浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



真たらこと白滝の煮もの

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3968号

11月8日(月)第二食

今日は、浅草ロックスの西友で、生の真たらこが
安くなっていたのを買ってきた。
やっぱりスーパーではあまり売られていない
のではなかろうか。西友らしい。

鱈(たら)の季節になり、吉池には少し前から、
真鱈の切り身を始め、真子(まこ)に白子も
並んでいる。

明太子にしたりするいわゆるタラコは、
一般には真鱈ではなく、助宗鱈(スケソウダラ
スケトウダラ)の真子の塩漬けで違うものである。

真鱈の真子は塩蔵ものというのはない。
向かないのであろう。

大方は、煮物、佃煮にもするか。

前に聞いたことがあるが、東北地方では、
冬の代表的な家庭のおかずであると。

白滝と煮るのが定番の組み合わせであろう。
置いておいてもよいものなので、冷蔵庫に
[大原本店]の白滝の細いものの買い置きがある。
あれを煮よう。

帰宅。

これが[大原本店]の白滝。

これは、雷門の牛肉店[松喜]で買ったもの。

[大原本店]
https://ohara.fun/

というのは袋にも書いてあるが、大正元年(1912年)創業。
宮内庁御用達。生麩・湯葉・蒟蒻などの製造会社。

拙亭からもそう遠くない、旧竹町、台東二丁目、
佐竹商店街のちょい南にある。
日本橋[弁松]の折詰にも入っている、江戸・東京の生麩、
つと麩は看板であろう。([弁松]のものがここのもの
かどうかは未調査であるが。)
[大原本店]の白滝もいろいろなものがあるのだが、
[松喜]にいつも置いてあるものは、なぜか細いもの。
毎度書いているが、白滝というものは、
圧倒的に細いものがうまい。

[大原本店]はすき焼きやだったり東京下町の多くの
料理や老舗和食店に商品を入れているようだが、
細い白滝を見ることは多いように思う。
ここのものかもしれぬ。

むろん東京にしかないちくわぶなども作っており、
東京オリジナル、東京ローカルの料理、食い物
というのは、現代東京においては少なくなっているが
それを支える貴重なメーカーといってよいだろう

さて、真たらこは、これ。

300円ちょい。

真たらこの煮もの。
白滝だけでもよいのだが、もう一つなにか入れよう。
昆布などもよいのだろうが、干椎茸にしようか、
一つをお湯に漬け、軽くレンジ。
スライスしておく。

真たらこは、軽く洗って、切る。

ぽろぽろと袋から出てきてしまうので、
注意が必要である。

白滝は一袋全部では多そうなので、半分。

洗って切る。
白滝というのは、そのままでは長いので
半分程度には切った方がよい。
一応、一度湯がく。
ご存知の通りこんにゃく、白滝類には固めるための
凝固剤として水酸化カルシウム消石灰)が入って
いるので、独特のにおいがある。今はあく抜き不要、
というものも売られているが、やっておいた方が
よろしかろう。

鍋に、水、しょうゆ、砂糖、酒。
椎茸の戻し汁、切った椎茸、たらこ、白滝。

煮立てる。

味見。
やはり、濃いめの甘辛がよいだろう。

煮詰めながら、煮込む。

白滝によく味が染みた方がうまかろう。
一度火を止め、置く。

また、煮返す。
冷める時に、味が染みる、というので
やってみている。

二回煮返して、こんなもので、一先ずよいか。
出来上がり。

盛り付け。

一日置いて、もっと白滝に味が染みた方が、うまい、
と思うのだが、今日はこんなところ。

なかなかよく煮えた。

うまい、のではあるが、
かすかに苦みがある。

こういうもの、なのかもしれぬが気になる。
よくよく気を付けて食べてみると、このたらこの
皮が苦いようである。

皮を取ってしまう、という煮方もあるような
気がするが、まあ、これはこれでよいのだろう。

それにしても、日本人というのは魚卵をよく食べる。
世界でもこんなに魚卵を好む民族というのは
他には少ないのではなかろうか。
他に挙げるとするとロシア人か。
いくらというのは、ロシア語であったか。
キャビアもロシアか。

日本人はそんなものではない。
いくら・すじこはもちろん、たらこ。
とびこなんというのは、味はもう一つだが、食べる。
そして、鰊の子の数の子も忘れてはいけない。
正月の祝い料理の一品である。
このあたりは定番で、魚卵だけで流通している。
今日の真鱈の子もうまいし、秋田のはたはたも、
ほぼ卵を食べる。
鰈などでも子持ちが珍重され、いいだこも
同様。名前がそもそも子持ちを前提にしている。
ししゃももほぼ、卵を食べる魚。
琵琶湖の鮒ずしも子持ちが価値がある。

やっぱり、魚卵、うまい、のである。

 

 

 

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