのではなく。
今度そうしてみようかしら。

たれには、酒も入っているので、煮立て、煮詰める
必要がある。
ただ時間をかけすぎてはいけない。
味が濃すぎてしまうし、キャベツにかける
たれがなくなってしまう。

適当にやめて、仕上がり。

千切りキャベツ盛った皿へ。

ビールを開けて、
あ、そうそう。マヨネーズも。
むろん、キャベツに。

なかなか、いい感じに焼けたのではなかろうか。

うまい、うまい。
やはり、生姜焼きは、厚いロース肉に限る。

 

 

 

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