10月7日(月)第一食
さて。
なにを食べようか。
秋。
松茸!。
どうであろうか。
野菜売り場には9月に入った頃からであろうか、出始めている。
海外産で、それも例年通り高価。
本来、東京者の私には、松茸を食べる習慣はなかった。
いや、今もない。
東京はおろか、関東地方では松茸が採れるところは皆無ではない
ようだが、ほぼないといってよいだろう。
だが、東京の身近な食い物やでも秋になると意外に品書きに
のるようになるところがあるのである。
よく食べていたのが、鰻や、
神楽坂の[志満金]。
ここなん年か、土瓶蒸しを食べていた。
産地の方であれば、しこたま焼いて食べる。
これが本当の愉しみ方なのであろうが、私などは
土瓶蒸しで十分。
そして、そばやにもある。
雷門通りの[尾張屋]で松茸ののった温かい松茸そばを
食べた記憶がある。
町のそばやにはさすがにないと思うのだが、
そこそこのところであれば、松茸ののったそばなどを
出すようになる。
行ってみようかしら。
行ってみたのは、上野の[藪そば]。
ここに松茸があったかどうか、わからないのだが、
まあなにか、秋らしいものがあるだろう、と。
昼のお客が少なくなる、1時すぎ。
やはり、そう混んではいない。
カウンターへ。
品書きを見る。
お!。
あったあった。
松茸そばに、なんと土瓶蒸しも。
松茸そばよりは、やはり土瓶蒸しであろう。
土瓶蒸しとなると、一杯やろう。
お酒、冷(ひや)と土瓶蒸し。
女将さんに言ってみる。
さて、なにがくるか。
冷(ひや)というのは、むろんお燗をしていない酒のこと。
冷やした酒ではない。常温なんという野暮な言葉はやめようではないか。
きた。
お銚子に触ってみる。
ん!。
注いで、呑む。
はい。正しく冷(ひや)。
土瓶蒸しは名の通り、蒸すのであろう、多少時間がかかり、
そば味噌をなめながら一杯、二杯。
隣に若い白人の外国人のカップルが座った。
なにを頼むのか、聞き耳を立てる。
男性は、ビールを。女性はコーラ。
どうも、男性の方が日本好きのよう。
そばはなにを頼むのか、聞き落としたが。
きた。
ふたを開ける。
松茸、三つ葉、魚、結んだ蒲鉾、銀杏も入っている。
柚子を絞って、飲み、つまむ。
ほんの、気持ち、かもしれぬが、よい香りとよい歯ざわり。
一緒に入っている魚は、なんであろうか。
ハモなどが多いと思うが、、、穴子?。
よく見ると、骨切りのような細かい包丁が入っている。
が、小骨はある。
穴子か?。
終わりが見えてきたら、せいろを頼む。
気のせいかほんのり、緑がかっているよう。
これは新そば?。
新そばになると、貼紙がされる。
どこか、他の蕎麦やで今年、もう見かけた記憶があるが、
ここはまだないので違うのかもしれぬが。
つゆをそば猪口に移し、ねぎを1/3ほど入れる。
わさびを端先につけ、一口分そばをつまみ、先の方だけ
つゆにひたし、一気にたぐる。
上々。
一噛み、二噛み、三噛みほどで、飲み込む。
どんどん、たぐる。
やはり、そばはどんどんたぐらねば。
ふう。うまかった、うまかった。
ご馳走様でした。
秋、である。
台東区上野6-9-16
03-3831-4728