9月24日(土)第二食
さて。
昨日の[翁庵]と若干前後するのだが、不忍池から
レインコートを着て、自転車で上野駅東の[翁庵]に向かうのに、
アメ横を抜けた。
土砂降りであったが、人は出ており、むろん、自転車は押して。
この途中で、いつもの魚やをのぞいてみたのであった。
目についたのは秋刀魚。
不漁、不漁と報道されているが、やっとアメ横の安売り店にも
出回り始めたか。
珍しく、釧路産と産地が書いてある。
そして、なぜか2種類あって、8本500円と10本500円。
やはり秋刀魚はこのくらいの値段でなければ、いけなかろう。
迷わず、買い、で、ある。
そして、その隣。
やはりアメ横には珍しく、芝海老があった。
おきまりの一盛、500円。
これも買わねば。
ただ揚げるだけでよい。
値段違いで二種類ある秋刀魚は、理由は聞かずに、
高い方にしておいた無難であろう。
袋に入れてもらって、、、[翁庵]へ、というわけであった。
さて。
雨の中[翁庵]から帰宅して、そのままの勢いで、
秋刀魚を焼き始めようかとも思ったが、ちょっと休憩。
、、、しているうちに、うたた寝をしてしまった。
夕方、起きて、さあ、秋刀魚を焼こうか。
おろしは必須であるが、大根は冷蔵庫にある。
よし。
炭で焼こう。
拙亭には、秋刀魚用の横に長い七輪がある。
炭も、昨冬、火鉢用に使っていたものがたくさん残っている。
火熾しに炭を入れガスコンロで二回に分けて熾(おこ)す。
熾したものを七輪に移し、さらの炭も足して、
扇風機をあてる。
むらなくうまく焼くためには入れた炭全体をキンキンに
熾しておく必要があろう。
10分、20分。
扇風機をあてたままで、放置。
秋刀魚。
傷がついている様子もないし、
よくわからぬが、ものはわるくなさそうである。
洗って、塩をする。
最近、塩は、和食の場合、いわゆる精製塩ではなく、
別段、高価なものではないが、国内産の海水から作ったものを
使っている。
プロの板さんであれば、違いがわかるのであろうが、
私の場合、これがどれだけ味に影響するのかは、正直、
よくわからないが、気は心、うまそうな感じがする。
さて、炭の方。
いい色に全体が熾きてきた。
熾きている火の部分を上に向けて並べ直し、金網をのせる。
金網が冷えていると、皮がくっつきやすい?。
わからぬが、載せる前にのせて熱しておく。
こんな感じでよいか。
二本、載せる。
扇風機の風は軽くあてたままをキープ。
加熱され、脂が落ち、煙が上がってくる。
秋刀魚は、ここなん年も、秋のこの時期に食べても、脂ののりが
それほどではなかったと記憶している。
これはよいかも。
ひっくり返す。
皮もくっつかず、きれいにひっくり返せた。
網を予熱をしたおかげか、炭火の威力もあるのか。
やはり、炭をよく熾したのがよかったか。
見るからによい感じに焼けている。
火力も強い。
こんなもので、もうよかろう。
皿に載せておく。
すぐに焼けたので、大根おろしをおろしていなかった。
大急ぎで大根をおろし、用意。
ビールを開けて食べる。
焼け具合は文句のないところ。
やはり炭はケチらないでたっぷり使い、それも
きちんと時間をかけて、全部をMAXに熾しておく。
そうすれば短時間で全体が均等に、よく焼ける。
そして、問題の味。
ん!!。これ、かなりのあたり、ではなかろうか。
今シーズンのものが皆よいのかどうかは、
なんとも言えないが、これは昔から私達が食べていた秋刀魚同様、
脂もかなりある。鮮度もよさそう。
安くて、ギトギトの脂。
秋刀魚というのは、これでなくてはいけない。
もちろん、はらわたも、皆、食べる。
二本。
うまかった。
さて。
秋刀魚のこと。
日本近海の海水温の上昇で、北海道沖でも間に合わず、
もっと遠くまで獲りに行っているとか。
また、中国や台湾の超大型漁船との獲り合いにもなっているやに聞く。
我々が伝統的に秋の味覚として食べてきた魚なので、
もともと食べていなかったであろうと、彼らに獲るな、食べるな
ともまさか言えない。
ただ、資源が減ってしまって一番困るのは伝統的に食べてきた
我が国である。
日本うなぎ、クロマグロもむろん、然り。
最近、クロマグロの漁獲規制の会議があり、
緩すぎるというアメリカの意見と、厳しすぎるという
台湾の意見で日本の提案が物別れに終わったという。
なんとなく、今の世界の漁業規制を取り巻く構造を
象徴しているようである。
規制したい欧米。
獲りたいアジア。
我が国から見れば、どちらも極端である。
マグロなど常食していたわけでもない欧米は
自然保護団体に押されてこういう立場を取る。
反対にアジアはまだまだ食べたい、商売をしたい、
金儲けしたい、、のか。
資源保護はむろん大切、無軌道に獲っていいわけがない。
結局は自らの首を絞めてしまうこともよくわかる。
しかし、闇雲に規制してもらっても、やっぱり困る。
世界一、魚を食べている我が国には、こうした国際議論を
引っ張る責任がどうしたってある。
両者の利害調整役である。
安倍総理。
魚は世界に冠たる食文化である和食の主要材料であることは
議論の余地がない。
安倍内閣の主要課題の一つにしてもなんらおかしくはないと思うのだが。
世界で尊敬される立場を獲得する格好な舞台にもなるではないか。