浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



浅草・中華料理・ぼたん

dancyotei2016-10-12


10月9日(日)昼 11日(火)昼


なにかのはずみで、雑誌ブルータスの最新号の特集に
目が留まった。
「町の中華」とのこと。

それこそ若い頃はマガジンハウスのポパイ、
ブルータスは、愛読していたのだが、これらはおろか、
雑誌そのものを定期、不定期を問わず、
ほとんど読まなくなって久しい。

皆さんも、特に若い人ではよりその傾向は強かろう。

町中華」というのはなにか。
まあ、町の中華や、という程度の意味のよう。
[聘珍樓][四川飯店]なんといった、高価な本格、
あるいは先日の上野公園の[旦妃楼]ではないが
ヌーベルシノワ、なんというのでもなく、以前はラーメンや
といっていたと思うが、駅前だったり、どこの街にもある、
中華や。

ブルータスの特集だが、ネタ元があるようで、
「町中華探検隊」なる集団。

以前に山本益弘氏が主宰する「とんかつ会議」というのがあったが
最近は雑誌の前にネットでの活動がある。
いやむしろ、ちょっと厳しい言い方になるが、
影響力からすれば大手雑誌はもはやネットの後追い、
是認くらいの意味、なのかもしれぬ。
(ブルータスの前に散歩の達人に連載があるよう。)

kindleで買って、パラパラ見ていると、地元浅草の店が
載っていた。それも知らないところ。

東武の浅草駅のガードそば。
[ぼたん]という店。

あんな目立つところであるが、
私はうかつにも知らなかった。
存在にも気が付いていなかった。
これは、いけない。
今すぐにでも、行かなければ、で、ある。

ブルータスの記事に載っていたのは、オムライス。
中華やなのに?。

これも驚き、ちょっとおもしろそうではある。

浅草のこんな店である、連休でも日曜でもやっている。
(金曜定休のよう。)

日曜、昼すぎ、自転車で出掛けてみる。
もちろん、探索ついで。
浅草側の隅田公園を二まわり、三まわり。

東武の浅草駅北口のガードから西へ出たところ。
北側。

もう三代目という。戦前からあるのかもしれぬ。

入ると、横に長いが奥がなく、カウンターに
テーブルが4つほどか、広くはない。

カウンターに座って、そのオムライスを頼む。

家族経営のようである。
作っているのが、旦那さん、この人が3代目?。
その息子さんらしきよく似た若者が麺を茹でている。
もう一人、お母さんらしい女性も中華鍋を振っている。
これに外を任されている女性が一人。

中華やなのに、なぜオムライスなのか。
これはまあ、もとは中華やというよりは、食堂であった
から、という説明。
ちなみに、ここにはかつ丼まである。

中華鍋で作るオムライスというのは、ラードで炒めるので
ガッツリ系になるということである。

きた。



中はケチャップ味のチキンライスなのだが、
なるほど、味付けはかなり濃いめ。
私などからみれば、浅草スタンダードと言いたい味。

スープ。
これがまた、よい。
今はもう、かなりレアになった、中華やのチャーハンなどに
ついてくるしょうゆ味のスープ。特に香りがまさにあの頃のあれ。
これも味は濃いめ。

チキンライスの味が濃いので玉子表面にぬられている
ケチャップがいらないくらい。

お客はとみると、やはりほぼ常連さん。
昼時からはずれた時刻だが、なかなかのにぎわいであった。

さて。
さらに、翌、10/11。

AM栃木へ行って、昼すぎスペーシアで浅草まで
戻ってくるというスケジュールであったので、
せっかくなので、昼飯に寄ってみたのである。

いくつかあるセットものも食べて見ねば、
と思い、半麻婆丼とラーメンのセット。



ラーメンは、ほんとうになんの変哲もない、
オーソドックスなしょうゆラーメン。
ただ麺はかなりの細め。拙亭近所の浅草[開花楼]製。
ちょっと、メンマの風味が強めか。

麻婆の方は、なぜかにんにくが強めの味付け。
辛くはない。

二日続けてきてしまったが、
なぜか、両日とも、外で運んでいるお姐さんに引っ掛かった。

一日目は、帽子を席に忘れたのだが、店前まで追いかけてきて
愛想よく手渡ししてくれた。
二日目は、店がかなり立て込んでいたので、水を忘れられた。
私も急いでいたので、特に言わずに食べてそのまま勘定を
払おうとした。この時お姐さんが気が付いて、かなり恐縮されて、
そこにあった水入りグラスを差し出して、もしよかったら
今、飲みますか?。私は、いいんですよ、と応えたが、
せっかくなので、一気に飲み干し、店を出た。
かなり人当りのよい印象。

オムライスがなければ、かなり普通の町の中華や。
麻婆の方は、どちらかといえば、私の好みではなかった。

さて「町中華」なるコンセプト。
本当に誰が食べても、特筆してうまければ、既に有名に
なっていてもおかしくない。
今時、東京で本当に埋もれている名店、佳店などまずなかろう。

そうすると、あとは、そこの味が自分に合うかどうか。
過去閉店してしまったが、有名ではないが大好きな中華やは、
私にもあった。

量が多い、味が濃い、とにかく早い、平均値が高い、
他はともかく○○がうまい、、?。

ただ、いう通り、今、段々にその数を減らしているのも確か。
自分の行動範囲に1〜2軒は、いつきても安心できるうまい
チャーハン、天津丼、麻婆丼冷やし中華、、その他、
食べられる町中華は、キープしておきたいもの。

そういう意味で、ここのオムライスは、よいキープ店
なりそうである。




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