浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



浅草寿・とんかつ・すぎ田


2月10日(日)夜


日曜日。


夜は内儀(かみ)さんの希望で、
浅草寿のとんかつ[すぎ田]。


歩いて5〜6分。ご近所といってもよい近くの店で、


もっとも有名な店かもしれない。
このところ、ミシュランのピブグルマンには
継続して選ばれているようである。


一応、5時に予約をして出る。
むろん、歩き。


ちょうど拙亭の前から真っ直ぐ東。
新堀通りを越えて、寿の出張所をすぎて国際通り
右に曲がって、春日通りの交差点手前左側。


5分前であった。


入ってしまう。


名前をいって、カウンターに掛ける。


と、我々の後から、どんどんとお客が入ってくる。
なかなかなもの、で、ある。
一人のお客、夫婦のお客、家族のお客。


ビールをもらって、品書きを見る。


大きな海老フライとロースカツと、ロースソテーと
判で押したように、いつも注文は決まっているのだが、、、、。


お!。


カキフライがある。


ここでカキフライを見るのは初めてではなかろうか。
そう。
数日前、上野の[ぽん多]で食べたばかり、ではあるが、
ここの初物、ぜひ試して見ねばなるまい。


いつもの海老フライをカキフライに変更。


カキフライ、ロースカツ、ロースソテー。


一時にお客が入ってきたので、
てん手古舞。


別段、急ぐ身でもなし、ビールを呑みながら
ゆっくり待とう。


頑固親爺を絵に描いたような、先代が亡くなってから
もうなん年たったのであろうか。


もうほぼ、二代目の店になっているといってよい。


先代の頃、私がここにくるようになってからは
新しいメニューなど見たことはなかった。
今シーズンから、カキフライを始めたのは、
二代目にも余裕が出てきたということなのであろう。


二代目とその女将さん、そして先代の女将さん、
それにお姐さん二人。


二代目はこの店で育ったのであろうし、
女将さんも浅草育ちのよう。
気取らない下町浅草の空気が家族からは漂っている。


確か、先代は浅草の人ではなかったと思われる。
この空気はもしかすると、先代存命の頃よりも
強いかもしれない。


カキフライから。

これはカツを揚げる二つの油鍋とは別の三つ目の揚げ鍋で
揚げていた。
カツとはまた違った油温なのであろう。


先日の[ぽん多]に負けず劣らずの大きさ。
揚げ色は少し濃い。


これもやはり塩で食べる。


味も負けず劣らず。
満を持して投入の新メニュー、面目躍如といったところであろう。


ロースかつ。


ロースソテー。

ロースソテーから。


しょうゆに、洋酒、ウイスキーであったか、
そしてバター。


かなり濃厚な味付け。
かわらずうまみにあふれている。


ロースカツ。


これはちょっと切り方が太くなっているのではなかろうか。


昨年の4月のこの日記の写真を見てみると、
同じ10切れに切ってある。
記憶違いか、と、さらに一昨年のを見てみると、
やはり10切れに切ってあるのだが、やはり微妙に細い。
と、いうことは、肉の大きさ自体が、違う、ということになる。


誤差の範囲、ブレなのか。
もしかすると、肉が少し大きくなっているのかもしれぬ。


ともあれ。


先代から受け継いだカツをもはや十二分、100点満点に
美しく揚げているのではなかろうか。


食べている途中でも衣がはがれてくるようなこともなく、
よい状態をキープしている。


肉の旨みも十分。


ご飯が、運ばれ、豚汁。

改めてよくよく味わってみる。
なん種かの味噌を合わせている可能性は高い。
実に濃厚。


生姜の風味も感じられる。


飯も江戸っ子好みの堅めの炊き上がり。


うまかった。


ご馳走様でした。


おいしかったです。
カキフライも。


若返り、店の雰囲気も二代目のキャラクターになってきつつ
あるのであろう。


これから[すぎ田]のとんかつのよい変化に
大いに期待したい。






台東区寿 3-8-3
03-3844-5529