浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



團菊祭五月大歌舞伎 その1

dancyotei2014-05-11


5月6日(水)



さて。



連休最終日。



歌舞伎座での歌舞伎見物。


最終日になってしまったのは、
直前に取ったため。


今月は、團菊祭ということで、團十郎
菊五郎にちなんだ演目ということのようである。


昼が「毛抜」「勧進帳」「魚屋宗五郎」。
夜は「矢の根」「極付幡随長兵衛」「春興鏡獅子」。


夜の部を選んだ。


選んだ理由は「極付幡随長兵衛」は観たことがなかったから。


今日も着物。


季節としては衣替え前なのでまだ袷(あわせ)。


今、気温の高い日であれば、絹物の袷は暑いと
思っていたが、今日は朝から曇天で肌寒く、
ちょうどよいくらい。


4時半開演であったのだが、ちょいと早く出てしまった。


銀座線で稲荷町から乗って、銀座で降りる。


今日の弁当は三越の地下でみてみることにした。


[今半]のすき焼き弁当と、日本橋[弁松]。


歌舞伎座の前で買うと木挽町[辨松]だが
三越の地下だと、日本橋[弁松]。






席は1階ほぼ中央。


まあまあ、で、あろう。


4時半、最初の演目「矢の根」の幕が開く。




ここで、演目と配役を書き出しておく。



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夜の部



一、歌舞伎十八番の内 矢の根(やのね)


   


曽我五郎 松 緑


大薩摩主膳太夫 権十郎


馬士畑右衛門 橘太郎


曽我十郎 田之助




二、極付幡随長兵衛(ばんずいちょうべえ)


「公平法問諍」


   


幡随院長兵衛 海老蔵


女房お時 時 蔵


唐犬権兵衛 松 緑


出尻清兵衛 男女蔵


極楽十三 亀三郎


雷重五郎 亀 寿


神田弥吉 萬太郎


小仏小平 巳之助


閻魔大助 尾上右近


笠森団六 男 寅


慢容上人 松之助


坂田公平 市 蔵


伊予守頼義 右之助


渡辺綱九郎 家 橘


近藤登之助 彦三郎


水野十郎左衛門 菊五郎




三、新歌舞伎十八番の内 春興鏡獅子(しゅんきょうかがみじし)


   


小姓弥生/獅子の精 菊之助




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さて。



「矢の根」。



先に浮世絵から出してしまおう。







国貞「五節句之内」「端午」「七代目市川團十郎



これが主役の曽我五郎。
今回は尾上松緑、三十九歳。


幕が開くと、上のような大仰な格好をした松緑
大きな矢を持って、炬燵(こたつ)やぐらの上に座っている。


ただ持っているだけではなくて、研いでいるという恰好。


「矢の根」という芝居は、上にあるように「歌舞伎十八番」。


歌舞伎十八番」というのは、幕末近くの七代目市川團十郎
がまとめたもので、團十郎を主人公とする、市川宗家の家の芸、
である。


昼の部でやっている、歌舞伎の中でも最も有名な演目の一つと
思われる「勧進帳」があるが、これもその一つ。


今月は團菊祭ということでこれが掛かっているのであろう。


顔に施された派手な隈取(くまどり)に派手で大仰な衣装。
そして様式化されたいくつかの典型的な見得(みえ)を演じる。


これが市川家のお家芸の荒事(あらごと)と呼ばれる芸。


松緑は三十九歳で若手の部類、だが
押し出しもよく、よく演じていたと思われる。
(「矢の根」を演じるのは四度目のようである。)


松緑は役者としては口跡があまりよい方ではない
(滑舌がわるい)と思われるが、つらね、という、
聞かせどころの早口言葉のような部分も無難に
聞くことができたと思われる。


人(ニン)に合っているのかもしれない。


また、この手の芝居は大した筋もなく、セリフのおもしろさや
様式美をたのしめばよく、理屈もなく肩の力を抜いて、
みられてよいだろう。





つづく。