浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



西浅草・手打ちそば・おざわ

5月29日(土)第二食



さて。


土曜日。
今日も、うすら寒い。


のであるが、夏の羽織を見に、昼すぎ、
シャツにウインドブレーカーを引っ掛けて、
自転車で、出る。


行く先は、毎度お世話になっている、
浅草のちどり屋


合わせる着物は同じく、ここで買った、小紋の単衣。
これは、なん年か前に夏開いた、落語会用であった。


会は7月であったか、この時は
羽織は買っていなかったのである。


外を出歩くのであれば、まあ、着ていた方がよいだろう
と思い買うことにした。
着物は風呂敷に包み、持ってきた。


元浅草から出て、国際通りを渡る頃には、
心配をしていたが、ぽつぽつと、雨が落ち始めた。


店に着き、ご主人に説明。
このご主人には、どんな用途で着るのかなど、
できるだけ、ちゃんと話をしなければいけない。
それに合わせて、また、こちらの懐具合も勘案して、
お勧めを出してくれる。


落語をする。(これは面倒なので嘘。
実は『講座』用。結局これは後から話したのだが、、。)
前に買った、これに合わせたい、と。


いつですか?


6月です。


じゃあ、絽(ろ)、ですね。
もう衣替えの後だから。


絽、というのは、絹の荒く織った、透け透けの生地、
で、ある。


いわゆる普通の絹の羽織で、裏のないものは、
特別に誂えないと、ない、という。
なるほど、そういうものか、で、ある。


むろん、本物の絽、ではない。
本物は、べら棒に高価なもの、で、ある。


持っていった着物を着て、なん色か合わせてみる。


黒、というのが無難ですね。


と、いう、お勧めであったが、なんとなく、
おもしろみがないので、深緑のものにする。


一緒に風呂敷に包み、勘定をし、
ご主人に頑張ってください、と、
元気づけられ、ちどり屋を後にする。


さてと。


最初から、予定にしていたのであるが、
国際通りを渡ったところにある、蕎麦や
おざわへ。


ちどり屋は、五重塔通りという、六区から、
浅草寺への西の参道への通りにある。


おざわは、合羽橋通り、どぜうの飯田屋の前の
T字路を南へ曲がって、右側。


以前にあったところから、同じ建物だが、
少し、場所がかわっている。





店の前に、自転車をとめて、麻の暖簾を分け、
戸を開けて入る。


13時はすぎているが、にぎわっている。
一人客用の大テーブルは、誰もおらず、
一人で座る。


グラスで日本酒を一杯。
銘柄は、群馬泉。


この酒は、前から知ってたが、最近、よく
見かけるようになったかもしれない。


そばは、太打(ふとうち)で、鴨せいろ。
(この店には、鴨汁せいろ、という、鴨肉がつくねのものも
あり、こちらの方が安いのだが、これが切れており、
ノーマルな鴨せいろ。)


また、ここの太打というのは、驚くほど太い。
どうであろうか、厚みは2〜3mm、
幅が1.5cm〜2cm。
これほど太いそばは、他では私は見たことがない。


ここのメニューにも書いてあるが、この太打は、
すする、あるいは、手繰(たぐ)る、ではなく、
モグモグと、頬張る、という感じである。


むろん、普通の二八(にはち)、それから、
生粉打(きこうち、いわゆる、十割であったか)とあり、
それぞれ太さもノーマルなものなのだが、たまにここにくると、
どうしてもこの、太打を頼んでしまう。


呑みながら、待っていると、
きた。





鴨肉がきちんとレアに焼かれ、脂身であろうか、
鴨の出汁は出汁で、別に取ってある。
それから、焼きねぎ。
これも、うまい。


おそらく、私は、太打で、鴨(汁)、の頻度が
高いと思われ、段々に慣れてきたのであろうか、
気が付くと、太打でもまったく普通になっている。


千切っては食べ、千切っては食べ。


うまい、うまい。


食べ終わり、そば湯も飲んで、勘定をし、
笑顔のかわいい、女将さんに送られ、出る。


ぽつぽつときていた雨はなんとか持ちこたえている。



ちょいと、引っ掛けたら、もう少し呑みたく
なってしまった、、。
田原町赤札堂で、なにかつまみを買って、
家で呑もうか、、。









手打そば・おざわ
住所:東京都台東区西浅草2-25-15
電話:03-3841-6450