浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



断腸亭の夏休み イタリア その8

dancyotei2012-08-28



8月10日(金)



引き続き、ローマ。



ナヴォーナ広場近くにあるレストラン、
イル・コンヴィーヴォ・トロイアーニ
Il Convivio Troiani





前菜、魚、海老、魚介類と続き、
次はパスタ。





スパゲティー。


真夏だと日本では、パスタなども冷製が出そうだが、
温かいもの。(冷製というのは、あまりイタリアでは
食べられていないのかもしれない。シシリアでも見かけなかった。)
また、昼同様、日本で食べるスパゲティーよりも気持ち太目。
そして、いわゆる、アルデンテ、よりも柔らかい。
(そう、この昼にも食べ、シシリアも含めて、イタリア滞在中は、
この後もなん度も食べているが、アルデンテ、というスパゲティー
あまりなかったような気がする。
意外に、イタリアで食べるスパゲティーは柔らかい?!。)


トマト。


なのであるが、、、他のものは、入っていない、
ように思える。


説明は特になかったような気がする。
しかし、、、なにかわからぬのだが、トマトだけでない、
得も言われぬ他の味、出汁のようなもの?の、味がする。


なにか別のうま味を付けているよう。


不思議なスパゲティー・ポモドーロ。


このあたりで、もう腹は一杯になりつつある。


が、むろん、肝心のメイン、肉料理。





詰め物をした鶉(うずら)。


詰め物の方に味が付いているからか、
ソースはさっぱりめ。
奥の青味は、ほうれんそう。


デザート、ドルチェ。


三皿あるうちの、一皿目。
(デザートで三皿!。)




いちいち、盛りつけがお洒落、で、ある。


赤いのはラズベリー
これは見てわかるか。


右側の白いのが、ジェラート
なのだが、これも味を忘れてしまった。
そして、上の円柱型の茶色っぽいものは?
、、、はて、なんであったか、、中はクリームのようなもの
で、あったと思うのだが、、やはり、覚えていない。


二皿目。





まるで、皿に絵を描いたよう。


ピンク色の皿に下地のように散らしてあるのは、
ラズベリー(?)味の飴。


左に白いアイスクリーム、シュー生地に、中に
なにかのクリームが入っていたかどうか、、これも忘れた。


そして、まだドルチェは続く。
最後に出てきたのは、これ。





一つ一つは2〜3cmほどのかわいさ。


ゼリーだったり、マカロンだったり、プリンも
味は見た通りのでプディングなのだが、このかわいさ。
(下の、コーヒーとの比較で大きさがおわかりになろう。)


が、さすがにこれは食べきれず、
包んでもらった。
私が食べたのは、プリンだけだったが、
内儀(かみ)さん曰く、他のものも、べら棒に
うまかったそうである。


コーヒーは、カプチーノ、ではなく、
私は、普通のコーヒーにしてもらった。





が、アメリカンコーヒーよりもやはりイタリア、
深めのロースト。


さて、お会計だが、コースだけで
120〜30ユーロであったと記憶。
(むろん、安くはないが)
このレベルであれば、こんなもの、で、あろう。


オーソドックス、と、いうよりは、驚かせて
愉しませてくれる料理であった。


シェフも若く、開店数年という。


東京で食べる有名シェフやホテルのイタリアンでも
出てきそうな感じもする。


昨日も書いたが、イタリア料理のシェフが、こういう新しい味を
開拓するのであれば、日本料理だったり、東南アジア料理など、
他の国の味や調理法、食材を生かす、というのは、
よくある手法なのであろう。


そう考えると、日本人のシェフというのは
よっぽど有利、であると、いわねばなるまい。


日本料理、と、いうのは、例えば美食の代表、フランス料理とは
考え方が大きく異なっている。
一番大きな違いは、フレンチは足し算なのに対し、
和食は、引き算と、よくいわれる。


片や、ソースで味を加えて一品の料理に仕上げる。
片や、吟味した素材をさらに磨き上げて、本来のうまさを引き出す。
(イタリアンも素材をあまりゴテゴテいじらないので
日本人に馴染みやすいのかもしれない。)


海老の頭を揚げる、というのも、
素材を磨き上げる、という日本人の味覚とセンスが
生みだした手法、と、いってよいように思う。


フレンチやイタリアンの技術に日本料理などの
考え方、センスを加え、より新しい、うまいものを生み出そうという
試み。
これはやはり、東京のイタリアンシェフは
そうとうに有利、で、ある。


技術を覚えることよりも、考え方=センスを理解する方が
よりレベルは高かろう。
また、むろんうまい日本料理がたくさんある東京の方が
そのセンスを磨くのにも有利であろう。


ともあれ。


ご馳走様でした。


おいしかった。


中世の雰囲気の残る裏路地へ出る。


この表は、アルテンプス宮という、やはり中世、
16世紀の枢機卿の館、で、あった。
(今は、国立博物館の一つ。このあたり、
ローマ旧市街はこんなものがごろごろあり、
とても見きれない。)


ナヴォーナ広場を抜けて、バス通りに戻り、
乗ってきたバスを見つけ、テルミニ駅まで。



長い一日、で、あった。