12月20日(土)
この土日に加えて月曜に休みを取って、連休に。
年賀状書きのための、毎年恒例の箱根行。
二泊三日で月曜に帰る。
行く宿も毎年決まっている。
湯本から一つ上に上がった、塔ノ沢温泉の[福住楼]。
国指定の有形文化財。
数寄屋造りの建物がよくて、もうなん年もお世話になっている。
1時半頃車で浅草を出て、箱根に着いたのは15時頃。
天気は雨で、寒い。
宿の駐車場に車を停めて玄関に入る。
女将(おかみ)さん、若旦那が出迎えてくれる。
毎年この時期に一回くるだけだが、おぼえて下さっているよう。
かかりの仲居さんが案内をしてくれる。
部屋はず〜っと奥、せきれい。
私などは静かでよいと思うのだが
内儀(かみ)さんは風呂から遠いといって、
ちょっと不服そう。
川側というのだけ指定したようだが、
気を利かせていただいたのではなかろうか。
部屋の全体像。
八畳の主室に六畳の次の間。
やっぱり、こういう凝った和室はとても贅沢な
気持ちになる。
これだけでもここにくる甲斐があるというものである。
川側の障子。
縁側があって外にはもう一つ硝子戸。
流れは早川。
川沿いの樹木越しに川の流れが音を立てて、早い。
対岸は[環翠楼]。
床の間左側の明かり取りというのであろうか、障子。
上側が切れてしまっているが、
下は縦横の線で、上は斜めの線。
この対比が絶妙に美しい。
床の間。
香炉があって、掛け軸は、書。
残念ながら、名(めい)も書も、なにが書いてあるか、
まったくわからない。
右側。
TVがあるが、背後は飾り窓。
これも美しいではないか。
月に見立てているというわけでもないのか。
ノーマルな縦横の桟に加えて、手前に斜めに竹を渡し、
これが円の中心で背後の中心の桟と交わっている。
襖があって、次の間側。
次の間にも川側にもう一つ、窓がある。
これも実は贅沢な造りであろう。
現代の建築であれば全面が隣の部屋の壁になるはずであるが
そうしていないのである。
この窓の左隣は押入れで、押入れの向こうは隣の部屋に
なっているのだが、窓を造るために凹ませている、のである。
次の間側から見た天井と欄間。
主室の額は日本画。
平福百穂という明治から大正に活躍した人のものらしい。
椿であろうか。だいぶ色があせていはいる。
出入口に立てられた、衝立(ついたて)。
短冊やら、扇の張り交ぜ(はりまぜ)。
なにが書いてあるか、これもまたよく読めないが
和歌や俳句のよう。
その左にちょっと低めにまた障子。
内側が縦横で、障子越しに廊下側の飾りの桟も
透けて見えて、そちらは斜め。
光と影をうまく使って、上品で美しい。
さて。ビールを一杯呑んで、風呂に出かける。
名物の丸風呂。
箱根温泉の広告にもよく使われるので
見たことがある方もあるかもしれぬ。
縁は銅製、で、ある。
これもまた、美しい。
つづく。