浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



かきフライ

dancyotei2015-01-21



1月11日(日)第一食


昨日、吾妻橋のQBに髪を切りに行った帰りに
田原町(たわらまち)のスーパー赤札堂に寄った。


長く交差点そば、浅草郵便局の隣に
あったと思うのだが、明日閉店だそうな。


赤札堂というのは、門前仲町が本店のスーパーで
下町を中心に店がある。
場所柄であろうか、スーパーにしては魚の品揃えが
そこそこよいので、よくきていたのだが、残念である。
(代わりに、系列の上野のABABの地下が赤札堂になるという。
ここはここで、アメ横なども近く競合が激しそうである。)


閉店セールをやっており、いろいろ買ったのだが
なかで、生牡蠣(むいたもの)を買ってきた。


そうそう大きいものではないのだが、
かきフライにしようと思い付いた。


カキフライなのか、牡蠣フライなのか、かきフライなのか。


どうでもいいようだが、かきフライが
やはりもっともしっくりくる。


かきフライにもやはりキャベツの千切りは必須であろう。
買いに出る。
丸々一玉買っても余らせるだけなので、半玉。


作る。


まずキャベツの千切り。
できるだ細く。


キャベツの千切り、それもできるだけ細くというのは
難しい。例えば、一枚一枚切るなど、時間をかければ
細く切れるが、むろんそれでは意味がない。
手際よく細く切るには丸々一個を切りやすい大きさに、
例えば1/4個に切り、この端面から切っていくと
そろっているので切りやすく、細くも切れる。


切ったものはボールの水に放しておく。


次に、牡蠣の下拵え。
牡蠣も塩をふって揉み、ぬめりを取り、水洗い。


油の準備。
かきフライの場合ラードではなく、
サラダ油でよかろう。
予熱をしておく。


衣の準備。


フライ物の衣はいろいろなやり方があるが、
私の場合、最近は以下のようなものに定着している。


全卵二個を割りほぐし、氷を二個入れ、
粉を少し加えておく。(粉は以下すべて市販の天ぷら粉である。)
水はなし。
やはり、しっかりしたものになるようである。


パン粉もパッドに広げておく。


水洗いした牡蠣すべてにあらかじめ粉をよくまぶす。


串を用意。


玉子、パン粉の順につけるが、とんかつなども
そうだが、串で刺すと手が汚れずに便利である。


小さいもの取り混ぜで、20個弱あり、手間ではあるが、
今日は手際よくサクサクとできた。


油に再点火し、油温の上がるのを待つ。


その間に、揚げたものの油を切る網と新聞紙を用意。
キャベツも水を切っておく。


衣を落とし、油温の確認。


高温でよいであろう。


5〜6個ずつ投入。


狐色まで、揚げる。





いい色になり、菜箸で油からあげ、油を切り、
網の上に置く。
この一連の動作の中で、油からあげた直後には
まだジューっといっている。
箸で持ったままで油が落ちるのを待っていると、
このジューっという音がスーッとにおさまっていく。
そして網の上に置く。
文字にしにくいのだがこの、スーッとおさまっていく
瞬間が、妙に心地よい。


すべて揚がった。


今日は、すべてがかなり手際よくできた。
フライ物というのは、衣の準備、衣付け、揚げ、と
工程も多くなかなか面倒なものである。
特に衣付けが手間であると思うのだが、今日は、
ここが滞りなく進んだのが勝因であろう。


料理というのはなんでもそうだと思うのだが、
きれいでうまい料理が出来上がるために、
最良で無駄のないやり方を決めて、それを段取りよく
進められれば早く終わる。
プロの料理人と素人の決定的な違いは実はここなのであろう。
味のセンスなどは素人でも人によっては備わってもいる。
また先のキャベツの千切りでもそうだがゆっくりやるのであれば
そこそこ練習をすれば誰でもそう難しい仕事ではない。
プロはそれを大量にこなさないと商売にはならないわけである。
決めた最良のやり方を繰り返し、身体に覚えこませる。
たいへんなことである。


ともあれ。


内儀(かみ)さんがキャベツを皿に盛る。
フライの盛り付け。


タルタルソースはないので、マヨネースを添え
中濃ソースをかける。





やっぱりかきフライにはビールである。



衣もしっかりし、なかなかよく揚がったのでは
なかろうか。



上出来である。