浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



断腸亭、モロッコへ行く その6

dancyotei2009-08-23



さて。


断腸亭の夏休み、引き続き、モロッコへ行く、その6。


まだあるのか、と、いう声も聞こえてきそうであるが、
もうしばらく、お付き合いいただければ、幸いである。


カサブランカから、マラケシュへ移動し
ホテルで怪しいWOKなる昼食、を食い、一休み。
ホテルからごく近所の世界無形遺産のジャマエル・フナ広場へ。
そこで、がめつい蛇使いなどと出会った、ところまで。


夕飯は、マラケシュに唯一、一軒の日本食レストランへ
行ってみることにしていた。


ここもご多分にもれず、遅く、19時半からの営業。


フナ広場からは、歩いて20分程度とみていた。


初めての街で地図を頼りに歩く。
のであるが、マラケシュの街の道というのが、
またわかりずらい。


カサブランカメディナ(城壁の中の旧市街)も
スークがあり、ごく細い路地が網の目のように
ぐにゅぐにゅと曲がってどこに出るのか、
さっぱりわからなかった。
マラケシュには、もっと大きなスークがあり、
大迷宮のようなのだが、その日本食レストランの方向は、
比較的大きな通りのようなので、大丈夫かと思ってきた。


だが、もともと、こちら側も城壁の中だからなのか、
それぞれの道の進む方向がばらばら。


すぐに迷ってしまった。


と、救いの神は、文字通り、モスクの高い塔。
見上げると、そびえている。





地図と照らし合わせ、大体の場所がこれでつかめた。








この界隈は、カスバと呼ばれている。
カスバというと、アルジェリアのカスバが世界遺産にも
なっており、有名だが、マラケシュにもある。
(どういう共通点があるのか、など由来はまったくわからないが。)


また、このあたりには、王宮や王様の墳墓などもあるような
ところ。


高い城壁に沿った通りの歩道を歩いていると、
日は傾いているので、もうさほど暑くはないのだが、
初めてのところで、道のりは、随分遠く感じられる。


城壁の切れ目、門をくぐり、路地に入ると、すぐに
そのレストランはあった。
日本語の看板。


あー、着いた、、、。


のだが、戸は閉じられており、人の気配はない、、、。


げ、、、。


もしかして、休み?



どうもそのようである。


せっかく、こんなところまで、歩いてきて、、。
内儀(かみ)さんと二人、脱力、で、ある。


ホテルから、TELを一応入れてみたのだが、
この時、かからなかったのである。
(実は、部屋の電話機はどうも故障していたようだったのだが。)


で、まあ、大丈夫であろうと、たかをくくって
きてしまったのであった。


仕方ない、帰るしかあるまい。


今の道を引き返すのは、うんざり、で、ある。
タクシー?
いやいや、タクシーを停めて、また、あの高く吹っ掛ける、
運転手との値段交渉バトルも、うんざり。
歩くしかあるまい、か。


もう一度、表通りに引き返し、
重い足で、歩き始めると、なんと、タクシーが、停まった。


運転手が、タクシー?
と問いかける。


停まってくれたのは、助かった。
もう高くてもよい、乗ろう、乗ろう。


後部座席に二人で乗って、ホテルの住所を見せる。
と、運転手は、じゃあ、フナ広場で、いいか?
といっているようである。


細い路地へ入らねば、ホテルにはいけぬ。
面倒なのであろう。


OK、OK。


十分である。


いくら(フランス語で、、コンビアン)?


と、聞く。


驚くことなかれ、運ちゃんは、10と答える。
(蛇使いに渡したのと同じ金額である。
120円ほど。10ディルハムは、硬貨で、ある。)


ロッコのタクシーで初めて、相場通り?、


リーズナブルな値段の提示。


ロッコでもこういう人もいるのか。
地獄で仏?
アッラーの神は、やっぱり、偉大である。


走り出してすぐに、助手席に乗っていた子供が降りる。
運ちゃんの子供かと思っていたら、相乗りの
お客であった。
(相乗りだから、リーズナブルな金額だったのかもしれぬが。)


ともあれ。


フナ広場近くで降りて、再び、広場に戻ってきた。


8時をすぎて、日が暮れてきた。
夕闇に包まれた、フナ広場。





先ほどに比べて、屋台も出ているし、人もそうとうに増えている。
しかし、この屋台の数は、たいへんなもの、で、ある。






なにもなかったアスファルトの上に、こうこうと灯りの灯った
様々な食い物の屋台が所狭しと並んでいる。


ガイドブックによれば、ケバブやら、一般的なものもあるが、
なんでも、羊の脳味噌、というのが、名物でもあるよう。






少し、眺めながら歩く。


と、これまた、客引きがすごい。
日本人だとわかるのだろう、知ってる日本語を並べて
引っ張る。


最初は、こちらも珍しいので、ニコニコして
対応するのだが、段々に、やっぱり、面倒になってくる。


ちょっと、珍しいものがあって、近寄ってみたくとも、
これでは、ダメ、で、ある。


日本食レストランがやっていなかったので、
屋台もよいかな、と思ってもいたが、とても
そんな気にもならず、早々に、ホテルに戻る。


もう面倒だ。
ルームサービスにしようか、で、ある。


部屋に落ち着き、ルームサービスのメニューを見る。


内儀さんの希望で、前にも出てきた、ローカルのスープ
ハリラ。あとは、スパゲティーナポリタンとチキンの
サンドイッチと、普通のメニューにしてみた。





(モロッコマラケシュのホテルでスパゲティーナポリタン、
というのは、ちと妙、で、ある。ナポリタンとは、日本では
ご存知のケチャップのスパゲティーで、イタリアには、
そんなメニューはない、と、も聞いていた。
ここのナポリタンは、なにかというと、なんということはないが、
トマトとパルメジャーノチーズのスパゲティーであった。
まあ、日本のナポリタンとそう遠くもない。
やはり、ナポリタンというメニューは、世界にあるのか?)


コリアンダーの香りが強い、ハリラスープは内儀さんに任せ、
久々に、普通の洋食で、少し、ほっとする。




そんなこんな。



なかなか、ハードな、
世界遺産マラケシュの一日目、で、あった。




つづきは、また明日。
断腸亭、モロッコへいく、もう少しのお付き合いを。