浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



箱根塔之澤・福住楼 その1

dancyotei2012-12-24


12月22日(土)



さて。



連休。



毎年のこと、箱根、塔ノ沢温泉の
老舗旅館[福住楼]へいく。


正月には毎年、どこへも行かず、
元浅草の自宅ですごす。


その代り、ということでもないのだが、
暮に箱根へ行く。


単なる温泉地への旅行ではなく、
一応の目的があり、年賀状書き。


年賀状書き、というのは、家にいると忙しい暮、
いや、忙しくなくとも、まったくはかどらない。


旅館に籠れば書けるだろう、ということから
始めた。


もう、なん年になるのだろうか。


この日記をさかのぼると98年の暮


どうもこのあたりから、毎年の恒例に
なっている。


それ以前にもなん回か行ってはいるので、福住楼へは
行き始めてから15年、20年弱にはなるのではなかろうか。


この旅館は明治の創業。
建物は、国の登録有形文化財


部屋は一部屋一部屋異なった意匠の
数寄屋造り。


むろん新品(しんぴん)でピカピカではないが、
その凝(こ)った造りは単なる古い温泉旅館以上のもの。


わずか年1回だが、それでも毎年欠かさずきているのは
これがよいから、で、ある。


1時すぎ、車で出る。
雨で寒い。


雪にでもならねば、と心配。


箱崎から首都高にのって、東名、小田原厚木道路


塔ノ沢は箱根湯本から一つ目。


雪の心配もなく、3時半、福住楼到着。





より大きな地図で 断腸亭料理日記・福住楼 を表示



箱根の山は霧に覆われている。



早川に架かる千歳橋を渡って塔ノ沢に入ってすぐ。
左の角。


車を駐車場にとめて荷物を持ち、
通りを渡って玄関から入る。


名乗ると、女将さん、若主人、番頭さん、
仲居さん、その他、知った顔が迎えてくれる。


部屋は桜の五。


早川沿いの三階の端の部屋。


静かでよさそう。


入って、六畳の次の間があり、主室は十畳。


主室の窓。





この窓は今は入ってきた、一号線の通りに向いている。


アールのついた形がお洒落、ではないか。
向かって右側の障子。





これも単なる一本の桟(さん)ではなく、
真ん中が四本、その前後が三本、さらに二本。


上には、なにやら額入りの書が掛かっている。
(読めない、が。)


額の向こう側は、飾りなのか、さらに窓がある。
この障子の向こう側が川側。





入口側の襖。


反対側、床の間。





まったく、贅沢な造り。
床の間だけで、二畳以上ある。


掛け軸と香炉、手前には木製の鳥、鷹だか鷲だかの置物。


その左側。





電話があるが、ここはあかり取りの障子があって、
書き物をすることを想定したところ。


窓の形自体もお洒落だが、障子の桟も凝っている。
また、この上の、欄間の彫り物、梅に鶯なのだが、
これもまた、お洒落。


次の間。


主室の襖の裏側。





衣桁があって、こちら側の襖の柄は、渋い柿色の大きな市松模様
こういうのを、あか抜けている、というのではなかろうか。
単なる田舎の古い旅館、ではなかろう。


川側の障子を開けた向こう側。





お約束の籐の椅子があって、手すりがあり、硝子窓。


手すりがちょっとモダンなデザイン。


写真ではわからないが、この窓の硝子がまた、古いもの。
まさに硝子と漢字で書くのが合っている。
斜めからみると、歪んでいるのが判る。


外の景色はもう冬枯れに近い。
例年であればまだ、遅い紅葉が見られるが、やはり今年は
箱根も冬が早かった。



と、いったところで、今日はここまで。
また明日。











福住楼