さて、今日は二本。
3876号
6月10日(木)第一食
そば上野翁庵
天気がよく、もはや暑い。
ただやっぱり、外へ出ると湿度はそこまで高くはない、
のであろう。自転車で走ると気持ちはよい。
今日も、昼時をすぎてしまい、3時近く。
こんな時には、通しでやっている、上野のそばや
[翁庵]。
ここも、このところお馴染み。
浅草通りへ出てもよいのだが、元浅草から
裏通りを通って、向かう。
下谷神社裏を通り、永寿病院の北から、
上野警察前の交差点に出てくる。
そして[翁庵]。
暖簾を分けて入ると、右側に帳場。
まだ、女将さんが陣取っておられる。
時刻を外れると、食券制ではなくなるのだが、
勘定を払い、ねぎせいろの食券を受け取る。
やっぱり、一番奥、調理場に背を向けた椅子に
掛ける。
ねぎせいろ。
緑がかったせいろのそばと、
そばつゆに小さなかき揚げとねぎ。
この組み合わせはここだけのもの。
そばつゆにかき揚げを浮かべたものは、かなり珍しいが
室町[砂場]
に天ざるという名前である。
他には私は知らない。
まったく不思議である。
上野[翁庵]は明治の頃だが、神楽坂[翁庵]の
分かれ、という。
神楽坂[翁庵]には、今はない。
以前あったのかもしれないが。
なんらか室町[砂場]から伝わったのか。
ともあれ。
どう食べてももいいのだろうが、
私は先に、少しかき揚げを食べ、そばをつける
場所を作り、そばをつけ、手繰る。
別段、びっくりするほどのものではないが、
うまいそばである。
6月11日(金)第二食
うなぎ小島町やしま
今日は、内儀(かみ)さんの希望。
うなぎが食いたいと。
食べている。
ご近所、お馴染みの小島町交差点脇の
[やしま]。
ここのところ、持ち帰りを頼んでいる。
内儀さんが頼みに行き、夕方、約束の時刻に
ピックアップしてきた。
簡易のクーラーボックスになっている
バッグに入れてくれる。
白焼きと、うな重。
白焼きには、なんと、皮をむいてすぐにおろせるように
した生のわさびをつけて下さっている。
内儀さんがおろして、用意する。
もちろん、まだ温かい。
いつも以上に、うまいような気がする。
やはり、生のわさびはよい。
また、これ、家に常備してあるものよりも
確実によいもの。
香り、辛み、ねばり、、やはりプロの使うもの、か。
それにしても、うなぎの白焼きというのは、
うまいものである。
毎度書いているが、うなぎの白焼きというのは、
例えば、東京以外でも食べられるが、やはり、
東京のちゃんとしたうなぎやのものにはかなわない。
東京人が長年愛してきた、乙で粋な味。
これに尽きる。
お重。
店とおそらく同じ、お新香付き。
こちらも[やしま]自慢のものといってよい。
べたべたしない、キリっと、辛口。
浅草らしい、江戸前の味。
やっぱり、これ、久しぶりだからかもしれぬ。
そうそう、この味。
夢中で掻っ込みたくなる。
今まで、うなぎは店で食べるもの、であった。
どちらがよいかと言われれば、やっぱり、
ほんとうは店で食べたい、と思う。
だが、待て。
考えてみれば、伝統的には、うなぎの出前というのは、
もちろん存在していた。
かの麻布[野田岩]は、六代目菊五郎宅に
出前をしていたよう。
落語では店で食べる描写がほとんどだが、
お客がきたり、それなりの家は取ることも
よくあることであった。
自分の子供の頃の記憶でも、出前で最上級の食い物
であった。
してみると、こんな家で食べるうなぎも
あり、か。
むしろ、贅沢、なのかもしれぬ。
ご馳走様でした。
おいしかった。
03-3851-2108
台東区小島2-18-19
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