浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



断腸亭ハワイ島へ行く。その6

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今日も特別配信で。

ワイ島ワイピオバレー。

ハワイアンの元来の生活を矢口祐人先生の「ハワイの歴史と文化」
中公新書

からみている。

生業、経済活動はどうであったのか。

昨日書いた、川沿いの三角形の扇状地の古いハワイアンの共同生活単位である
アフプアアでの話である。

「山の木々はカヌーや住居の材料に」なり「山には薬草も生えていた」。
「山を少し下ったところには、主食のひとつであるバナナの林があった。」
その他「ティ」と呼ばれる植物は葉は衣服、肉や魚を包んで石焼にする
調理用、根は発酵させて酒にする他に霊力があるとされ、種々の儀礼など
幅広く使われるものであった。

そして、昨日出したが、タロ(カロ)らしきもの。

「蒸してペースト状に練り、水でのばし、数日おいて発酵させてから
食べるもの」であったようである。

「海岸沿いにはココナッツの木。沖では盛んに漁業が行われていた。」

驚くべきは、魚の養殖技術が発達していたということ。

昨日出したこの写真。
右上の方に池のようなものがちょいと見えると思う。
これがそうなのかはわからないが、ハワイには「平均東京ドーム1.5倍」の
大きさの養殖池があったという。「塩水、半塩水、淡水池があり、
さまざまな種類の魚介類が養殖されていた」というのである。

また「アフプアアには豚、鶏、犬が食用として飼育されていた。」。

実際にワイピオを歩いていると姿は見えなかったが、
いかにも動物を飼っている匂いがしていた、豚のような。
ただ、以前は豚は儀式用で日常的には鶏と犬を食べていた、
とのことである。

「住人の多くは海岸そばに住んで、住居の近くに菜園用の小さな
畑を営みながら、少し登ったところにあるタロ畑で農作業をしていた。」

私有地はなく、土地はすべて神のもので王が管理している。

矢口先生によればこんなものがハワイアンの古い生活であったようである。

さて、ワイピオの荒れた道を谷の奥に向かって歩いていく。

塀がありきれいにしている。人の住まいであろう。

路肩にこんな看板も。

(Mahaloはハワイ語でThank you.である。)

迷惑ですよ!。
「入ってくるな」オーラ全開である。

あ~、、、やはり。
戻ろうか。

あの、28度の急坂1300mを今度は登らねばならぬと
考えると途方に暮れるが。
だが、ここで行き倒れてしまうわけにもいかない。

汗だくになりながら、途中、それこそ10mごとに休みながら
重い足を前に出し、ノロノロと登る。

登っていると、たまにツアーやらの四駆が行きかうのだが、
歩いている方が邪魔な感じ。

と、ある、下りのピックアップトラックが止まり、太った
ハワイアンらしい若い女性が助手席から下りてきた。
彼女はサササっと路肩の丸い石にペットボトルの水をかけて、
再び車に戻り、下って行った。

花と植物も供えられていた。

(赤い葉っぱが前記の「ティ」のよう。)

なんであろうか。
ここがワイピオの入り口ということか。
入るための、ご挨拶?、儀礼であったのか。
おそらくその関係であろう。
やはりハワイアンにとってここは特別な土地だからか。

おそろしい時間をかけて、ヘロヘロになって展望台まで
たどり着いた。

いやー。
私などは、どう考えても、ツアーでくるべきであった。
そうすればある程度、タロの田んぼなど見せてももらえた
のかもしれぬ。

だがまあ、運動になったことは確か、なのだが。

こんなページを見つけた。

アロハアイナエコツアーというところの情報。
以前にNHKの取材があった時のことのようである。
(タロを発酵させていると、書かれている。)

ワイピオには50人ほどの人が住んでいるという。

後で聞くと、以前にはもっと人が多く、小学校もあるほどの
村であったようである。それがある日、津波で根こそぎ
さらわれた。(1960年のチリ津波であろうか。未確認)
ただ死者は一人も出なかったという。
これは、ここがカメハメハIゆかりの場所であり、
「マナ(特別な霊力)」で守ってくれた、などとも
いわれたという。

その後、ここに古いハワイアンの生活を再現して
暮らす人々が現れ(残り?)今に至っている、ということか。

ともあれ。
ワイピオバレー、なかなかの場所であった。
これがハワイ。ハワイアンの原風景で、よいのか。

ホノカアのKatsu Gotoと合わせて、ハワイの少し深い部分を
知ることができたのは私にとっては大収穫であった。

絶景や史跡を漫然と眺めたり、マリンスポーツをするのももちろん
よいのだが、私のようなものは、知らない土地に行くのであれば、
こういうことを本当はしたかったのである。

ヘトヘトなので、車に戻ってすぐに帰路につく。

へんな時間に細切れに食べているのだが、遅い
ランチに途中のワイメアでマックに寄る。

ビッグマック、というと、バイトのお嬢ちゃんが
ミールか?と聞く。これになんとなく、イエスと答えた。

開けてみると、げっ?。なんとビッグマックが二つ。

そしてポテトと飲み物。

$12もしていたので、おかしいと思ったのではある。
2個のセットが“ミール”という名前であったようなのである。
しかし、同じものを2個食べる人がいるのか?。
2個食べるにしても、普通別のものにしたいと思わないか?。

 

 

 

 

つづく

 

 

 

 

参考:「ハワイの歴史と文化」矢口祐人

ハワイ王国」矢口祐人