浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



稚鮎

dancyotei2013-07-02


6月29日(土)



さて、アメ横

そのアメ横センタービルの三角形の頂点からみて左側の
二軒目の魚や。

今日の魚の種類は少なくない。

鰹、鰤、どちらも1本。(1200円)

鯵、鰯、鯖。
鯖はこの季節は、だめであろう。

太刀魚、鱸(すずき)。

目についたのは、5cm程度の小さな稚鮎。
なんと、1kgはあろうか、大量にあって、200円。

多少、凍っているところもあるので、
解凍ものなのであろう。

小さい鮎、というともう少し前、5月くらいに食べたが

天ぷらやから揚げでうまい。

これなどは、稚鮎というよりは、若鮎という名前があっていよう。

鮎というのは季節感もあり、なにより様子がいい。

尻尾は薄い黄緑で、身体の上部は薄く緑色を帯びている。
他の川魚とも微妙に違った鮎独特の流線型。
これらを合わせてそう見えるのか。

このくらいでもから揚げでいけるであろうか。
安いから、買ってみよう。

生はこんな感じ。



量はまだまだこの10倍はある。

大きさは、ちょうど煮干しくらいであろうか。
しかし、見た目は間違いなく、鮎。

この日は、呑んで半端な時間に寝てしまい、起きたのは夜。

この稚鮎は、深夜にフライにかかった。

片栗粉をまぶして揚げたので、フライではなく、から揚げだ。

別段、特別なコツなどない。
いい色になれば、揚げ上がり。

小さいので、高温で短時間でも問題なかろう。

ただ、難点は、よくはねること。

腹が柔らかいからか、どうもよく腹が裂けて爆発するのがあるよう。

とにかく量があるので、どんどん揚げる。

とりあえず、ボール一杯分を揚げた。



こんな感じ。

ビールで。

味は、ちょっとほろ苦い、若鮎と同じようである。

ちょっと洒落た、酒の肴。

あとは、どうしようか。

揚げる以外では、佃煮のようなものか。
鮎は甘露煮のようなものにもする。
あり、かもしれない。

作ったのは、翌、日曜日の午後。

揚げた時も問題にはなったが、柔らかく裂けやすい腹。
これを多少なりとも回避したい。

一度、湯通しをして洗ってからにしてみようか。

ざるに取り、熱湯をかける。

水にあけると、熱の入った稚鮎は柔らかく、はらわたも出てくるが
頭も取れてくるのがある。

なん回か水洗い。

これ以上、崩れないように慎重に、水がきれいになるまで、
よく洗う。

ざる二杯分。

OK。

鍋に洗った稚鮎を入れ、水。

軽く煮立ったら、しょうゆ、酒、みりん、砂糖。
濃いめの味付け。

しょうゆは、濃口だけでなく、たまりも入れてみる。

お。そうだ。
煮詰めたつゆで煮る、という手を使おうか。

穴子の煮汁を煮詰めた鮨やで使う甘いたれ、というのが
うちは常備をしているが、ああいうしょうゆを煮詰めたもので
煮ると、色も味も早く濃く仕上げられる。
柔らかいものだから、煮すぎれば身もどんどん崩れてこよう。

入れたつゆを、別の鍋に一度あけて、煮立て、煮詰める。
しょうゆが煮詰まってきた目安は、鍋肌に干上がったしょうゆが
ついてくるくらい。

ある程度煮詰めて稚鮎の鍋に戻す。

度色がついてきた。

味見。

佃煮や甘露煮方向を目指すならば、まだ薄いか。

砂糖、しょうゆを追加。

さらに弱火で煮る。

数分で止め、しばらく置いて落ち着かせる。

味見。

ん?!。
しょうゆを入れすぎたか。

塩味が強くなってしまった。

少し水を加え、砂糖、さらにみりんも加えてみる。

それから、最初から気になっていたのだが、苦味。
よく洗ったので、はらわたもだいぶ取れているが
残っている。

鮎のはらわたの苦味というのは、どうも気になる。

生姜でも入れようかと思ったが、生憎切れている。

!山椒だ。

ちょっと思いつきだが、麻婆豆腐にに使っている
中国の山椒、花椒(ホワシャオ)を使ってみようか。

あたり鉢で軽くつぶして、入れてみる。

しばらく煮て、もう一度落ち着かせる。

味見。

おお、山椒の効果、絶大。
いやな苦味はなくなっている。

塩味は減って色も薄くなり、佃煮という感じではなく、
普通の煮もの程度。

このくらいでもよいか。
これ以上煮れば、ぼろぼろになりそうである。



木の芽でもあれば、多少は乙な感じになるのだろうが、
見た目は、鮎というよりは、ほぼ煮干し、に、なってしまった。

まあ、味はわるくないのだが、
鮎らしいかといわれれば、まあ、ほとんどわからない。

なにか、ビミョウ、なものができてしまった。