浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



西浅草・関西すし・468(ヨーロッパ)

dancyotei2012-11-08


11月4日(日)夜

さて。

このところ、出張続き。
また、来週以降も、しばらく続く。

日曜、夜。
今日は、先日、前まできて入れなかった、西浅草の不思議な名前の
関西すし、468(ヨーロッパ)

改めて、仕切り直しでいってみようということにした。

念のため、TELを入れてみる。(非公開)

知らなかったが、ここ、通しで営業しているとのこと。(休みは月曜のよう。)
5:30にする。

10分前、自転車で内儀(かみ)さんと出る。

場所は、合羽橋道具街の北部、一本東へ入った、裏通り。
大きなタワーマンションの西側に面している。

裏通りを通って、店前に到着。

店の間口は1間半くらいであろうか。小さな店。

電柱の脇に自転車を止めて、格子を開ける。

右側が狭い小上がり。
左側にカウンターがあり、その中が調理場。

先客は同年輩くらいの男女一組。

向こう側には白い上っ張りに白い板前用の帽子を被ったご主人一人。

随分と久しぶり。(3年ぶり)

ここのご主人は京都の有名鮨店、すし岩で、修行をされ、
東京へこられ、ここへ店を開いた。
それが、6〜7年前、という。

我々がここへ初めてきたのが3年前なので、あの時既に
3年ほど経っていたのだった。まだ、初々しい感じであったが。

帽子から見える短髪には、だいぶ白髪も混じっている。
軽い関西弁。

物腰は今も初々しい感じ。
キャラクターなのであろう。
板前、あるいは、鮨職人だと、無口、あるいは、
逆に威勢がよいというのがステレオタイプだが、それらには
あてはまらない。

ビールをもらって、おまかせでお願いします、
と、いうと、

できますものは、後ろの壁に貼ってあるものだけで、
それ以外、作れっていわれても、できないんですが、、、、
は、は、、。

明日、定休日なのに(お任せとは)また勇気がある!。

は、は、いいですよ。
在庫処理してください、と、応える。

関西のノリがあるのだろうが、ちょっと、不思議な受け答え。
おわかりになろうか、こんなキャラクター。
お年は、40になったところ、ということ。

無花果(いちじく)の胡麻掛けは入れてほしいと、内儀さん。
私は、この店の看板のじゃがいもの吸物、芋吸(いもすい)あは入れて、と、頼む。

基本、ここは、押しずし、だったり、巻いた棒ずし、
などの、関西すし。
江戸前風の、にぎりの鮨は、ない。

おまかせで頼むと、料理が出て、最後にその関西ずし、と
いうことになる。

お通し。



穴子の骨の素揚げ。

それから、おひたし。



さすがに京都風で薄味。

ここで、無花果



どこか、おそらく京都、で食べたことがあると思うが、
あちらでは秋の定番なのかもしれない。

べたべたの甘さではない、胡麻だれ。
デザート(甘味)なのか、料理なのか。
まあ、料理、の範疇に入る、のであろう。

うまいもんである。

焼き物。



かます、と、いう。

随分と脂がのって、うまい。


はもと松茸の小鍋。



はもといえば、夏のものだと思って聞いてみると、
もう最後ですが、夏よりも脂があってうまい、とのこと。
これよりも、遅くなると皮が堅くなる、とも。

ものがよいのか、松茸がいい香り。
はもも、つゆも、ばかうま。

ここ、完全に一人でやられているのだが、我々を含めて二組の客、
途中からもう一組入ってきたが、まったく料理が出てくるのを待つ
という感じはしない。流石である。

鴨。



焼いたものか、あるいは、軽い燻製なのか、レア。
つゆがかかっているよう。
柔らかくて、うまい。

そして、大立者、関西すし。



手前が鯖と穴子の棒すしを切ったもの。

鯖はよい脂たっぷり。
塩梅もよい。

穴子は、はも、のように、骨切りをして、焼いてあるのか。
東京の煮穴子にくらべてしっかりした食感。

向こう側は、押しすしで、海老、玉子、白いのは、きす。

玉子は、江戸前の海老のすり身などを入れた厚焼きと
ほぼ似たような感じのもの。

きすは、私のよくいく、新橋のしみづ、などでは酢〆でにぎっており、
以前には、江戸前鮨では一般的なものであったが、今は
あまり使わなくなっている。

彩りもよいし、どれも、うまい。

最後は、看板の芋吸。



ご主人が修行をされた、京都のすし岩の考案で名物であったもの、
という。
いわば創作料理ということだが、こなれた和食の吸物になっている。

すりおろしたじゃが芋に、浮いているのもじゃが芋の揚げたもの。
ゆずの香りもよい。


ご馳走様でした。
うまかった。

ビール二本に、立山の冷酒一合で、
二人で、12000円。

リーズナブル、と、いってよかろう。

こちらの鮨やの感覚でいくと、妙な感じだが、
関西すしが売りの京風板前割烹。
そんなつもりでいくと、ゆっくり飯が食える、
とても居心地がよい店、で、ある。

台東区西浅草3-23-14
電話非公開