浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



浅草・弁天山美家古寿司 その2

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3963号

さて、引き続き[弁天山美家古寿司]。

つま二品、にぎりに換えて、平目昆布〆、
すみいかときた。

ここで内儀(かみ)さんが、うに、ってありますか?、
という。

あー、うちはうにといくらは置かないんです、
と、若親方。

やっぱり。
そういう、野暮なことを言うんじゃないよ。
と私。

うにや、いくらを、軍艦で握るようになったのは
いつからなのであろうか。
子供の頃、うになどは食べられるものでは
なかった。
いくらの軍艦は、出前の鮨でもあったと思う。

東京は、鮭を昔から食べていたはずなので
鮨にしていたかどうかはわからぬが、
いくらはあったと思われるのだが。

うにも東京湾でも獲れなくはないので、
食べる人は食べていた、とは思うのだが。

軍艦巻は、にぎれないものを鮨にする
やりかただが、小柱が最初なのでは、
なかろうか。
ここにもあったか。食べた記憶はないが。
柳橋[美家古寿司]系の店には確かにある。

うに、いくら軍艦の起源、私の課題にしよう。

さて。
白身、いかの次は、光物。

小肌、きす、鯖。

小肌。

飾り包丁がきれいである。

身は薄く、よい〆具合。
だがやっぱり、半身でだいぶ大きい。
8月末に自分で〆ている

熊本産で、もう既にこの大きさであった。
まあ、小肌というのは、小さい方が価値があるが、
3年は生きるので、もっと大きくなり、このしろと
名をかえる。

めだかのような小さな新子を出すところがあるが、
こんなものはうまいわけがない。酢の味しかしない。
ただの希少価値。まったくナンセンスである。
喜ぶ者がいるからなのだろうが。

だが、もうちょいと大きくなったものは
ないのであろうか。あるのだが、出回らない?。
と、すると、やっぱりへんではないか。

きす。

これは小さいもの。
一匹を開いてにぎっている。
きれいである。

さば。

今日〆て、まだ浅いものだそう。
炙ってある。
ほんとうはここでは、2、3日置く。

珍しいが、ここではある技、との若親方の言。

次は、目について聞いてみたもの。
かじき昆布〆。

ねっとり、かなりうまい。
また、ここは基本、種を厚く切ってにぎるが、
これもよい。
もちろん酢飯とのバランスを取った上でのこと
だとは思うのだが。

かじきを昆布で〆るのは、北陸でよく見るが、
江戸前にもあったのであろう。

であれば、これも食べねば。
まぐろ赤身づけ。

いつもと、同じであろうか。
なんだか、いつも以上にうまい。
づけだが鮮度?、わからぬが、づけまぐろらしく
濃厚であまいが魚の雑味がまったくない。

そろそろ、終盤。
海老。

内儀さんの希望で、おぼろをはさんだもの。
おぼろ、というのは、白身をほぐして甘味を
つけたもの。むろん昔からの仕事。
薄い甘酢漬けだがこれにおぼろが合う。

赤貝。

これも、酢洗いしてあるよう。
やっぱり、高いのかちょっと小ぶり。

巻物。
鉄火と、やっぱり内儀さんの希望でおぼろ巻き。

叩いたもの。
赤身であろうか、叩いた方が、うまい。

おぼろ巻き。

おぼろだけでなく、玉子にかんぴょうも
入れてくれて、甘いたれも。
それぞれ、この店ではこの三つ+α、
かわったものではないが、揃って巻くと
とっても豪勢。
よいではないか。

これで、お勘定。

うまかったし、もちろん大満足。

これ以上でも以下でもない、必要十分の
うまい江戸前のにぎり鮨、で、ある。

勘定は、ビール二本と酒一合入れて、二人で
19580円也。
やっぱり、安いのではなかろうか。

ご馳走様でした。

 


弁天山美家古寿司

台東区浅草2-1-16
03-3844-0034

 

 

 

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