浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



とんかつ放浪記 上野Y

dancyotei2016-02-10



2月8日(月)夜

さて。

またまた、とんかつ。

例の、山本益弘氏の「東京とんかつ会議」の影響、で、ある。

課題の店がいくつかまだあるのだが、
私のホームタウンともいうべき、上野にあって取り上げられていたのに
知らなかった。
さらにそこは、ミシュランにまで出ている。

これは一度行ってみなければいけなかろう、で、ある。

店は[とん八亭]という。

御徒町駅の西側、JRと中央通りの間、春日通りから北へ入る
たぬき小路という細い路地にある。
この細い路地はほとんどなにもなかったのではなかろうか。

帰り道、御徒町で降りていってみる。

すると、、、、!。

げ、、まただ。

見事にお休み。

先週も同じことをしている。この男まったく学習しない。

ここは月曜定休。

はて、どうする?。

まあ、近くなのでいつでもこれるのだが、
さしあたり、今日はどうしよう。

上野というのは、とんかつ発祥の街などともいわれて
老舗も数軒。それ以外にもなん軒もとんかつやはある。

最近とんかつやを調べていて、某グルメ投稿サイトの
上野とんかつランキングでベスト10に入っていたが
[とん八亭]同様に知らなかった店があった。
[Y]いう。

それがすぐ近くにある。
(いや、ほんとうに上野というところもとんかつやが多い。)
入ってみようか。

暖簾が下がり、白木の格子。
とんかつやらしい店構え。

開けて入ってみる。

木のカウンターが、くの字なっている。
さほど大きな店ではないが、二階もあるよう。
カウンターは7割ほど埋まっている。

あいている手前右端、壁際に座る。

ロースが750円。上ロースで1200円。
大衆価格である。

お客は若いサラリーマン、若めの女性お一人様も
ちらほら。

瓶ビールと750円のロースの定食を頼んでみる。

カウンター向こう側、調理場がよく見える。

働いているのは男性三人。

手前の一人が肉の用意をし衣を付け、揚げる。

奥の一人が皿にキャベツをのせて、揚がったカツを切って
盛り付ける。

ん!。できた。


うわっ。
ご飯が、コテ盛。

これは若い人にはよいだろう。

アップ。



網に載っているところがあるが、ここは普通に置かれている。

厚みもそこそこあって、切り口はほんのりピンク。

意外に期待が持てそう。

カウンターには流行りの(?)塩、などはなくソースのみ。

とりあえず、なにもつけずに食べてみる。

多少の堅さ、パサつきなどは認めるが、どうしてどうして、
うまいのではなかろうか。

油はラード系ではなさそう。
油切れも、ベタベタする、食べて気になるということも
ないのではなかろうか。
また、油の劣化によるにおいのようなものも感じられない。
衣もはがれるようなこともない。

脂身は適度な量で、溶けるようとまではいかないが、
私には十分うまい。

もう一つ難点をいうとキャベツの水分で触れている部分の
衣が段々ふやけてきていた。余裕があれば網はあった方が
やっぱりよさそうである。

せっかくなので、大盛りご飯も平らげる。

勘定をして出る。

出る時にお兄さんは、すべての人に、ありがとうございました、
お気をつけて、と声をかけている。
ちゃんとしている。

さて。

今回、ちょっと、考えてしまった。

この店、少し前までロースの定食が690円であったそうである。
まあ、いずれにしても大衆価格といってよい。

例えば、3,000円の厚切り上ロースカツとどれだけ違うのか、
という問題である。

例えば、この近くだが[井泉]の箸で切れると謳っているような
肉ではないことは間違いない。
しかし、まあここのものは普通の豚肉の堅さ、味。
豚らしいという言い方もできるかもしれない。

回転寿司と名のある鮨やと比べれば、ものが違う、技術が違う、
味が違って、気の使い方が違うというのが、わかる。
あるいは、うなぎの蒲焼なども、スーパーとまでいかなくとも、百貨店で
焼いて売られているものと、一流の店とでは、比べるのも申し訳ないくらい、
味から食感、香り、その他、まったく違う。

これは私が鮨もうなぎもそうとうな好物で、とんかつはそこまでの
フリークではない、益博氏のような“とんかつ小僧”ではないからか。
(そういえば、益博氏と同じ浅草永住町育ちの池波先生も
とんかつは大好物であった。
目黒[とんき]上野[ぽん多本家]などが行き付けで、
店で食べて、オミヤも持って帰り、夜中に、あるいは翌朝、
また食べていた。ダイスキであったといえよう。)

つまり私がとんかつに敏感ではないということか。

うーむ、どう考えたらよいのか。

断腸亭の「とんかつ放浪記」もうしばらく続けようか。