浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



西浅草・手打ちそば・おざわ

4月29日(水)第二食


さて。


連休、なのであるが、私は基本的には暦通り。
(ただし、弊社は5/1はメーデーで休み。)


明日、30日は同僚でも休む者も多いが、私は出るつもり。


ゴールデンウイークは、例年そうだが、今年も別段、これといった予定は、
なく、ぶらぶら、ごろごろ完全休み。


昼前、天気もいいし、ちょいと、出る。
例によって、落語をぶつぶつ、口ずさみながら。


歩く方面は、今日は、浅草。


元浅草から、新堀通りを渡って、寿、国際通りも突っ切って
消防署まできて、北上。浅草通りを渡り、雷門。
雷門付近は、やはり連休のせいか、人通りももう多い。
人混みは避けながら、観音様の境内も抜けて、馬道。
言問通りも渡って、観音裏、路地をぐるぐる回って、千束通り
南下して、ひさご通りの方へは行かず、言問通り国際通りも渡り、
西浅草。


今日は、落語の稽古というほどのことはなく、
途中から、ちょいと、そばでも食おうか、と考えていた。


久しぶりに、おざわ、にしようと。


連休だから、混んでいるか。
二時も近い。
もう昼の客は、引いている、だろう。


麻の暖簾を分けて、入る。


案の定、多少、すき始めている。


お客が帰った後の、テーブルが片付けられるのを
少し待って、大テーブルに座る。


女将さんが、あ、いらっしゃいませ、と、
久しぶりに、きたのだが、憶えていてくれた様子。


座って、やっぱりビール。
エビスの生を頼む。


つまみは、と、、、


具だくさんのポテトサラダ。
これは、うまそうだ。


そこそこ、店は、あき席はあるが、やはり忙しそう。
厨房の中は、ご主人一人だが、今日は、外は、女将さんと
女性がもう一人。


ゆっくりやろう。


ポテトサラダをつまみながら、、、


ビール。


文庫本なぞも、読みながら。


(今は、浅草博徒一代(佐賀純一 ちくま文庫)というのを
読んでいる。聞き書きの体裁を取り、ノンフィクションに近い
もののようだが、内容は、タイトルの通り、大正から昭和にかけての
浅草の博打打ちの一代記。これはそうとうにおもしろい。)


さて、そばは、なににしようか。


いつも、ここへくると、珍しいので、太打ちにしてしまう
のだが、今日は、普通の細打ちにしよう。
田舎、生粉打ち、というのもあるが、聞いてみると、
切れており、結局、ノーマルなせいろを頼む。


と、まだ、しばらくかかりそうなので、酒。


メニューを見ると、薄にごり、がいくつかある。
爽やかな、今頃によさそう。
グラス、で、もらう。





薄にごり、というのは、文字通り、薄くにごった日本酒。
完全に、濾過をしてはいない、ということだろう。
基本的には、生酒。醗酵を止めていないので、
置いておくと味が変わる物が多いのだろう。
ビールのように、発泡する、ほどではないが多少の炭酸が
含まれていて、刺激もある。
酒自体は、今日もらったものもそうだが、
吟醸系が多いように思う。


そばもきた。





そういえば、少し前に、読者の方から、
そばの香り、のことも書いてくれ、という
ご要望をいただいたことがあったことを、思い出した。


私の場合、歯応え、のど越し、には関心がいくのだが、
実のところ、あまり、そばそのものの香り、
というところに神経がいかない。


そばの香りを気にされる方からすると、
品はないのかもしれぬ。
おそらく、これは私の“育ち”、なのであろう。
香りでいえば、東京下町風の濃いつゆの香り、の方が
先にきてしまう。


私の場合、そばは濃いつゆ、でなければ、
とても食べた気にはならない、のである。


そういう意味では、ここの濃さは、よい。


ともあれ。
ノーマルなせいろもうまい。


昼から、少し呑みすぎたか。


お勘定をして、出る。


ぶらぶら、帰宅。





手打そば・おざわ
住所:東京都台東区西浅草2-25-15
電話:03-3841-6450