浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



とんかつ

dancyotei2014-06-03



5月31日(土)夜

引き続き、土曜。

親子丼でビールを呑んで、昼寝。

暗くなって起きる。
内儀(かみ)さんも今日は出掛けており、
どうもジダラクな生活になってしまう。

昼間などは30℃近くあったようだが、
部屋の中はまだ熱くなっていないからか、
窓を開けていれば、さほど寝苦しいと感じることもなく、
眠ってしまった。

さて。

なにを食べようか。

久しぶりに、とんかつでもどうだろうか。

少し前にも作ろうかと思ったのだが、ラードが切れていて
買いにでたのだが、近所のいつものハナマサになく、
三筋のヤマザキにもなく、結局あきらめたのであった。

とんかつというのは、やはりラードで揚げた方が、
圧倒的に、うまい。

が、やはり、ラードは高カロリーなので
買う人もどんどん減っているのであろう。

と、いうことでまず、ラードを探すところから
始めなければならぬ。

素足に雪駄、半袖のポロシャツで自転車で出かける。
向かう先は田原町赤札堂。日が暮れて、自転車をこぐと、さわやか。

赤札堂にきてみると、お、ここにはあった。

まあ、ここでもラードはあまり売れている雰囲気は
していなかったが。

少し前でもあまり売れてはいなかったのであろうが、
扱う店も減っているようである。

そんなことなので、ラードというのは購入されたことのある方は
少なかろう。
ラードは大きさも形もマヨネーズのような半透明な容器に入っている。
(ブランドは雪印のもの。)
揚げ物に使うとすると一鍋分の量は必要なので、4本購入。

むろん、キャベツと豚ロースも。
それから、豚肉売場に、生パン粉があり、これも買ってみる。

帰宅。

まずは、キャベツの千切り。
水に漬けるので、段取りとしては、最初にする。

切ったキャベツは水を張ったボールに漬けておく。

次にラード。
これは固まっているので、4本まとめてレンジ加熱1分で、
溶かす。
脂なので熱くなりすぎると、危なかろう。

溶けたラードは揚げ鍋に入れ、軽く予熱をしておく。

衣の準備。

買ってきた生パン粉は広い容器に広げる。

それから全卵を1個割りほぐし、水、氷を2〜3個入れておく。

豚ロースは両面から筋を切る。

そして、片面に塩胡椒。

塩胡椒をしたら小麦粉(市販の天ぷら粉)を両面よくまぶす。

最近、玉子の二度付けというのを揚げ物にはしてみている。
これは衣が厚めにしっかりと、つく。

竹串を豚肉に刺して、玉子冷水に浸し、両面まんべんなくつけ、パン粉。
パン粉も表面にもくまなくまぶし、もう一度玉子冷水。
ひっくり返して両面。

もう一度パン粉。

もう一枚。

?。

イマイチ。
厚くつくはずが、かえって薄くなってしまった。
肉の表面が出ているところもある始末。
二度付け失敗、で、ある。

まあこれ、考えてみると当然の結末であった。

考察は後回しにして、とにもかくにもこれで、揚げてしまおう。

比較的低温から、ゆっくり揚げて、最後は高温に調整する。

二枚。

揚がったら、まな板でザクッと切って盛り付け。



お新香は奈良漬。

ちょっと頼りない衣だが、まあ、なんとかとんかつには
なったか。ラードで揚げたので、こちらの方は成功。
香ばしく、やはり食べ応えが違う。

(写真はソースをかけて、誤魔化してしまった。
せっかくの生パン粉もあまり威力を発揮できず。)

さて、二度付け失敗の考察。

もともと二度付けのねた元は、浅草の洋食[大宮]の海老フライ
からであった。

失敗の理由の一つは、玉子冷水。
本来は玉子冷水ではなく、水はいらなかった、ということ。
水を入れた分、ゆるくなっていた。
全卵そのものであれば、もう少し硬いしっかりした衣に
なっていたハズ。

もう一つは、数が少なかったことか。
なん枚もあれば玉子に二度付けするうちに、玉子に小麦粉が溶け、
段々に濃くなり、厚い衣になる。
(ただこれはこれで、最初のものは同じようにちょっと薄めになり、
後の方は濃くなりすぎるので玉子を足さねばならなくなる。
つまり、均一にしにくいという欠点にもなるように思うが。)

作る量が少ない場合は、玉子の方にも最初から小麦粉を
入れるという調整をする必要がやはりあった。

本来、玉子二度付けは、パン粉二度付けでもあり、
パン粉もしっかりつく、という効果があったはずである。

今日のとんかつ、なんだか、二兎を追って、一兎も得られなかった
ようなことであろうか、、、。

プロの技というのはやはり、簡単ではない。
今まで通り、小麦粉入りの玉子冷水にしておくのが無難か。