浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



酸辣湯麺・五反田・刀削麺・西安飯荘

3月15日(木)昼


木曜日、昼。


今日は、五反田オフィスのご近所。
ご多分に漏れず花粉がひどいのだが、
辛いものはどうだろうか。
よくわからぬが、汗をかけば多少すっきり
するかもしれぬ。


前にも書いているが刀削麺西安飯荘]。
ここが西安料理なのかどうかは
よくわからぬが、辛めの刀削麺がうまいので
オフィスにいれば、週一回程度は食べにくる。


ただし、あまり寒い頃には、汗をかくのも逆に寒くなるので
ちょっと控えていたところでもある。


入って、テーブルに掛ける。
大きなテーブルに相席。


辛い麺はいくつもある。


麻辣麺、麻婆麺、担々麺その他いくつかあるが、
ここではまだ食べたことはなかったかと思うが、
酸辣湯麺にしようか。


酸辣湯というのは四川などの酸っぱ辛いスープ。


ここに麺を入れたもので、中国ではなく
日本で生まれたもの。


私は、今、メニューにあるかどうかわからぬが、
市ヶ谷の[中国飯店]で二日酔いの時に、よく食べていた。


酸辣湯麺の酸味と辛さが二日酔いにはちょうどよかった。



[中国飯店]は上品かつ誰にでも食べられる
中国料理で定評があったが、酸辣湯麺も万人が食べられるが
深い味であった。


[中国飯店]のものはラー油が入っているのか
スープは赤かった。具は細く切った豆腐、中国ハム、
きくらげなどが入った玉子のかきたま。
辛さは激辛ではなく、そこそこ。


酸辣湯は一般にはラー油あどの唐辛子系の辛さよりも、
胡椒をメインにした辛味といわれている。


さて、ここのものはどうか。


いつものことだが、この店の昼はとても活気がある。
私も含め、近所の会社員、OLで一杯。
刀削麺以外に定食もある。
この界隈、中国人のやっている中華店も多いが、
このにぎわいはやはり、うまいからであろう。


きた、酸辣湯麺



お!。


赤くない。


唐辛子系ではなく胡椒系か。


具は豆腐、筍、きくらげ、豚肉などの入った
かきたま。


味は?。


ん!。


やはりそこそこ辛い。
胡椒の辛さ。
しびれる辛さ、麻はないので花椒は入っていないよう。


赤味がないので、唐辛子系は使っていないのか。
胡椒だけでここまで辛くできるのか、
という辛さ、で、ある。


胡椒自体の粒のようなものは見当たらないので
細かいパウダーなのか、随分と入っている
のであろう。


ここは麻婆麺などもそうだが、かなり
片栗のとろみが強く、スープというよりも
混ぜそばのような感じになる。


刀削麺は極太のため、この方が麺に絡みやすく
よいかもしれぬ。


辛さだけでなく酸味も強い。


刺激は強いが、これもうまい酸辣湯麺では
なかろうか。


しばらく食べると、汗が噴き出してくる。


うまかった、うまかった。


やはり、辛いものを食べると、
なんとなく身体に喝が入るような気がする。


ご馳走様。


しかし、酸辣湯(麺)はなぜ唐辛子ではなく、
胡椒なのであろうか。


どういう使い分けか。
見てくれの問題であろうか。


スープなので、真っ赤、か、よりも
透明な方が、上品に見えてよかったからか。


コショウの漢字表記、胡椒の“胡”は、西胡、
東胡などといって、中国から見て西方・北方の異民族、
匈奴だったり、ペルシャ
胡瓜(きゅうり)、胡弓(こきゅう)などもそうだが、
北西異民族、シルクロード経由で入ってきたもの、
ということになる。


胡椒自体の原産地はインド南部。
今の生産地は、インド、インドネシア、マレーシア、
ベトナムスリランカ、ブラジル、カンボジアなど。
熱帯系で、今でも胡椒は中国ではあまり作られていないのでは
なかろうか。


とすると、中国料理では胡椒を多用するのは
最近のこと、なのではなかろうか。
酸辣湯麺、ちょっとおもしろい。





西安飯荘
品川区 西五反田2-10-8 ドルミ五反田ドゥメゾン109
03-3492-9068