浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



名古屋・味噌煮込みうどん・山本屋本店

dancyotei2009-01-27

1月22日(木)昼


さて。


木曜日。


京都、本能寺裏のビジネスホテルに泊まり、
翌朝は、7時半にホテルを出て、名古屋へ移動。


9時半に名古屋のオフィスに入り、仕事。


昼前に終わる。


昼飯、で、ある。
名古屋にきたら、ひつまぶし、か、味噌煮込みうどん。
まあ、この二つにとどめを刺す、であろう。


名古屋には都合、3年弱、単身赴任で住まっていた。


東京人の味覚では、全般に名古屋のものは甘すぎる。
名物であるが、味噌かつは、どうにもダメ、で、あった。


しかし、名古屋名物、味噌煮込みうどんと、うなぎ蒲焼は、
そうとうに、うまい。


付け加えると、名古屋は、麺類、うどん、きしめんは、
やはり、うまい。
中でも、意外に知られていないと思うのだが、
カレーうどんのレベルは高い。
濃くて、どろっとしたものは、うまい、のかもしれない。


ともあれ。
たまに、名古屋にくると、味噌煮込みうどんか、
ひつまぶし、どちらかは、食べたい。


季節的に、いえば、今はやはり、味噌煮込みうどん、
で、あろう。


名古屋地方は、やはり、そばや、ではなく、
うどんや、で、あるが、こうした、町のうどんやには、
ほとんど、味噌煮込みうどんはあるといってよいだろう。
(立ち喰いは別にして。)


名古屋時代には、そういう町のうどんやでも
味噌煮込みうどんは、よく食べたし、
その内に、自作もするようになった。


こうした町のうどんやの味噌煮込みも、うまいのであるが、
名古屋には、二系統の味噌煮込みうどんの専門店、が、ある。


山本屋総本家と、山本屋本店。


例によって、同じ名前で二系列。
漢字の佐久間製菓と、片仮名のサクマ製菓など、
よくあるが、きっと、最初は同じ店、で、あったのであろう。
親族で喧嘩別れ、なのか、どうなのか、わからぬが、
お互いに、“あちらとは違います”と、いっている。


山本屋総本家の方は、なんと東京にも進出している。
私もいったことがあるが、神田和泉町と雷門にある。


けれども。
比べると、私は、どうしても、本店の方に軍配を上げる。
うまいし、店の雰囲気その他、好みである。
名古屋在住時には、本店専門であった。


値段など、どうなのであろうか、
少し、本店の方が高いのかもしれぬが、
いろんな面で、ちゃんとしている、ように思う。
(基本的に、味噌煮込みうどんは、前述の通り、
町のうどんやでもうまいもの、なので、総本家も、むろんうまい、
のだが、あくまで、比較の問題、で、ある。)


ともあれ。
調べてみると、本店は、
名古屋駅の西(新幹線)側の地下(エスカ)にあった。


帰るのにも、便利、で、ある。


ちょうど、12時過ぎ。


店前までくると、列。
どうしたものか、、、、。


ここまできて、他へいくのも、ない、で、あろう。
覚悟を決めて、並ぶ。


と、思いがけず、早く進む。


中を見ると、回転は、やはり早い。


並んでいる間に、メニューを渡される。


お!。


牡蠣入り、が、あるぞ。


これにしようか。


席に案内される。


座ると、前に、割り箸と紺色の前掛けが置かれる。
うどんであるから、跳ねてもいいように、という
心遣い、で、ある。


牡蠣、鶏入り、は、決まり、だが。


ビール、、?


いいか。


東京のオフィスまで戻るのにだいぶ時間はある。
一杯だけ呑もうか。
(いつも、迷うのだが、この日記、
会社関係の人々も多少読んで下さっているやに聞く。
ご勘弁を願うのと、これを書いた方が、
“らしい”と、思うので今日はそのまま書いてみる。)


グラスのビールと牡蠣、鶏入りを頼む。


うどんの堅さは、堅めでいいですか?と。
玉子を入れてもいいですか?、と、
ご飯を付けますか?の、三つを全員に聞いてくる。


名古屋の、それも、この店の味噌煮込みうどん
のうどんは、そうとうに堅め。
初めて食べた人は、生では?、と思う人もいるくらい。
そして、玉子は、苦手な人もいるから。
ご飯を、というのは、味噌煮込みうどんは、必ず、
白いご飯と一緒に食べるのが名古屋流(この店流?)。


堅めでいいです。
玉子はOK。
ご飯も付けて。


すぐにビールと、お新香が出される。


お新香は、お代わりがありますので、
という言葉付き、で、ある。


ここのお新香は、特段珍しいものがあるわけではないが、
なかなか、うまいのだ。
いくらでもどうぞ、というのは、
気が利いているではないか。
(これは、ご飯を付ける、というのにも、つながっているのである。
むろん、ご飯もお代わり、可、で、ある。)


お新香で、ビールを呑む。


呑みながら、周りの注文の声を聞いていると、
「イチハン」、「イチハン」、と、いう
声が聞こえてくる。


ほう、ほう、思い出した。
そうであった、イチハンという頼み方がここにはある。
ようは、味噌煮込みうどんの、うどん1.5人前、ということなのだが、
それをここでは、イチハン、という。
略されるくらいであるから、多くの人が
これを頼む。


この、イチハン、に、ご飯も付ける。


味が濃く、このおつゆだけでも、飯が食える。
うどんも、うまい、ので、1.5人前でも食えてしまう。


そんなに、炭水化物ばかり食べてどうするのだ!、というのも
あるし、私は、この歳になって、まあ、そんなに食べなくとも
よいだろう。
(この店で、イチハンにご飯付き、頼んでいるのは、
若者、では、ない。立派な(?)名古屋のオジサン、で、ある。)


ともあれ。


きたきた。





山本屋本店の、味噌煮込みうどん。
生玉子、牡蠣と鶏入り。


ご存じのない方のために書いておくと、
名古屋の味噌煮込みうどんの土鍋のふた、には、
蒸気抜きの穴がない。
これは、このふたに取って食べるため。
つまり、ふたが取り皿がわり、なのである。


牡蠣、と、いうのは、赤味噌八丁味噌)にべら棒に、
合う。


自分でもよく赤味噌で牡蠣を煮たりしている。


ちょっと堅めの腰のあるうどん。
濃い赤味噌のつゆ。


生玉子が徐々に溶け出して、、
これも、赤味噌との絶妙の相性。
白いご飯にも合うし、
(ついでに、このつゆで、酒も呑める、ので、ある。)
まさに、堪えられない
うまさ、で、ある。



いやー。


食った食った。


うまかった。



久しぶりに食う、山本屋本店の味噌煮込みうどん。
満足、で、ある。





山本屋本店