浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



神田猿楽町・蕎麦・松翁

10月24日(土)第二食


さて。


土曜日。


今日は、大した量ではないのだが、
片付けなければいけない仕事と、月曜日の大阪出張の
準備。


11時すぎ、家を出て、オフィスへ。


2時すぎ、終えて、市谷のオフィスを出る。


仕事をしながら、終わったら、蕎麦、終わったら、蕎麦、、、。


猿楽町の松翁へ久しぶりにいこうか、と考えた、のである。


土曜日は、15時まで、で、ある。


左内坂を降りて、外濠通りを渡り、橋を渡って、
JRの市ヶ谷駅


総武線に乗り、二駅。
水道橋で降りる。


水道橋の駅から、猿楽町の松翁までは、少しある。


白山通りを渡って、日大経済学部の脇を通り、二本目、
右に曲がって、カトリック神田教会の石造りの古い建物を
右に見て、神田女学園の先を左。
ここはゆるい昇り坂になっている。
細い路地を右。


松翁は左側。


格子を開けて入ると、さすがにこの時間、
もうだいぶ空席がある。


案内された入口近くの席に座る。


今日は、曇天で、肌寒いほど。


ビールではなく、酒にしよう。
それでも、冷(ひや)。
安いので、ばくれん、というもの。


それから、そばは。


天ぷらのざるそば、なのだが、
ここは、生けのサイマキ海老と、穴子の、
ノーマルバージョン以外にも、季節毎に、いくつかある。


はぜ、のものがあった、のだが、
聞いてみると、終わった、と、いう。


うーん、残念。


じゃあ、もう一つ、季節のもので、
舞茸のがあったので、それにしてみようか。


つゆは、ここは濃いのと薄いの、二種類あるのだが、
むろん、濃い方。


酒がきた。





お通しの、そばみそと、酒は片口に入れて出てきた。
真っ白な大き目の猪口。
(これ、いつも家で使っているものと同じ、で、ある。)


ばくれん。
(初めて呑む酒であったが、山形酒田の亀の井酒造、というところ。
「くどき上手・ばくれん」吟醸の超辛口。)


辛口でうまい。


ここのそば味噌は、ちょっとなにか、ピリッと
している。


「天ぷらは、時間がかかります」と貼り紙が
してあるくらいなので、ゆっくりと、呑む。



ややあって、きた。





舞茸。


いつもの通り、ご主人自ら、テーブルまで、
揚げたてを持ってきてくれる。


随分と、大きい。


塩を皿に取って、つけながら、食べていると。


次がきた。





なんと、驚くではないか。
松茸。
(向こう側は、ししとう。)


このへんが、この店、このご主人らしい
ところなのかもしれない。


松茸入り、というのは、まったく、書かれていない。
紙に書かれて、壁に貼られている名前は、舞茸のみ。


普通であれば、まあ、松茸は目玉、で、あろう。
私が主人でも、当然、松茸も書く。


なぜ、松茸をこのご主人は書かないのか。
奥ゆかしいのか、、、。


不思議であるが、、、
なにかわからぬが、妙に、真摯な感じがする。


まだ、酒もあるので、呑みながら、
舞茸も、松茸も、食べる。


店のお兄さんが、そばはよろしいところで声をかけてください、
と、いってくれる。
(これである。そばやならば、このくらいの気遣いは
してほしいのである。)


あと、一、二杯のところで、そばを頼む。





薬味は、白胡麻、辛味大根、わさび、ねぎ。


最初は、なにも入れないで、そばを食う。
新そば。


あとは、わさび以外みんな入れてたぐる。


うまい、うまい。


神田猿楽町、蕎麦、松翁。
やっぱり、池波レシピ。



よいそばや、で、ある。






住所 東京都千代田区猿楽町2−1−7 
03-3291-3529