浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



赤貝と鰹刺身

dancyotei2010-04-27

4月25日(土)第三食



さて。



腹の具合もいま一つで、珍しく、
ビールも呑まず、カツカレーを食べ、
千束商店街の魚やで買ってきた、赤貝と鰹刺身は、夜。


赤貝は剥いていない。





以前に、剥いただけのものを
処理したことはあったが、完全に
殻を開けていないのは初めてである。



ちょいと調べてみる。



基本的に、貝類は、浅蜊でもなんでも、
プロは、貝剥(む)き、という小刀でむく。
昔は東京近郊では、浦安など、浅蜊などのむき身で
有名であった。よく女性がむいている映像を視たりしたが
驚くほどのスピードであった。


(どうでもよいが、貝は剥(む)く、という。
なんとなく、むく、という動詞は、リンゴをむく、
柿をむくといった、皮をむく、のに使うもののような気がする。
貝をむく、は、今ではあまり使わなくなったように
思われる。いや、実際には産地などでは今でも
むく、を使っているのかもしれぬ。我々から
遠いところになってしまった、ということであろう。)


調べてみると、他の貝と同様、貝むきで、
こじ開け、刃を入れ、貝柱を切り、開ける。
これでもいいようなのだが、どうも赤貝の場合、
大胆な開け方も、一般的のよう。


どうするかというと、叩き割ってしまう。


これはすごい。


やってみようか。


工具箱から、スパナを取り出す。
バジバシと、叩くと、さほどのことはなく、
割れる。





割れた貝殻を取り去り、まだくっついている
貝柱などは、貝むきの刃で外す。


随分と簡単。


なぜ、赤貝は、叩き割るのか。
他の貝でも、叩き割るので済めば、簡単でよさそうである。
よくわからぬ。
なんとなく、赤貝は貝柱が外れやすい、といような
感じもしたが、、、。


むいたものは、ひもと、身に分け、
肝の部分を取り、洗う。





身は、半分に開き、蝶の形にする。
ここにも肝が付いているので、これも
切り取る。
これで、終了。





大きくはないが、うまい。


鰹は切るだけ。





千葉産で、季節とすれば、初鰹といってよかろう。
おろししょうがで食べるが、さっぱりしており、
うまい。


少し余ったので、例によって、にぎり鮨にしよう、
と考えた。


飯を研ぎ、深夜、カタメモードでスイッチを入れ、
飯を炊く。


鮨酢は、20ccちょい、米一合分。
ほんの少しの砂糖と、しょうゆ数滴。
スイッチが切れて、きちんと計って11分。


ボールに飯を取り、鮨酢をふり入れ、
しゃ文字で、切りながら、よく混ぜ込む。
全体にいき渡れば、終了。
特に団扇などでは、煽がない。


少し前までは、この酢飯を作るのは、
私にとってはそうとうな鬼門であった。
だが、もう、ほとんど、問題なくできるように
なっている。


今考えると、どこがポイントだったのか、
わからないくらいである。


考えてみると、11分、きちんと蒸らすこと。
もたもたしないで、さくっと、手早く混ぜ込むこと。
煽ぐ必要は基本的には、ない。


だいたいにおいて、失敗は、水分が飛ばず、
べちょべちょになっていたのである。
これは、蒸らす時間が短く、飯粒の表面に
必要以上に水分があったこと。
加える酢も含め、飯の温度で、水分を飛ばすので、
温度が下がるとだめ。
温度が下がる原因は、煽ぐ、もたもたする、
この二つであった。


微妙な加減だが、蒸らす時間を正確にすることと
煽がないで手早く混ぜ込む、この二つをきちんとすれば、
まあまあ、普通の酢飯ができるようになったのである。


にぎりの方は、たいしてうまくもならないが、
赤貝と、鰹をにぎってみた。






形はともあれ、にぎりは、うまい。



満足、満足。