11月7日(土)夜
引き続き、土曜日。
朝、里芋を買いに出た時に、ハナマサで、
大根が一本100円と安かった。
これは買わねば。
大根ならば、これからの季節、
ふろふき大根、で、ある。
ふろふき大根というもの、ご存知のように
茹でた大根に甘味噌をつけて食べる料理である。
もともとは、温かいものに味噌をつけて食べるということで、
やはり、里芋や豆腐などの田楽などに近いものであろう。
そして、全国にあるのであろうが、東京下町で
よく食べられていた料理ではなかろうか。
池波先生の生まれた町でもある浅草聖天(しょうてん)町の
町名にもなっている待乳山聖天(聖天様)は
子授けで信仰を集めてきた。
子授けを願う人々は大根を供えものにする。
これは本当は途中から二股に分かれた大根を供える。
おわかりになろうか。
ちょっとエロティック見立てだが、女性の下半身である。
ただ、そう二股の大根はないので、普通の大根を供える。
待乳山聖天では今でも毎年正月七日には供えられた大根を
ふろふきにして信者に振る舞うという、大根まつりが行われている。
ということで一本¥100の大根でふろふき大根。
一緒に鶏挽肉も買ってきた。
玉子の黄身を入れて練った味噌もレパートリーにはあるのだが、
今日は、鶏挽肉を入れようと考えたのである。
(昨日配信の)里芋とねぎの煮たのを作った後に、
まずは酒の肴に肉味噌をしようと、大根を茹でる前に
作り始めた。
これを桜味噌という。
以前にも書いているが、江戸随一の料亭[八百善]の
レシピが出典である。
私は不勉強にも食べたことはないのだが、本来江戸には
江戸甘味噌というのがあった。
戦後、かなりその醸造元も減り、生産量もごくわずかになったが
今でも少量ながら作られ、売られているようである。
色は赤く八丁味噌のよう、甘さは西京味噌程度であるという。
私もよくいくご近所の駒形[どぜう]のどぜうもこの江戸甘味噌で
下ごしらえしているようである。(それでほのかに甘いのであろう。)
ともあれ、この江戸甘味噌が、西京味噌と八丁味噌を1対1で
合わせた桜味噌に近いものということなのかもしれぬ。
ともあれ。
砂糖を入れるのが[八百善]のレシピであったのだが、
西京味噌の甘味で私は十分なので、入れない。
鍋に入れ、酒と水を少し入れて、伸ばす。
ここに鶏挽肉を入れて火を通しながら煮詰める。
ある程度堅くなってくればOK。
これでまた、一杯。
さて。
今日は先にふろふき大根用の出汁を昆布で取っておく。
普通の出汁用の昆布は今まではスーパーに売っているのを
たいして考えもせずに買っていたのであるが、
少し前に買っておいた、出汁用には最高級という
北海道函館の真昆布。
日高や利尻、羅臼というのが高級昆布として有名だが
本当は、函館付近の真昆布だ、というのを聞いて
買ってみたのである。
どんなものか、切って三枚ほど水に漬けておく。
3時間ほど。
鍋を大きくしたのだが、見た感じ水の色が変わってもいない。
軽く加熱して火を止めさらに一時間放置。
まだ、色が付かない。
今まで使っていた普通の昆布であれば、
黄色っぽい色がついてくるのだが、、。
はて?。
ちょっとなめてみる。
色はついていないが、出汁はどうやら出ているようである。
真昆布は色が出ないのか。
わからぬが、一応これでOKとしようか。
昆布はむろん、もったいないので捨てずに、
いつもの通り、一口の正方形に切って、酢としょうゆで
味濃く煮詰めて、塩昆布にする。
昆布を取り出した出汁は、再び過熱、今度は鰹。
鰹削り節をたっぷり入れて、3分。
火をとめてしばらく放置。
濾して一番出汁の完成。
大根を茹ではじめたのは、夕方。
大根は皮をむいて、輪切り。
面取りなどは面倒なので、省略。
大根にはほんの少し、葉っぱがついているが、
これも捨てずに、今日は菜飯にしようか。
細かく切って、塩でもんでおく。
大根の葉っぱ、特に今大根についているような茎の部分は
繊維が強いので、繊維を断ち切る横の方向に細かく切らねば
食感がよくない。
ついでに、米も研いでおく。
つづく