浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



断腸亭の年越し2022 その1「浅草キッド」~浅草のこと

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4001号

令和4年壬寅2022年
開けましておめでとうございます。

本年が皆様にとってよりよき年でありますよう、
心よりお祈り申し上げます。

また、本年も相変らずの内容でございますが、
相変らず、ご贔屓賜りますよう、お願い申し上げます。

断腸亭

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今年は壬寅。

みずのえとら、ジンインと読む。
ご存知、十干十二支。

丑寅卯の十二支に、甲乙丙丁戊己庚辛壬癸の
十干を組み合わせて十干十二支、毎年順番に
振られている。
江戸時代まで公式の記録であったり男性の書く日記などには
使われていたものである。
これが60年で一周りする。これを還暦という。
そう!、来年癸卯、ミズノトウ年、2023年、
私は還暦である。
押しも押されぬ、ジジイであろう。
一年ぐらい、大差はないので、最早、ジジイ、
でよいのだが。

旧臘(きゅうろう)の最終回でも書いたが、
まだまだ、コロナは予断は許さない状態。
今年、なにかしようと、大上段には振りかぶれないが
まあ、様子を見ながら、ぼちぼちとしていきたい
とは考えている。

さて、一つ、書いてみたいことがある。

これも旧臘、映画と呼んでよいのかわからぬが、
原作ビートたけし劇団ひとり監督脚本のNetflix
配信専用の「浅草キッド」を観た。

浅草六区でも盛んに宣伝しており、やっぱり
観ておいた方がよいだろうと考えた。

たけし氏本人は、照れも含めてであろうが、
あんなきれいなもんじゃないよ、などと
言っていたが、なかなか、よい作品に仕上がって
いたのではなかろうか。おもしろかった。

ストーリー自体は、ビートたけし駆け出しの頃から
氏の師匠である深見千三郎との関係を中心に描かれて
いる。

たけし本人は柳楽優弥。師匠の深見千三郎
大泉洋が演じ、大泉氏は好演といってよいだろう。
主役ではないのであえて抑えた演技をしていた
のだと思うが、やはりこの人、名優であろう。
素の浅草芸人の姿、よかった。
たけし本人は若い頃を含めてリアルタイムで
知っているので柳楽氏の演技は、どうしても補正して
観てしまったような気がしてなんとも評価がしずらい。
違和感はなかった、という感じであろうか。

さて。
2年前に浅草六区にあった浅草松竹演芸場のことを書いた。

この後、ここには書いてはいないが、多少浅草松竹演芸場
のことを調べてみたりしているのだが、浅草の知られざる、
あるいは今となっては忘れられた歴史として、なかなか
おもしろかった。

今は、西友の入っているROXビルの一部になるが
ここに浅草松竹演芸場という小屋があった。
番組は、今もある浅草演芸ホールが落語メインに対して
松竹の方は、いわゆる漫才、コントなど色物中心。
あの萩本欽一坂上二郎コント55号もここから
有名になった。ただやはり、この頃からもう、
TVへ芸人を輩出する場所になっていたのかも
しれない。

ツービートもここで売れて、芸人として、TVへ
巣立っていった。いつ頃かというと、昭和も終わり頃。
その後すぐに、浅草松竹演芸場は閉館してしまう。

ビートたけしという芸人は、やはり、最後の浅草芸人と
いってよい。

当時、浅草松竹演芸場漫才ブームもあって、
お客は入っていたのだが、六区自体の賑わいは
もはや風前の灯であった。
ほぼ一人、気を吐いていた、という状態で
あったといってよかったのではなかろうか。
軒を連ねていた映画館もお客が入らず閉館し
始めたていた頃。

以降、今に至る、というのは、乱暴な話だが、
浅草松竹演芸場閉館後、芸の街という色合いは
ほぼなくなったのかもしれない。

コロナ禍以前は下町ブームなどもあり、一度
火が消えていた浅草自体は観光客は増え、さらに、
外国人観光客が大挙して訪れるようになったので
賑わいは戻ったのだが、芸、エンターテインメントの
街ではなくなって久しかろう。

ただ、ビートたけし氏のほんとうのスタートの小屋
フランス座は、今は東洋館の名前で、漫才協会の定席、
あるいは大衆演劇木馬館、その他独立系の若手が
出演する浅草リトルシアター

他、劇場は、なくはない、のではあるのだが、、、。

浅草で商売されている方はむろんそうではないかろうが
私など住んでいる者としては、国内観光客はまだしも、
外国人観光客でなにか、荒れてしまった感が否めいと
感じていたのは正直のところではあるが、、。

昨年秋の緊急事態宣言解除後は浅草も多少
国内観光客は戻ってきているよう。
コロナ禍はいずれ終わるのだろうが、外国人は
戻ってくるのか。
そして、浅草はどうなるのか。

荒れようがなにしようが、賑わいがなければ、
街としては、終わりであることは言うまでもない。
それはそれで、浅草の姿であろうとは思う。
江戸から数えれば、300年以上の歴史のある
盛り場ではある。やっぱり、たくましく生きていくのが
浅草であろう。

コロナも含めて、予断を許さぬ状況だが、
しっかりと見届けよう。

 

 

 

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