浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



銀座・印度料理・ナイルレストラン

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3966号

11月6日(土)第一食

さて、土曜日。

ちょいと銀座に買い物に出る。

かなり久しぶりかもしれぬ。

折角なので、なにか食べよう。

思い付いたのは[ナイルレストラン]。

カレー、あるいはインド料理。
有名な店なので、皆様も行かれたことが
あるかもしれない。
また、二代目のご主人はメディアにもよく登場し
名物といってよいだろう。
戦後すぐ昭和24年(1949年)創業。東京では草分けと
いってよいだろう。上野[デリー]も古いが
昭和31年(1956年)でやはり[ナイル]の方が古い。

ただ、インド式のカレーでいうと、もっと古いのが新宿の
中村屋]の「カリー」。こちらは戦前の昭和2年
(1927年)に売り出されている。

[ナイルレストラン]は今でも人気であろう。

銀座でカレーを食べようとすると、意外に選択肢は
多くはないことに気が付く。
実は今日は[トップス]へ行こうかと思ったのだが、
閉店してしまったよう。このコロナ禍の影響なのか
わからぬが銀座の[トップス]のカレーは池波レシピで
あったので、やはり残念である。

ともあれ[ナイルレストラン]。
食べようと思ってくると、行列のこともあり、
急いでいる時にはあきらめることも多い。

昔からきているが、なんとも言えず、味がある。
店も、カレーも。

銀座線で稲荷町から銀座まで。
晴海通りを歩き、昭和通りを左に曲がったところ。
15時すぎ到着。

まあ、この時間である。行列はなし。
ドアを開けて、入る。

入ると、いたいた、二代目ナイル氏。
黒いベスト。
もうだいぶ、お年を召されている。

一人、という。

奥のテーブルがあいており、掛ける。
掛けると、ナイル氏、定番でいい?。

あ、はい、ムルギーランチ。(1500円也)

もうここでは、これ以外は頼めないシクミに
なっている。
他の物を頼んだ記憶もあるが、やはりムルギーランチで
よいし、が、よい。

と、二代目ナイル氏、
ビール、呑んどく?、と。

あー、この一言、弱い。
呑むつもりはなかったのだが、、、、勝てない、、
じゃ、はい。

ビールがきた。

お通し?、が付く。

インドの豆せんべい、papad、パーパドというよう。
極薄で塩味。パリパリ、軽く、うまい。

まわりをみると、呑んでいる人は一人もいない。
二代目ナイル氏、皆に言っているわけでもなさそう。
人を選んでいる。
こいつは、呑みそうだ、と、流石の眼力と言わざるを
得まい。

呑み終わる頃、ムルギーランチがきた。

柔らかい鶏の骨付きもも肉入りなのだが、
別の小父さんが、テーブルで、鮮やかな手さばきで
手早く、骨を取り、ほぐしてくれる。

これ、ナイル小父さんがやってくれたともあった
記憶がある。

ほぐしたもの。

これが[ナイルレストラン]看板のムルギーランチ。

ムルギーというと、渋谷の名物カレー店も思い出すが
ヒンディー語で、鶏のことだそうな。

カレーソースに、ほぐした鶏もも肉と、ターメリックライス、
カレー味のキャベツの煮たもの、同じくマッシュポテトが
盛り込まれている。

最近の東京のインドカレーと比べると、ほぼ辛さはない。
香辛料もなにかが突出もしておらず、かなりマイルド。
創業当時戦後すぐの日本人の舌に合わせたものであろう。

ナイル小父さん、皆に、よく混ぜてね~、
混ぜれば混ぜるほど、おいしくなるよ~、
と言ってまわる。

辛さもスパイシーさもほぼないが、
十分にうまいカレー。

マッシュポテトも、キャベツもよいアクセント。

ナイル小父さん、こんな感じだが、会計をして客を
送り出す時には、実に丁寧。
ありがとうございました、ありがとうございます、と
重ねて、言う。

ナイル小父さんは、銀座生まれの、銀座っ子。
ヒとシがいえない?、くらい。
江戸っ子といってもよいかもしれぬ。
実に愛すべき人物。

息子さんで三代目も店に立っている。

ご馳走様でした。
うまかった。

さてさて、銀座[ナイルレストラン]、
これからどうなっていくのか。

 

 


ナイルレストラン

中央区銀座4-10-7
03-3541-8246

 

 

 

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