浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



BLTサンド

dancyotei2014-04-22


4月19日(土)第三食

さて。

引き続き、土曜日、夜。

昼、材料を買ってきた、
食パンのトーストにベーコン、レタス、トマトの
サンドイッチを作る。

ベーコン、レタス、トマトでB・L・Tサンド。

アメリカンクラブハウスサンドというのが正しいのか。

カジノクラブだの、ゴルフクラブだの生まれたところには
諸説があるようだが、アメリカ発祥で、アメリカの
コーヒーハウス、ダイナーなどの定番メニュー。
七面鳥(ターキー)が入ることもあるよう。

日本のちゃんとしたホテルだとコーヒーショップなどには
必ず置いているメニューであろう。

私などは世代的なものであろうか、学生時代、
当時流行った片岡義男氏の小説あたりで知ったような記憶がある。

そして、大学の卒業前に1か月ほど初めてアメリカに一人でバックパック
旅行をしたことがあった。
サンプランシスコの坂の下のケーブルカーの停留所のそばにあった
コーヒーハウスで食べてみて、「あ〜、これがアメリカの味か」と、
それなりに感動したような気がする。

我々の世代であれば、まだアメリカというのはそこそこ、
音楽だったり、憧れの対象の範囲にあったのかもしれない。

戦後の、大きな冷蔵庫、クーラー、カラーテレビが憧れで
大きなアメ車、アメリカンフットボール
豊かで、明るい、かっこいいアメリカ。

あるいは、当時私はキャンベルスープの缶だったり、
コカコーラの瓶を並べたアンディーウォーホルの、
ポップアートなどといっていたと思うが、絵がとっても
魅力的に思われ、複製品を手に入れたりしていた。
いかにも、アメリカという感じがよかったのかもしれない。

その後すぐに、日本は「Japan as No.1」、の時期を経て、
日本人にとって、アメリカはあこがれの対象ではなくなった
といってよいのであろう。
(その後、我が国はバブル、同崩壊などを経て今に至っているが。)

ともあれ、私達くらいが、そういう憧れであったアメリカ、
というのがわかる最後の世代なのかもしれない。

そういうアメリカの食い物。

その後、社会人になり、アメリカへまたは、旧英領の国(主として
ダイビングをしに行った先)へ行く機会があると、
英米系の人々の食べるものへの関心のなさというのか、
はっきりいうと、彼らの食べるものの不味さに段々に気が付いていく。

定番のハンバーガーやホットドッグは肉とケチャップ、マスタード
味なので、まあ、どこで食べても同じだが、食べられる。
しかし、皆さんもおわかりになろうが、普通に彼らが食べているものの
平均値は、量が多いだけ、脂が多いだけ、甘いだけ、、。

スピルバーグであったか、死ぬ前になにが食べたいかと聞かれると、
ハンバーガー、と、答えていたように思う。

おそらく英米人は、味そのものはほとんど興味の外、なの
であろう。

フレンチだったりイタリアンのように美しくもないし
上品でもなく、複雑でもなく、高級でもない。
食べ物としてはむしろ、ジャンクであろう。

ハンバーガーやホットドックアメリカで食べれば
どこでもほぼ同じ味。これは、感動はしないが、
安心はできる。
(日本で食べても同じ味。ただ、ヨーロッパにはほとんどない。
アラブなどでは、モロッコであったか、旧仏領だからというのも
あってかハンバーガーがあっても似ても似つかぬモノだったりするのが、
おもしろかった。)

当時の記憶のせいであろうか、年をとっても、
ハンバーガーだったり、ホットドックであったり、こういった
BLTサンドイッチはやはりきらいではなく、時として、
無性に食べたくなる。

作る。といってもたいしたことはない。

まずはレタスをちぎって、水に漬けておく。

これがシャキッとしたら、水からあげて、ざるにとって
冷蔵庫へ入れておく。

トマトを二枚ほどスライス。
包丁が切れないとトマトを真っ直ぐにきるのはむずかしいが
うちの包丁はいつも切れる、のでOK。

ベーコンを焼く。
スライスされたパックのもの。
1/2の長さのもの4枚。

今流通しているのは、ほとんどのものが脂が少な目のもので薄い。
本来は、脂たっぷりで、厚切りをフライパンで
焼いて、脂を抜きながらその脂でカリッとさせる。
ただ、脂が少ない今のものは焼いてもこうはならない。

同時進行で食パンは二枚、オーブントースターで焼く。

塗るのはバター。

レンジで温め、柔らかくする。

トーストが焼けたら、バターを塗って水気をよくとった
レタス、スライスしたトマト、ベーコン。
ベーコンの上にマスタード



上にやはりバターを塗ったトーストをのせて、
一度押し付けながら竹串を二本刺して留める。

包丁で半分に切る。
本当はさらに斜めに半分に切るのだろうが、自分で食べるので
これで十分。



やっぱり、ビール。

アメリカン、らしくするのにはやはり、ベーコンが
厚くて脂があってカリッとしているのがよかった。

だがまあ、十分。

なんということはないが、うまいもんである。