浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



浅草ちどり屋で着物を買って、、、

dancyotei2010-01-18


1月15日(土)


さて、仕事は仕事、なのだが、
朝から昼過ぎまで、ある程度やって、まあ、まだ明日があるか、
というので、明日に残しやめる。


2時頃、テレビを視ながら、火鉢の鉄瓶で燗をつけて、
一合と半分。


今日は内儀(かみ)さんは出かけているが、
夜は、どうしようか、考えておくことにしていた。


寒いので、着物を着て、いせ源のあんこう鍋がよいのだが、
先週が、ふぐ、だったので、なにか、かわりばえがしない。
いせ源が着物とセットなのが、おかしいかもしれぬが、
あそこには、着物が合う。一度、着物でいってみたいのである。


じゃあ、最近の課題、いっていない池波レシピの店。
これでいこうか。
鍋でないとすると、山の上ホテルの天ぷら。


よし。


着物を見にいこう。
正月から、同じものを着ているが、染みを作ってしまった。
紺のウールもあるのだが、もう一枚買おうか。


4時頃、自転車で出る。
行先は、浅草ちどり屋。
(浅草在住の文化人、いとうせいこう氏も
最近は着物にはまっておられるようで、ここにも
顔を出している、との街の噂もあるような。)


観音様の西側。
あの通りは、なんというのだろうか。
西参道、なのか、伝法院の北側に接している通り。


国際通りから、演芸ホールの方へ入り、
ボーリング場側の路地。
ウインズからつながっている、煮込みや、の通りを突っ切って、
左側が駐車場。右側2〜3軒目。
この通りも、少し前から、店の外装を江戸っぽい感じに
揃えている。


このちどり屋では、なん度も買っている。
基本的には、男物の着物の、古着や、ではある。
古着といっても、完全な古着、は少ないよう。
メーカーのタグがついている、
いわゆるアウトレットのようなものが多いのかもしれぬ。


店先にも着物用のコートやら、少しお安めのものなど
置かれている。


縞のものが、なかなかよいな、と、見ていると、
なかから、ご主人が出てきて、なにかお探しですか?
と、声をかけられた。


寒いので、中へ入る。


いつもそうなのだが、このご主人は、
希望の予算、どこで、どんな時に着るのか、を必ず聞く。


それによって、安いものから、それなりのもの、
高級品と、ここでも取り揃えている。


また、着物には、男物でも、季節、TPOその他で、
ルールがあり、それによって、着分けないといけない。


まず、私が今、店頭で気に入って見ていたものは、
二万数千円で、ウールのもの。
私のTPOは、普通に外出にも着るが、落語をする、
ということ。これをご主人に話す。
(たまにしかこないこないので、顔を覚えられてはいない。)


人前に出る、あるいは、落語をする、のであれば、
絹ものか、ウール。あるいは、絹らしく見える、化繊。
木綿は、普段着なので、絶対にだめ。


で、価格は、ウールの着物は、先の二万円代からあるが、
絹ものは、倍、あるいは、もっと高いものは天井知らず。


いつも着ているのは、本ものの絹の縮で、やはり
ここで買ったものだが、羽織も入れて、
二十万弱はしたような気もする。


季節の問題。
裏の付いたものは、これはスーツなどと同様だが、
衣替えまで。


ただし、先ほど見ていたような、ウールのものは、
裏はつかない。(そういうもの、らしい。)


あとは、羽織との組合せ。
これは、普通の人であれば、いわゆる、アンサンブルといって、
セットで売っていることが多い。このアンサンブルは、
まったく同じ布で同じ色柄が主流であろう。


しかし、私のように、人前に出て落語をするのであれば、
この限りではない、と、いうこと。
色目も布地も、例えば、ウールに、絹の羽織という組みわせでも
OK。逆に、普通の人は、やってはいけない。
(芸人の格好なのであろう。)


一応、予算は、二十万程度は覚悟をしてきたが、
やはり、安ければその方がよい。
着物は、先の紺の細かい縞のウール。
最近腹も出てきたが、少し長めのものを選んでくれた。
これは、高座で座る、という前提で、長めの方がよい。
羽織は、化繊の縮風の、グレー。どちらも。二万数千。


羽織の紐なんかは、いいですか?
と、ご主人。


少し見せてもらうと、紐の先に房のないものを
勧められた。


私の今まで持っている紐は、三組みほどあるが、
すべて、房はある。
聞いてみると、これは、噺家さんがよく買うんですよ、
とのこと。
落語家は、高座で話しながら、羽織を脱ぐが、
この時に、紐を外しやすいという実用。
それから、これは、私の推測だが、房のない方が、
粋な感じ、なのではなかろうか。


色は、ウコン色というのか、濃い黄色の、
少し、派手なもの。
紺の縞にも、合いそう。


OK。


都合、六万。


安いものを選んだが、やはり、着物というのは、
高価なもの、で、ある。


自転車を飛ばして、帰宅。
早速着てみる。


縞のものは、前から欲しかったのだが、よいもの、で、ある。


こんな感じ、で、ある。





男着物 ちどり屋
台東区浅草2丁目3−24
03-3841-1868