浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



京都・奈良漬・田中長

dancyotei2018-04-16



4月12日(木)夜


さて、奈良漬け、である。


ちょっと、興味を持って京都の老舗のものを調べて
取り寄せてみた。


奈良漬けというもの、皆様はお好きであろうか。


まあ、子供が好きなものでもないが、
元来小さい頃から酒に弱い体質の私は味も濃く
匂いも強い奈良漬けは苦手で、大人になっても
あまり積極的に食べたいものではなかった。


食べたいと思うようになったのは
50近くなってからではなかろうか。
以来、ぽつぽつと買って食べるようになつた。


奈良漬けといえば、うなぎ。
うなぎといえば、奈良漬け。


先週であったか、東京駅の八重洲口を歩いていたら
大丸の液晶画面の広告が目に入ってきた。
なにかというと、うなぎ弁当。
ご飯の上にのった蒲焼と脇に添えられた奈良漬け
薄切り三切れほど。


これを見て無性にうなぎが食べたくなり
地下に入っている[伊勢定]で蒲焼の
中串を買って帰ったのてあった。


この時はこれを食べて終わったのだが、
数日後に、NHKのBSで「京都人の密かな愉しみ」という
ドキュメント風のドラマを視ていたら、京都の
老舗奈良漬け店というのが出てきた。


それで、うなぎを食べて満足していた頭が
再び奈良漬けを思い出したのであった。


奈良漬けといえば、やはり奈良が本場
なのであろうが、京都に老舗奈良漬け屋がある?。
おそらく、あるのであろう。
あの番組は、そういう作りのようだし。


調べてみると、案の定、あった。


それが、タイトルの[田中長]というところ。
そして、さっそく瓜の奈良漬けを
取り寄せてみたのてあった。


さてさて、奈良漬け。


奈良漬けというのはなんであろうか。


全国的には粕漬け、であろう。
農家や一般の家庭でも漬ける習慣があるところもあろう。
母の出身の長野県の諏訪に住んでいた伯母は
漬物が得意で、粕漬けもいろいろは野菜で
漬けていた。
ただやはり、いわゆる奈良漬けの濃い強い味とは
多少違っていたのではなかろうか。


奈良の粕漬けが、奈良漬けのはずだが、
奈良でなくともああいう濃く漬けた粕漬けを
一般に奈良漬けといってたのであろう。


奈良に奈良漬け屋があるのは知っていたが、
ちょっと奈良漬けの起源を調べてみた。


すると、驚いた。
やはり、700年頃というから文字通り奈良時代には
あったという記録があるらしい。
もちろん、平城京で。(ウィキペディア


と、いうことは、既に酒粕があったということ。
つまり酒があった。
当時はしぼらず、上澄みを呑み、下に沈んだものが
酒粕であったようではあるが。


以来、で、あるから1600年の歴史がある食いもの
と、いうことである。


おそるべし、奈良漬け。
(ついでに、日本酒も!。)


そして、うなぎ蒲焼とのコンビのこと。


これはどうも、わからない。


少なくとも、江戸期ではないようである。
明治になってから。


明治のどのあたりかも、わからない。


当時うなぎを盛んに食べていたところであろうが、
大阪であろうか。今はあまり食べていないが、、、。
奈良漬けはやはり関西の方が関東よりもよく食べられていた
とすれば、京都、大阪、奈良からか。
あるいは、うなぎ好きな名古屋?。
それとも、関西から奈良漬けが入ってきて、
うなぎ大好きな、東京人が始めたか。
はっきりとは、わからない。
私の宿題にしておこう。


与太話ばかりではいけない。


肝心の京の奈良漬け。


瓜一本。


紙の包み。



[田中長奈良漬店]であるが、製品の名前は
味醂漬といっている。


寛政元年創業。もともと味醂醸造をしていた
という。(酒粕ではなく、味醂粕を使っているのか
両方なのか、詳細は秘密なのであろう。)


いずれにしても漬かるまで、2年かかっているとのこと。
都錦というのは、味醂を作っていた頃の商標。

でかい瓜である。

開けて、洗って、切る。

濃厚。


だが、いやみというのか、とがったところがなく
実にまろやか。


白い飯にも、、、、、


もちろん、うな丼にも、あうぞ!。





田中長奈良漬店