浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



茄子の煮びたし

dancyotei2013-06-09


6月5日(水)夜



さて。



夜。



ダイエット、と、いうほどのこともないのだが、
ちょっと今日は野菜を食べよう、と、考えた。


暑くなってくると、茄子、で、ある。


むろん、茄子は今、一年中あるが、
やはり、夏から秋。


特に、この初夏の時期になると食べたくなる。


なににしようか。


茄子で最も好きな食べ方は、私の場合は焼き茄子。


皆さんは焼き茄子というと、網などで焼いて、皮をむき、
生姜じょうゆなどで食べるのを思い浮かべられるかもしれぬ。
しかし、子供の頃から家ではフライパンに油を敷いて焼き、
皮はむかずにそのまま食べる。
かけるのは、やはり生姜じょうゆ。
2010年



こんなやつ。



簡単でうまいものである。



だが、今日はちょっと目先を変えて、
出汁を利かせて煮びたしというのか、
揚げびたしというのか、にしようか。


帰り道、ハナマサに寄る。


茄子は普通のものもあるが、長茄子がある。
これでやってみようか。


帰宅。


まずは、出汁を取る。


量はたいしていらぬであろう。
小鍋に水を張り沸騰させ、鰹削り節を入れる。


お!そうだ。
昆布も入れようか。


昆布を洗って、入れる。
火は弱火。


3分ほどで火を止め、あとは放置。


茄子。


長いので、長さを生かすため1/4に縦に切る。
3本ほど。


フライパンに油を多めに入れ、加熱。


茄子を入れる。


火を通すと同時に油を茄子に吸わせる。


火が通ったら、皿にあげておく。


出汁。


鰹節と昆布をざるで濾す。


いつもそうだが、出汁を取った後の昆布は再利用、
佃煮のようなものにする。


昆布を一口の正方形に切って、
小鍋に昆布を入れ、酢としょうゆ。
煮含めながら、煮詰める。


煮詰まったら完成。
塩昆布のようなものだが、うまいものができる。


同時進行で出汁の味付け。


濃口しょうゆ、酒、みりんも少し。


味付けの濃さは出汁をちゃんと取ったので
多少控えめでよかろう。


煮立ったところで茄子も入れる。


もう一度煮立ったら、火を止める。


このまま置いて味を含ませる。


10分、15分ほど。


皿に取る。





ちゃんとした和食の店でこういう野菜の
煮びたしだったり、含め煮のようなものを食べると
まったく驚かされる。


多くは京料理の系統であろうが、
色は薄いが野菜に実に旨みのある出汁が
含められている。


私など東京で生まれ育ったので
魚でも野菜でも煮物といえばしょうゆの濃い味。


今日はしょうゆは濃口を使ったが
ちゃんとした出汁を取ると十二分に
うまいものができる。


長茄子、二本分ほど、ビールとともに
食べてしまった。