浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



上野・とんかつ・井泉本店

dancyotei2017-04-17

4月14日(金)夜

金曜日。

とんかつを食おう。

久しぶりに、上野[井泉]で、ある。

この日記のページを繰ってみると昨年の12月であった。

しばらくのご無沙汰。

今日はかなり暖かかった。
20℃を越えてたのか。

もうほぼ桜も終わり。

今年の桜は、開花宣言が早く、その後寒くなり
開いているものはほぼなく、実感としてはとても
咲いている気分ではなかった。

どこの桜も開き始めてからは、やはり感覚としての満開は
一週間ほどで、先週。
今週は散り始め、名残の桜。

この時期は、川沿いに植えられたところなどは、
川面に花びらが一面に漂う、花筏(はないかだ)の頃。

開花宣言から開花の進行、散る様、それぞれに合わせて、
愉しみを細かく感じるというのも桜花ならではであろう。

今週、五反田のオフィスそばの目黒川もこの花筏が美しかった。
なにかのニュースであったか、目黒川の花筏
都が専用のボートで回収しているとやっていた。
東京湾に行くのかと思うと、川底に沈殿してヘドロになるという。
自然に分解しないのか。
底もコンクリートで固められて、もはや循環する生態系など
存在していない、ということなのであろう。

川はインフラであるが、本来は自然の生態系の重要な
構成要素であったはずである。
しかし、単なる排水機能としてのインフラのみになってしまっている。
底のコンクリートを元に戻したいと思っても、東京などの場合
安定した治水、排水機能のためにはそれも難しいのであろう。

目黒川以外でも神田川などは、江戸川橋あたりの花筏
毎年美しい。
一方で神田川は毎年台風の時期には増水、低い地域での浸水を
繰り返していた。このため、後楽園あたりに巨大な
地下遊水スペースができている。
東京の川はもはや後戻りができないところまできてしまっている
ということなのであろう。

閑話休題

上野のとんかつや[井泉]、で、あった。

上野の山の桜花ももう終わり。

御徒町の駅を降りて春日通りを歩き、広小路。
交差点を渡って、一本目の路地を左に入る。
道なりに右に折れ、角の店。

19時少し前、
暖簾を分けて格子を開けて、入る。

カウンターは奥があいている。

一人、といって、奥のカウンターに掛ける。

このところ、ここへくると頼むメニューが
決まってしまった。

ビールに、かにとキュウリのサラダと、特ロース。
ご飯と豚汁は、なし。

アルコールを頼むとかならず、お通しの塩辛は要りますか
とお姐さんが聞いてくる。
これは有料なのだが、なぜ塩辛なのであろうか。
池波先生ではないが、以前はビールよりはお酒を
頼む方が普通だったのか。
むろん、これはいらない。

ビールがくる。

調理場の中をゆっくり眺めながら、待つ。

ほどなく、かにときゅうりのサラダもくる。

毎度書いているが、これが他にはない味。
マヨネーズで和えられているが、
きゅうりがこれ以上ないというくらいに、パリパリ。

うまい。

お客もどんどん入り、呑む人もそう多くなく、
どんどんと回転している。

調理場もフル回転。

男女比でいえば、男のお客の方が多いか。
サラリーマンの一人客。
新入社員ぐらいの若い人もいる。
大学生らしい息子を連れた年配のお父さん。

ちょっと年配の男性に少し若い女性、わけあり風?の
二人連れ。同伴というのでもない。
大学の先生に秘書、あるいは助手。
ここは意外にこういう組み合わせは多いのでは
なかろうか。

ともあれ、きた。

よい色に揚がった、特ロース。

かつにもキャベツにもソースをかけ、
からしを皿脇に取って食べる。

ここのロースは、脂身らしい脂身は付いてない。

お箸できれるが、キャッチフレーズ。
その名の通り、柔らか。

そしてなにより、ラードで揚げていると思うが、
独特のサクサクで香ばしい衣が特徴であろう。
パン粉にも工夫があるのかもしれない。

油切れもとてもよい。

うまかった。

混んでいるので、すぐに席を立って、帳場でお勘定。

ちょうど3,000円。

ありがとうございましたぁ〜。

ご馳走様でした。

うまかった。

 

 

 


井泉本店


文京区湯島3-40−3
TEL 03-3834-2901