浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



金沢・別院通り・あかめ寿し

dancyotei2014-06-19



6月16日(月)夜

北陸出張。

金沢泊まり。

金沢へくると金沢駅にも近い別院通りの[あかめ寿し]

にこれるのがうれしい。

7時すぎに駅前のホテルに荷物を置いて、出る。

北陸も今日はよい天気で暑かった。

今年の梅雨は雨も多く、降れば土砂降りになるが、
晴れて真夏並みの日もある。

気温が低く、じめじめした日が続くよりは、
身体にはよいのだが、激しい豪雨は、災害につながらねばよいと
願うだけである。

金沢駅東口の正面から信号一つ目。
左斜め、別院通りという細い通りに入ってしばらく行って右側。

一月にきたのか。しばらくぶり。

店に入ると、カウンターも座敷もにぎわっている。

ご主人に挨拶をして、あいていたカウンター手前の席に座る。

ご主人は顔を憶えてくれていたようで、
久しぶりだね、と笑顔。

瓶ビールをもらう。



お通しはバイ貝を煮たもの。
バイ貝は東京の鮨やなどではまず出ないが、
うまいものである。

さて、肴は、と品書きやら、おすすめのボードなどを
見ていると、ご主人が、珍味だよ、といって、
小さな小鉢を出してくれた。



なんでも、甘海老の味噌を炒ったもので、調味料は
まったく入っていないという。

これが、塩加減、甘さ、まさに絶妙。
その上、海老・蟹の味噌にありがちな生ぐささが、
まったくないのが驚き。

聞いてみると、作り立てならではのことで、
時間をおくといけないらしい。
うれしい限りである。

さて、肴であった。

ちょっと珍しいので、ボードに書いてある、鯛の白子天ぷら、
というのを言ってみると、切れている、とのこと。

代わりに、これからの季節、キスの天ぷらはおすすめ、と、お兄さん。

いつもは裏で仕事をしていることが多いのであろう、
あまり顔を見かけなかったがご主人によく似ているお兄さん。
息子さんであろう。30代半ばくらいであろうか。

せっかくのおすすめなので頼んでみる。

お気付きであろうか。
実は、昨日、食べていたのである。

東京と金沢、比べてみるのもおもしろい。

きた。



これは、うまい。

昨日のものよりも、みずみずしい。

きすという魚は、刺身では食べぬ。
べら棒によい鮮度、というものを意識する魚では
ないと思うのであるが、明らかに、鮮度が違いそう。

むろん、魚というものは刺身で食べる場合も
鮮度がよければよい、というものでは必ずしもなく、
マグロや白身などでは寝かせる、ということも聞く。
使い方なのであろう。

いつものように、にぎりのおまかせ一人前。



右上から左に。

ごまふぐ。
ふぐの一種なのであろう、霜降り、表面に火が通っている。
淡泊な白身

鯵。
東京ではあまりこうしないが、
大ぶりなものを縦に切って、にぎっている。

かに。

鯖。
〆てあるが、十分に脂がある。

いか。
あかいか、と、いっていたが、一般にはケンサキイカらしい。
肉厚であまみが濃い。

マグロ。
赤身だがみずみずしい。近海ものか。

カジキ。
赤色が濃いが、かじき。やはり、みずみずしい。

下、右から。

うなぎ。
前にも書いているが、金沢ではうなぎは鮨やで出すものという。
白焼きに、たれを塗っている。

たこ。
よくあるボイルたこではない。きちんと仕事をして(煮て)いる。
こういうところがさすが金沢だと思われる。

甘海老。

鯛。

いくら。

うに。
うにも、能登など、近くで獲れると思われる。
上物である。

以上、5000円ちょいであった。


やはり、好漁場がそばにあり、かつ、加賀料理の伝統というのか、
料理人の腕がよい金沢ならではであろう。

銘産地はモノはよいが、惜しいかな腕が、、、ということが
少なからずあると思われる。
逆に、両方兼備している金沢のようなところは、
意外に日本国内見渡しても、少ないような気もする。
(博多、などはそうかもしぬか。)

ともあれ、おいしかった。いつもご馳走様です。

あかめ寿し

金沢市本町1-9-15
076-263-9787