浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



2010年の、年越し その1

dancyotei2010-01-01

2010年、平成二十二年庚寅


新年明けましておめでとうございます。
本年が皆様によい年でありますよう。


また、あいかわりませず、断腸亭料理日記
よろしくお願い申し上げます。


断腸亭錠志



と、いうことで、正月なので、ちょっと、正月らしい企画。
今年は十干十二支(じゅっかんじゅうにし)では、
庚寅(かのえとら)という年。
ご存知のように十干十二支は60年で一回り。
正月の座興に、今年がどんな年になるのか、占うために、ちょっとだけ、
過去の庚寅の年を見てみよう。


まずは、1950年、昭和25年。
戦後5年、まだまだ混乱期、ではあろう。
朝鮮戦争勃発、自衛隊の前身の警察予備隊が発足。
金閣寺が放火により、焼失。
プロ野球が2リーグ制でスタート。
ナイトゲーム、ナイターもこの年、始まっているよう。
サントリーオールド、松下電器から蛍光灯発売。
流行語は池田蔵相の「貧乏人は麦を食え」。
流行歌は、笠置シヅ子の買物ブギーなど。
翌、51年が、サンフランシスコ講和条約
混乱しながらも、日本再構築への歩みが進んでいる頃
と、いえようか。


その前。


1890年、明治23年
この年は、記念すべき年、第一回衆議院選挙が行われ、
第一回帝国議会が開かれている。


江戸から明治の時代となり、近代国家を目指して、
富国強兵、文明開化に突き進んできた。旧支配階級の
士族の最後の反乱、西南戦争後、彼らは自由民権運動
民選議員による、議会の開催を目指す。西南戦争
13年で、衆議院選挙が行われた、という勘定になる。
この後、「坂の上の雲」でも舞台になっている、
日清、日露の戦争へ突入していくのだが、
この前の年、明治22年明治憲法が発布され、ある意味、
戊辰戦争からの日本の近代革命が完成された年、と
いえるのだろう。


この年は、こんな話題も。
浅草十二階ができたり、上野にパノラマ館、ができている。
十二階(凌雲閣)はご存知であろう。今の浅草六区の北側、
牛鍋やの米久やらがあるあたりにできた、観光用の十二階の建物。
パノラマ館というのは、当時、浅草など東京の盛り場に
あった見世物、といってよいもの。戦いの場面などを
作りもので立体的に再現したもの。子供には大人気であったもの。


憲法発布、国会開催。
国民の気分とすれば、とっても、明るい、前向きな年であろうか。


さらに、その前。


1830年、は、文政13年。
幕末を越えて、随分、時代は一気にさかのぼってしまう。
いわゆる、文化文政、化政文化の時代。
なのだが、文政はこの13年までで、文政最後の年、
天保元年でもある。


昨年、落語の生まれた頃に大きな役割をした、烏亭焉馬
のことを少し書いたが、そこから、40年ほど、
この文政の末、天保になる頃には、初代三笑亭可楽
50歳になっており、落語は江戸の街で花開き、
江戸市中の寄席の数は、100軒を越えていたともいう。


化政期は比較的安定した時代であったと
思われるが、末にかけて、水害による飢饉、江戸で大火、
京都の地震。これにより、天保改元されたという。
天保は、ご存知の水野忠邦の改革が始まる。
明るい方向ではないのかもしれぬが、変革への年、
と、いうこともいえそうである。


さらに、その前は、1770年、明和7年。
将軍は、吉宗の後の、家重のさらに後、吉宗の孫の家治。
かの田沼意次の時代で、前年の6年に意次は老中格になっており、
地盤を固め、幕府での実権をふるい始める頃なのだろう。
蜀山人大田南畝先生は、二十二歳。十九歳で『寝惚先生文集』を
出し、売り出し中の頃であろう。
田沼バブル、といってもよい時代?
なんとはなしに、よい時代の始り。


さらに、その前は1710年。
宝永7年。
将軍は犬将軍、綱吉の後の、家宣。
綱吉が亡くなり、家宣が将軍になったのが、前年。
生類憐みの令の廃止、柳沢吉保の免職、むろんのこと、
江戸庶民は大喝采。やはり変革の年。
しかし、家宣は将軍在位わずか3年で亡くなる。
4歳の息子、家継が将軍になり、間部詮房の側近政治、
有名な、大奥と歌舞伎界を巻き込んだ大スキャンダル、
絵島生島事件が起き、家継も8歳で亡くなり、
吉宗の時代になる。
なかなか、激動の時代。やっぱりその始りか。


さらに、その前は、、。1950年。
慶安5年。
前年に3代将軍家光が亡くなっている。
11歳の息、家綱になり、由比小説正雪の乱、、。


、、、もうやめよう、きりがない。



庚寅の年、おもしろいものではないか。
断わっておくが、こじつけのために、無理やり掘り起こしたのではない。


六十年という暦の周期に意味があるといえばあるし、
たまたま、といえば、たまたま、なのかもしれぬ。
しかし、よい方向、わるい方向という、違いはあるかもしれぬが、
いずれも、変革への年、と、いえそうである。
それも、変革の初期、大きく変わっていく直前、のように思われる。
そのきっかけの年。


一昨年のリーマンショックから、昨年の米国オバマ大統領、
日本では民主党政権、と、変革が始まっている。
と、すると、やっぱり、これらは、まだまだ序の口ということか。
今年、では終わらず、さらに来年、再来年、まだまだ、
価値観からなにから、様々なものが大きくかわっていく、
大変革。そんなことになるのか?。


いずれにしても、この変化期を前向きにとらえて、
よい変革にしていこうではないか。
(私も。)



と、いったことで、2010年スタート、で、ある。



12月31日(木)〜1月1日(金)



毎度お馴染み、断腸亭の年越し、で、ある。


晦日、様々なものの買い出し。今年は、自転車。


上野広小路うさぎやで、どら焼きを購入。





(今年は、どら焼き、だけではなく、うさぎのまんじゅうと最中も。)


そこから、目と鼻の先、末広町、池波先生の、花ぶさへ。


お節を引き取りに。




にこやかに、お姐さん(若女将?)が出迎え、
よいお年をお迎えください、との言葉とともに、
お節を受け取る。


こんな大晦日までと思うほど、にぎわっている、
秋葉原を抜けて、昌平橋を渡り、須田町のまつや。






















まつやは、好例の行列。


今年も、路地裏の車庫で、予約をしてあった、
生そば三人前と、うにの瓶詰を購入。
また、よいお年をお迎えください、の、言葉。


これ、よいもの、で、ある。








神田藪も長い列。


帰り道、鳥越のスーパー、ココスナカムラで、
既に揚げてある、海老天と穴子天を見つけて、購入。


その他、菊屋橋あたりに回って、正月の箸、
さらに、祝箸など購入、帰宅。


早速、花ぶさの、お節を、開けてみる。


二人前。





入っているのは、比較的定番のものが中心であろうが、
花ぶさ名物の、海老真薯も入っている。
玉子焼きは、う巻。右下、黒いのは、黒豆、
左下、叩き牛蒡だと思われるが白胡麻和えになっている。





こちらの海老は、丸まっている。
亀の形に細かい彫刻が施されているのは、筍の煮物。
黄色いのは、キンカン
鮑が目立つ。芋の煮物が三種も入っている。
海老芋、普通の里芋?八つ頭か?。
それから、くわい、椎茸、百合根、昆布巻、牛蒡、
左下、小鯛の南蛮漬け、か。


夜、食べてみると、どれもうまいのだが、
比較的味付けは薄めで、上品。
小鯛の南蛮漬けがちょっと食べたことのない味、格別。



と、一先ず、今日は、ここまで。
つづきは、また明日。