浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



池の端藪蕎麦

前後してしまったが、
月曜日、祝日。



3月21日(月)夜


地震、それに伴う、津波、さらには原発
など、騒がしいのだが、明日は重要な報告があり、
その準備のため、昼前からオフィスに出る。


雨で寒い。


暑さ寒さも彼岸まで、などというが、
まさか地震の影響ではなかろうが、
あれ以降、東京でも、比較的寒い日が続いている。


2時すぎまで、オフィスで仕事。


仕事をしながら、帰りになにか食べよう、
と、考えていたのだが、思い付いたのが、
池之端の藪蕎麦


温かい酒と、温かい蕎麦、は、
よいだろう。


大江戸線牛込神楽坂で乗って、
上野御徒町で降りる。


3時前、雨はもうやんでいる。


飲食店やら、風俗店が軒を連ねるこのあたり。
祝日のこの時間、普段ならもう少し人通りも
あるようにも思うが、ほとんどといってよいほど、
いない。
呼び込みの兄ちゃんも、ひまそう。


仲町の通りに出て、左。


藪蕎麦は、暖簾が出ており、営業中。
暖簾を分けて、戸を開け、入る。


客の入りはそれでも1/3程度か。
この界隈の人通りにしては、入っている、
と、いうべきだろう。


テーブルでも、お座敷でもお好きなところに
どうぞ〜、と、お姐さん。


私の好きな、座敷の一番外寄りがあいている。
座ろうか。


なぜ、ここがよいのかといえば、
店の前のちょいとした緑が見えるから。


座って、お酒を、もらう。
つまみは、馬鹿の一つ覚えというのか、
ここでは、これしかないであろう、と、思う、
柱わさび。小柱、で、ある。


ほどなく、お酒から。





すぐに、柱わさびも。





つまみながら、ゆっくり、呑む。


前にも書いているが、ここの木のお盆の上は、
なんともいえない、酒呑み空間で、落ち着けるもの、
で、ある。


この器、しょうゆ差し、一合のお銚子と袴、猪口。
よいもんである。


さて。


蕎麦は、温かいの。
やっぱり、鴨なん、がよいか。


ここで、そういえば、私は、温かい蕎麦を
頼むことはそう多くはないかもしれない。
鴨でもざるの方。


きたきた。





別に焼いてのせた肉もよい色で、うまい。
また、焼いたねぎも香りよく、あまく、温まる。


それに、つくねも入って、充実の鴨なん、で、ある。
これだけ、吟味して作られている、鴨なんは、
都内でもそう多くはなかろう。


大満足。


勘定をして、出る。



いい気分で、仲町の通りを広小路まで。







池の端藪蕎麦