浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



日本橋・吉野鮨

dancyotei2011-06-12

6月9日(木)夜



市谷からの帰り道。


7時半。



え〜い。


今日は、鮨だ!。

日本橋の吉野へ。


ちょっと、久しぶり、で、あろうか。


市ヶ谷駅から総武線飯田橋
東西線に乗り換えて、日本橋まで。


高島屋の出口から出て、閉店まぎわの
店内を抜けて、向こう側へ出る。
右に曲がって、吉野鮨前。


暖簾から中を覗く。


カウンターが一つ二つはあいていそうだ。


格子を開けて入る。


カウンター出口側の壁から三つ目に座れた。


座れたが、カウンターも、テーブルもほぼ一杯。
なかなかの、盛況、で、ある。


なにはともあれ、
ビール、ビール。


ヱビスの中瓶。


この出口側は、若主人の前。


どうします?
と、若主人。


隣のお客が、食べていた、つまみ。
鰹。


それから、鯖にでもしてみるか。


鰹は、たたき。
鯖は、やはりこの時期は、今一つであったか。


ビールを呑みおえ、にぎり。
お茶をもらう。


光物から。
小肌と、鰯。


家でもこのところ、なん回か食べているが、
鰯が、うまい。


目の前の冷蔵ケースに、あった切れっ端。
隣の人が、これはなにかと聞いていた。


きんめ、昆布〆。


あ〜、それ、下さい、と、脇から、もらってみる。


切れっ端、で、あったが、めっけもの。
たっぷりと脂があり、うまい。


続いて、白身


鯛。


さらに、かんぱち。


たこ、に、蛤。


蛤だけではなく、たこにも、甘いたれをつけてもらう。


最後の巻物は、ひもキュウ、と、思ったが、
ひも、が、切れている、とのことで、
わさびをきかせたかんぴょう巻き。


うまかった。


と、いうことなのであるが、今日は、この店の
客層というのか、お客さんのことを少し、
書いてみたい。


やはり、日本橋、という土地柄であろう。
特徴がある。


銀座や、新橋、あるいは、浅草、上野、などとも違う。
独特ではなかろうか。


サラリーマン、それも、カウンターなどは、
60歳を越えているであろうと、見受けられる、
男性が多い。


こういう人は、ほぼ、見るからに、人品がよい。
上等なスーツをびじっと着て、背筋が伸びている。
物静か。


勝手な想像だが、この界隈の会社の取締役以上の方、
ではなかろうか


一人のことが多いが、早い時間だと、
女性と二人ということも、まま、あるようである。


この女性は、いわゆる“お姐さん”ではなさそう。
着ているものや化粧なども、派手ではなく、
思うに、秘書の方、ではなかろうか。


そして、今日なども、数組いたのだが、
この界隈のお店の旦那、あるいは、若旦那、
といった感じの方。


この店のご主人などと、親しげに世間話など
されているので、そう、想像した。


この方達は、スーツ姿ではなく、お腹の出た
小父さんだが、やはり、基本は上品。
そして、意外に、なのか、さもありなん、
なのか、腰が低い。


銀座、などであれば、こうはいかなかろう。
昔からの老舗なども、そう多くはない。


そういう意味では、日本橋は、まだまだ、
老舗も、残っている。


山本山、栄太郎、山本海苔、、。
(むろん、まだまだ、あるが。)


「今日は、入ってますね〜」


「そうですね、少しよくなってきたけど、、


でも、今週、月曜は、さっぱりでしたよ」



なんという会話。



やはり、東京の古い商業地、日本橋の雰囲気と、
いったらよいのだろうか。


いわゆる、東京の鮨やの相場よりは、多少安い。
鮨は、気軽に食べるもの。


やはり、そうであろう。


この店のメッセージ


「たかがすし屋、されど鮨屋


と、ここにくる、背筋の伸びた、
そして、腰が低い、上品なお客さん達。


これが、本当に日本橋らしい、というところ、
かもしれない。




よい鮨や、で、ある。




(お勘定は、6200円)






東京都中央区日本橋3-8-11
03-3274-3001