浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



浅草・うなぎ・小柳

dancyotei2014-06-26



6月25日(水)夜



今日は7時半、例によって、スペーシア東武の浅草駅まで
帰ってきた。


さて、なにを食べようか。


このくらいの時刻は浅草ではもう夜も遅い。


並木の藪蕎麦も終わっている。


浅草、特に雷門、浅草寺周辺というのは
基本、観光客相手の営業だからか、居酒屋以外は
夜が早いのである。


と、なると、やはり洋食の[ヨシカミ]か。


ここは10時ラストオーダー。
久しぶりに、あそこのチキンライスを食べようか。


新仲(シンナカ、新仲見世)を抜けて歩く。


今はやんでいるが、東京も雨が降っていたようで人通りも少ない。
チェーンの回転ずしやでは、雨の日サービスやってまぁ〜す、
と、少ない通行人を呼び込んでいる。


六区の[ヨシカミ]にきてみると、
あれま、珍しく、今日明日と連休。
(定休は木曜。)


まだ8時前だ、この近くの洋食やだともう一軒[パイチ]。
オレンジ通りの方に戻り、店の前まできてみると!。


ゲッ。


こっちも連休。
浅草の洋食やさん組合で、みんなで温泉旅行へでも
いっているのか!?。


うーん、困った。


今日は、一人で呑みやに入る気分ではないし、、。


そうだ、うなぎの[小柳]


前にもこんなことがあったような気もする。
困ったときの[小柳]。


ここは少し前に改築をしていたのだが、新店舗が
出来上がっていたのを見ていた。


以前は木造二階建てであったが、鉄筋になっている。


玄関には麻の白い暖簾が下がっている。


入ると、一階がカウンターとテーブル席。
二階は座敷。


これは以前と変わっていないが、まだ真新しい。
やはり雨のせいか、二階からはにぎやかな声が聞こえてくるが、
一階にはお客の姿はない。


若女将がお好きなところへ、というので、
真ん中のテーブルに座る。


この店は平成15年のNHKの朝の連ドラ「こころ」
中越典子主演)のモデルになった店。


ドラマでも描かれていたが、大女将(岸恵子)と若女将で
切り盛りしている。


浅草にはうなぎやは数多い。
やはり伝統といってよかろう。
江戸創業の店も少なくない。


だが、当たり前といえば、当たり前だが
それぞれ雰囲気が違っているのが、おもしろい。


天ぷらやなどもそうだが、老舗だが、味はさておき、
はとバスコースに入り店舗はビルで大量の客をさばく店。


老舗で味もよいが、木造の小体な店で店主一人で
やっているようなところ。


そんな中で女将が切り盛りする[小柳]はちょっと他にはない
タイプといってよかろう。


女性だから如才なく、柔らかい。


だからといって、もちろん、ヘンに色っぽということではなく、
むしろ、女性にしてはキリッとしているといってもよいかもしれない。
瓶ビールをもらう。


つまみは焼鳥。


それから、うな重は安い方。
肝吸いも付けてもらう。


ビールがきた。





ビールはサッポロラガー。


基本、浅草というのは、お膝元なのでビールはアサヒ。
サッポロ自体が珍しい。その上、サッポロラガーはさらに珍しい。


お新香と、骨のから揚げ。
(骨はサービス。)


つまんでいると、焼鳥もきた。





添えられているのはおろし。


たれがみたらし団子のようなとろみをつけたもの。
ちょっと珍しい。


最初はちょっと違和感があったのだが、
これはこれで、いける。


タイミングをみている、のであろう。


ちょうど焼鳥を平らげたくらいで、うな重がきた。




ちょっと小さい正方形のお重。


ここの蒲焼は、焼き方、たれの味含めて、
なにかが突出しているのでもなく、とってもノーマル
なのではあるまいか。


バランスの取れたうまい蒲焼である。
飯もうまい。


ご馳走様でした。


食べ終わり、勘定をして、出る。


困ったら[小柳]。


ありがたい存在である。






小柳