浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



矢来町・仏料理・ブラッスリー・グー

dancyotei2012-10-29


10月26日(金)夜

そうとうに、お久しぶり、で、ある。

なにかというと、矢来町のフレンチレストラン、
ブラッスリー・グー


もう6年もご無沙汰、で、あったか。

毎度書いているが、私のオフィスのある市谷牛込界隈は
知る人ぞ知る、フレンチ、イタリアンなどレストラン密集地帯。

中でも、このブラッスリーグーは奇跡の¥1000ランチで
知られていた。(現在形でもあるよう。)

私がこの界隈のレストランを歩いていたのは、
このグーの2006年が最後なので、それ以前の、2002〜03年頃からか。

大方がランチだが、この店の影響でこの界隈のフレンチ・イタリアン
レストランのランチは¥1000という相場ができていた。

その数ある界隈のフレンチ、イタリアンレストランの中でも
グーは、ピカ一。

¥1000なので、高級食材などはむろん使っていないが、
技術、味はもとより、なによりボリューム感があり、
男のランチでも十分に満足ができた。

イタリアンはともかく、それまで、フレンチは、まあ、
ほとんど縁がなかった私である。
この3〜4年の間、毎週のように、あるいは、それ以上、
この店をはじめ、界隈のレストランで食べていたおかげで、
随分とフレンチのメニューの勉強をさせていただいた。

行かなくなった理由は、とりたててないのだが、
集中的に通っていたので、ちょっと飽きた、ということではある。

で、今日は、所属する部門の宴会。
幹事に相談をされたので、リコメンドしてみた。

毎度書いているが、会社の宴会なぞ、どこでもそうだと思うが、
ネットで幹事が検索して、チェーンの居酒屋、というのが
パターンであろう。

ネットなので幹事すら行ったこともないところ、というのも
よくあること。
これは、ネットのなかった昔では考えられなかろう。
以前であれば、知っているところ、あるいは、少なくとも
誰かの紹介でいっていた。
便利、ではあるが、どこへ行っても同じようなメニュー。
あまり賢いこととも思えない。

義理の宴会、なのだから、なんでもよい、というのもわからぬではないが、
せっかく、4〜5000円、あるいはもっと、出して
飯を食うのであるから、納得できる食事をしたいではないか。

そんなことで、牛込矢来町のフレンチ、ブラッスリーグー。

昼は1000円、夜は3000円のプリフィクス。
宴会でもこれから選ぶ。

6時半の予約で、8〜9人、ドヤドヤと向かう。

牛込中央通りと大久保通りの牛込北町交差点を北へ渡り、
みずほ銀行の大きな社員住宅の前。

小さな店。
ガラスの入った赤い木の扉。

中は、奥に細長くぎっしりとテーブルが並んでいる。

おや。
しばらくこないうちに、この店、隣もぶち抜いたのか、
奥ができている。

以前は、シェフとアルバイトの女の子二人くらいで
てんてこ舞いでやっていたと思うが、厨房もホール係りも、
一人二人、増えている。

まず、白のワインを皆で二本もらい、それぞれ、前菜、主菜、デザートと、
プリフィクスの料理をオーダーする。

プリフィクスとはいえ、前菜も主菜も、10種類以上から
選ぶことができる。

私は、前菜は鴨のリエット。
主菜は、鶉のバターライス詰めカレーソース。

デザートはモンブラン

前菜。




鴨のリエット。

この類は、鶏レバーのパテ、フォアグラのテリーヌ、
などなどあるが、鴨を選んだ。(この他に、エスカルゴ、サーモンマリネ。
野菜系ではラタトゥイユなどなど。)

鴨のリエットは厚切りで、食べ応えもある。
バケットとともにバクバクと、食べる。

野菜もたっぷり。

主菜。




主菜は、他には、魚で、一品。ちなみに、今日は鯛であった。
牛フィレステーキ、牛頬肉の赤ワインソースあたりの定番から、
牛タン、子羊のロースト、それから、豚、鴨、などなど、煮たもの、
ロースト、色々と取り揃えている。

こんがりロースとされたうずらの中には、
ぎっしりと、バターライス。

付け合せの野菜は、にんじんにきのこ類、
ヤングコーンなど。

やはり、なかなかのボリューム、で、ある。
そして、カレーソースというのもまた、カジュアルでうまい。

高価な食材は使っていない、などと書いたが、
私などには十分に、豪勢なメニュー、で、ある。

ボリュームだけではなく、むろん、味もよい。

デザートのモンブラン





どんなものが出てくるかも思っていたら、こんな感じ。
(栗のクリームでもあるのか。)

カプチーノ



うまかった。


ご馳走様でした。

これで、食事が3000円。
ワインは8〜9人で3〜4本、一人〆て、5000円を切る。
ランチの1000円と比べれば、驚異的とまではいかないまでも
そうとうにリーズナブル、で、ある。

今、東京のフレンチ、イタリアンのレストランの相場は
ディナーであれば、6000円以上。
飲み物を入れて、10000円コースであろう。

このグーのような店があると、そういう店は、一体なんなのか、
とも、思えてくる。

鮨やなどと違って、材料が高価、といっても、kg数十万というような
マグロを使うわけではなかろうし、限度があると思われる。
後は、場所代と、料理人の人件費、技術料なのか。

有名になり店が流行れば、ボロい商売、なのかもしれない。
(バンバンと支店を増やしている店もあるのはそういうこと、
かもしれない。ただ、人気商売、流行る、というのは、これはまた、
一筋縄ではいかないというのも、事実、ではあろう。)


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