浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



菜飯と鱸塩焼き、味噌汁、、

11月30日(土)第一食


さて土曜日。


昨日は、オフィスを出た時間も早く、8時過ぎには帰宅し、
たまっていた疲れからであろう、10時すぎには寝てしまった。


おかげで、早起き。


飯でも炊こうか。


米を研ぎ、といっても、無洗米なので、洗うだけだが、
浸水させておく。


おかずは、なににしようか。
先週の鱸が半身、残っており、冷凍をしておいた。


これと、味噌汁を作ろう。


それから、先週、鱸のちり蒸用に、小蕪を買ったが
残ったものは、葉っぱと蕪を分け、葉っぱは細かく刻み、
蕪は、薄く切って、塩もみをしてあった。


蕪の塩もみ、少し時間が経って、浅漬け。
これはうまいもの、で、ある。


葉っぱの方は同じく塩もみから、浅漬けであるが、
そうとうに細かく刻んでおいた。
漬物として食べるのであれば、大きめでもよいが、
飯に混ぜ込んで、菜飯にしてもよいと考え、
たのである。


菜飯というのは、池波レシピ、で、はある。
鬼平やら、先生の江戸時代を舞台にした
時代小説にはよく出てくる。


よく、菜飯と豆腐の味噌田楽がセットで、
菜飯田楽、といういい方で出てくる。


ちょっと田舎のにおいのする、街道沿いの飯や、
そんなところが、イメージ、で、ある。


どちらも、おそらく、江戸以前ともいってよいような頃から、
食べられてきたものであろう。


菜飯にしても、豆腐の味噌田楽にしても
素朴なものであるだけに、うまく作るのは、なかなか難しい。


豆腐であれば豆腐自体の品質、味、さらに焼いてうまい豆腐、
など、あるように思われる。
(一度、スーパーの安い豆腐でやってみて、
大してうまくないものであると、感じ、
それ以来、こちらはやっていないが。)


菜飯の方は、少し試行錯誤はしたが、
ある程度、うまい、といえるものができるようになってきた。


菜飯、というくらいなので、菜っ葉を使うのであるが、
葉っぱであれば、なんでもよいだろう。


例えば、大根。
実際に、大根の葉っぱを使う菜飯というのが、
最も一般的であったのではないかと思われる。
今は、ほとんど切って売られているが、
それでも、葉っぱのつけ根の部分だけでもよい。


いろいろやってみると、こうした、茎の部分が多い場合には、
繊維質が多いので、できるだけ細かく刻まないといけない。


また、生を刻んだだけの葉っぱではなく、
ある程度塩漬けにしたものを使う。
(塩味もなし、大きく刻んだものは、まあ、とても
うまい、とはいえない。)


このあたりが、うまい菜飯にするポイント、で、ある。


そこで、今回は蕪の葉っぱで、やはり茎の部分の
繊維質が強いので、細かく刻み、塩をして、置いたもの、
ということである。


味噌汁。
今日は、煮干でだしを取ろうと考えた。


そこで、煮干の正しいだしの取り方。


煮干は、大きいものがよい。
まずは、腹を取る。
これはそのままだと、苦く、生ぐさくなる、などと一般にいわれている。
大きい方がよい、のは、この、腹を取るときに、大きい方が
楽だから、ということである。
2〜3cmの煮干の腹を取るのはかなりの手間、で、ある。
腹を取ってしまうと、身の部分というとほんのわずかで
これで、量を出そうとすると、たいへんなことになる。


次に、フライパンなどで、空煎り。
これも、生ぐささをなくすため、という。


ここから、水に入れて、一晩。
量は、多い方が、むろん、色の付いた濃いだしが取れる。
これが正解。


しかし、この一晩というのは、なかなかできるものではない。
毎日、決まった食生活をしていれば、前の晩から、
習慣にしておけばよいのだが、私など、思い付いて飯を作るから
難しい。


そこで、いつもは大きめの煮干の腹を取り、あらかじめ、
少しほぐした上で空煎りのかわりにレンジで1分弱加熱。
レンジ加熱をすると、身がさらにほぐれ、
出汁が出やすいように思われ、その効果も期待してやっている。


今日は、ちょっと考えてみた。
短時間で、濃く出すために、身をほぐすのであれば、
最初っから、ミキサーで粉にしてしまったらどうだろうか、と。
漉してもよいし、そのまま飲んでもよいかもしれぬ、と。


そこで、煮干を一つかみ、ミキサーに入れ、粉砕。
これは簡単。


水を入れ、鍋に移しておいておく。


鱸は、解凍して、塩をし、焼くだけ。


煮干の粉の鍋。
具は、ねぎのみ、根深汁、で、よいだろう。
野菜も、水から煮るのが鉄則、で、ある。


五分(1.5cm程度)に切り、煮る。


火が通ったところで、、煮干の粉を漉してみる。
ねぎだけ、別の鍋に移し、煮干しの粉を漉し、もう一度、ねぎは戻す。


味噌を溶き入れる。


菜飯の方は、炊き上がった飯に、先の蕪の葉を
混ぜ込むだけ。


完成。
京都の柴漬があったので、これも出す。





まずは、菜飯。
これは、なかなか、うまい。
二膳は食える。


鱸の塩焼き。冷凍しても、鱸はOKのようである。


さて、煮干の粉の、味噌汁。
これは、はっきりいって、ダメ、で、あった。


なにかいうと、苦くて、とても飲めたものではない。


出汁が濃く出るのはよいのだろうが、
腹を取らずに丸のまま粉にしたので、
苦味もすべて、出てしまった、ということであろう。


腹を取って、粉にしたらどうなのか。
これは濃くなってよさそうだが、結局、漉す、という
手間が一つ増えるだけ、という気もする。


うーむ。
いつもの方法が、やはり、ベストであったか、、、。