浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



日本橋高島屋特別食堂・うなぎ・五代目 野田岩

2月18日(金)夜



夕方、渋谷で仕事終了。
今日は、直帰、と、決めた。



渋谷で、ちょいとなにか、と、思い、
以前行ったことのある、蕎麦やを、おぼろげな記憶を
頼りに、捜してみるが、見つからず、断念。


(これは、宮益坂下にあった、平野屋、という
蕎麦やであった。こちらは、閉店しているよう。)


あきらめ、銀座線に、乗る。
虎ノ門か、新橋か、はたまた、京橋、日本橋
神田、上野広小路
文字通り、この銀座線のライン、下町系、
で、あれば、私のホームタウン。
蕎麦でも、鮨でも、なんでもあり。
選択肢は、たくさんある。


本を読みながら、銀座線に乗っていると、
新橋でもよかったかなぁ〜、などと考えていたのだが、
いつの間にやら、気が付いたら、京橋。


おっと、どうしようか。
日本橋にするか。


時刻は18時半前。
日本橋で降りる。


またまた、で、あるが、吉野鮨
やっぱりこの時期のもの、この前も、頭をよぎった、
白魚を食べたい、と、考えたのである。


高島屋の中を抜けて、行こう、と、考えた。
地下から、高島屋に入ると、なにやら「東西名匠老舗の会」
なるポスターに目がとまった。
読んでみると、新富町の足袋や、が店を出している。
ちょっと覗こう。明日『講座』でもある。


階上に上がって、大野屋さん。


ここで買うのは、初めて。
新富町というのは、昔、歌舞伎の新富座があった縁で
役者さんの足袋を多く手掛けてきたところ。
(銀座の現在再開発中の歌舞伎座のそば、昭和通り
交差点角にも銀座大野屋、という名前で足袋、手拭いを
扱うお店がある。新富町が総本店を名乗っているので、
暖簾分けかもしれぬ。)


男ものもありますか?


と、聞く。


今時、男で、足袋など買う人は、なかなかいないのである。
デパートの呉服売り場でも、今は、男ものを
置いていないところもある。


店番の男性。


五分刈りのゴマ塩頭。
眼鏡を掛け、わりに柔らかい物腰。


はい。(もちろん!、という顔。)


柄ものですか?


と、柄の足袋を指差す。


いや、白足袋。(こちらも、もちろん、という顔。)


(失礼しました、という顔。)


いつもは、26.5、なんですが。
と、私。


すると。


男性用には、こちらの「梅」、
やや甲高のものを、お勧めしています。


ほう。デパートで買うと、男ものは、靴同様の、
長さ方向のサイズしかないが、ここは、
高さ方向のサイズもなん種類か用意している。
さすが、で、ある。


はい。
じゃあ、それで、二足下さい。


しかし、生憎、一足しか、そこにはなく、
送ってくれる、ということで、住所を書いて、
一足だけ包んでもらい、勘定をし、高島屋の階下に降りる。


道を渡って、吉野鮨まできてみる。


しかし!。


きてみると、カウンターの席は空いているのだが、
予約があるらしく、断られてしまった。


初めて、で、ある。今までは、予約なしでも
一人くらい、座れたのである。逆に、時間がわるかったか。
もう少し、時間が経てば、別だったかもしれぬ。


はて〜。


困った。


ふむ、ふむ。
よし。困った時の、高島屋特別食堂。
と、くれば、いわずと知れた、野田岩、で、ある。


再び、階上に上がって、別館の特別食堂。
ウイークデーの夜は、並びもせず、丁重に
席まで案内してくれる。


瓶ビールをもらい、今日は、中入れ丼、
に、してみようか。
私は初めてだが、池波先生は、これが
定番であった、ような記憶もある。


きた。





山椒をふって、箸を入れる。


上にのっているものと、同じ大きさのものが、
中に、もう一枚入っている格好である。


上に乗っている、普通のお重と、どう違うのか。
まあ、たいして違わないのだが、食べる時には、
もともと中に入っているので、飯(めし)と、
より、混ぜて食べる、という格好になる。
つまり、蒲焼の混ぜ込みご飯のような感じ。
言い方を変えると、お重の方が、きれいに食べられる、
ということになる、かもしれぬ。


ともあれ、満腹。
うまかった。


まだ、地下の食品売り場があいている。
ちょいと、のぞいていこうか。








日本橋高島屋特別食堂