浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



バターチキン

2月27日(土)第二食



さて。



次は、なにを食べようか。
(なにか、食べること、ばかりだが、
今日ぐらいは、勘弁してもらおう。)


考えていて、出てきたのが、鶏を揚げようか、
というもの。


しかし、ただの、鶏から、では、おもしろくない。


インド料理で、鶏のもも肉をギーで、ゆっくり揚げて、
柔らかくする、と、いうのが、ある。


銀座中村屋のカリー、の、もとを作った

ボーズ氏のカレー
というものが、ヒント。


あるいは、銀座のナイルレストラン
ムルギーランチのチキンも、おそらく、そうだと思う。
見ている前で、ウエイター氏がナイフで骨を外してくれるのだが、
そうとうに柔らかかった。


まずは、冷凍庫の骨付きもも肉二本をレンジで解凍。


前にも、一度、油で揚げて柔らかくするのは、
やってみたことがある。が、この時は、ある程度時間をかけた
つもり、で、あったのだが、柔らかくするどころか、
中心が生、だった。


解凍も、骨付き肉は、時間がかかるのだが、
完全とまではいかないが、そこそこ、のところまで
解凍をする。


さて。
揚げる油。


先にも書いたが、インド料理であれば、ギー。
ギーというのは、バターを溶かした、インド料理で使う、
脂。


ストックはあるのだが、揚げるだけの量を用意
するとすれば、大量に必要。
そこまでは、手元にないし、また、揚げ油にしてしまうのは、
いささか、もったいない。


ラードにしてみようか。
ラードなら、揚げ物用に缶に入れてストックがある。


ラードは、湯煎をし、溶かす。


骨付きもも肉を揚げるには、揚げ鍋は、
少し大きいものがよいだろう。
中華鍋。


溶けたラードを中華鍋に移し、点火。


低温で、じっくり揚げる、ので、
そこそこ温かくなったら、もも肉を投入。


ここからは、前回の反省を生かして、じっくり。


時折、ひっくり返しながら、10分、20分。


だいぶいい色になってきた。
表面が焦げすぎてはいけないので、ガス台の大中小、
三つある五徳のうちの、最も小さいもので、極弱火。


30分。
竹串を刺して、みる。


あ、っと。
血が出てきた。


まだだ。
もう少し。


さらに10分ほど。


OK。
血は出なくなった。


ナイフフォークで、簡単に骨から外せるくらい、
と、いうと、もっと時間をかけた方がよいとも思われるが、
面倒なので、このへんでやめる。


さて、ここから、カレー本体。
バターチキンを作る。


これは、本来は名前をバターチキン、と、することもない、
と、思うのだが、私がずっと作ってきた、さらさらのインドカレーではなく、
ギーたっぷりで、手間も時間も、短縮されたものこってり系のもの。
(ドバイでも盛んに食べたし、秋葉原のジャイヒンドなど、
東京でもこのこってり系は増えている。)


なにしろ、玉ねぎを狐色まで炒める、と、いう
手間がかからぬだけでもよい。


まずは、フライパンにスパイス各種、ホールも含めて、
大匙3〜4杯のギーで、焦げぬように、炒める。


今日入れたのは、クミン、コリアンダーキャラウェイ
ターメリック、レッドペッパー、以上パウダー。
グローブ、シナモン、ベイリーフは、ホール。
それに、ガラムマサラ(カレー粉=S&B赤缶)。
(すべて目分量だが、基本はレッドペッパーは、大匙1、
それ以外は、小匙1。むろん、どれも好みで調整する。)


ここに、にんにく、しょうがのおろしたもの(どちらも大匙1)
を加え、さらに炒める。


ここも、焦げ付かぬように、注意、で、ある。


トマト水煮缶、一缶と、同量の水を加え、
10分ほど煮込む。


これを、ミキサーへ。
(入れる前に、箸でつまめる、ベイリーフなどは
取り出しておく。)


粉砕し、裏漉し器で、濾す。


ホールのスパイスが口に残ってもよければ、
必ずしも、濾す必要はないかもしれない。
裏漉し器で濾すと、見た目には、1/3は減ってしまった
ようになる。


別のフライパンに乱切りにした、玉ねぎ、
カスリメティ(フェネグリークリーフ)を入れ、やはり、ギーで
炒める。


カスリメティはマメ科の葉っぱのスパイスで、香りがよくなる。
ちなみに、カスリメティはヒンディー語で、フェネグリークは英語のよう。


玉ねぎがしんなりしたら、先の濾したソースに合わせる。
ここで、塩を加え、辛味などを含めて、味の調整。
ガラムマサラ、レッドペッパーを加える。


軽く煮込んで終了。


鶏もも肉は、揚げてから時間が経ってしまったので、
軽くレンジをかけて、ソースにからめる。


盛付け。





骨付きの鶏もも肉が入り、名前通り、バターチキン、で、ある。


ナイフフォークで骨付き肉をほぐし、ソースにからめて、
食べる。


味は、まあまあ、それらしいものが、できた、
で、あろう。うまい。
(内儀(かみ)さんは、塩辛い、と、いっていたが、
鶏に味を付けていないので、からめると、ちょうどよくなる、
のである。)


このようにして食べると、カレー、と、いうよりは、
やはり、鶏を食べるソースという感じにはなる。


しかし、そうとうな量のギーを使っているので、
カロリーは高そう、で、ある。