浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



有楽町・広東料理・慶楽

dancyotei2008-11-18

11月15日(土)夜


さて、夜は内儀(かみ)さんの希望で、
有楽町の広東料理や、慶楽


ここには、随分昔から、いっている

この日記を書き始めた初期


これはまだ、名古屋へ単身赴任をしていた当時、
東京に出張で戻ってきた時のもの。


これが98年で、10年前、で、あるから、
もっと前から。


そもそも、慶楽の創業はいつ頃かというと、
昭和25年という。
戦後5年経った頃。


慶楽の場所は、有楽町のJR線路の脇、日比谷側。
この頃のあのあたりは、どうだったのだろうか。
まだまだ、闇市の雰囲気は、色濃く残っていた、のではあるまいか。


あの線路脇の路地は、今でもなんとはなしに、そんな雰囲気を
残しているような、気もする。


JRのガードというのか、高架は、あのあたり、レンガが
まだ残っているし、御徒町や神田、新橋などと同様、
高架下の飲食店やらも店や業態は代わってはいるが
依然として存在をしている。


慶楽の並びには、同じような一間ほどの間口の店が、
ビルにはなっているが、軒を連ねている。


そんなこんな、で、あるが、
今日は、東京の中華料理店について考えてみよう。


今、街角のラーメン屋から、最近開店のお洒落な
四川やら、広東やらの、ヌーベルシノワ
あるいは、また、最近になって来日しているのか、
中国人がやっている中国料理店。
こういう店も、今の東京には少なくない。
こんな具合に、様々な系統がある。
そして、もう一つ、この慶楽のような
東京でももはや老舗といってよい、中華料理店。


どの系統も、それぞれ、うまい、のではあるが
老舗、というのは、独自な世界を展開しているように思う。


一般に、今、東京のグルメ(マスコミ?)界では、
二系統がもてはやされている。
なにかというと、先に挙げた、新規開店のヌーベルシノワ(?)
のようなお洒落な中華で、新しい試みをしているようなシェフの店。
もう一つは、ちょっと、B級だが、中国人の作る、
本場のローカルな味を出しているようなところ。


むろん、これらもよいのだが、老舗、では
本場の中華の味から、大分に日本人の舌に合わせられている。
これを、よし、とはしない、あるいは、珍しくもない、
と切り捨てられている、ような気もするのだが、
私は、贔屓をしたいと、思っているのである。


具体的には、今日の、慶楽、チェーンであるが、銀座アスター
あるいは、神保町の揚子江菜館、、。
銀座アスター揚子江菜館も、池波レシピ、で、ある。
揚子江菜館は、創業明治38年銀座アスターは昭和元年という。)


戦前、もしくは、戦後すぐからやっている東京中華の老舗。
懐かしい、安心できる東京人の中華料理。
これはもう既に、東京の味と、いってよいだろう。


(名古屋に住んでいた時に、わかったのだが、
これは東京独自のこと、のようである。
名古屋には、東京にあるような、街角のラーメン屋兼
中華料理店、のようなものは、東京ほどには、ないのである。
横浜や神戸、はたまた長崎などはまた違っていようが、日本全国、
中華料理が昔からあった、ということではない。
東京は、おそらく日本の中でも、中華料理店の密度は
そうとうに高い、のではなかろうか。)


ともあれ、そんな私が贔屓をしたい東京中華の老舗の一角、
広東料理、有楽町の慶楽。


19時の内儀さんとの待ち合せにため、
18時、元浅草の拙亭を出る。


稲荷町から銀座線にのって、銀座まで。
30分もかからず、銀座に着く。


銀座四丁目の交差点に出て、晴海通りの左側を
数寄屋橋方向に歩く。
このあたりも、みな、ブランドショップになっている。
この並びに、マツキヨがあるが、看板は、ここのカラーの
黄色地に黒ではなく、白地。
周りの雰囲気に配慮しているのであろう。


数寄屋橋東芝ビルに入っているチェーン店でワイシャツを買う。
(ここは元、旭屋という本屋であった。)


ここから、真っ直ぐに、慶楽まで。
数分前に着いたので、店の前でしばらく待っていると、
19時ちょうどに内儀さんはきた。


店に入る。
土曜の夜など、ここは特段混むわけではない。
従って予約もなし。


上の階もあるが、1階の奥のテーブルを案内される。


座って、まずはビール。


それから、焼売。
青菜炒め、空芯菜
牛バラ肉かけご飯。ここにきたら、これは外せない。
内儀さんの希望で、水餃子。


こんなところを、頼む。


焼売。





おそらく、過去に食べたことがあると思う。
比較的、小ぶり。
味は、軽い、というのか、さっぱりしている。
しかし、懐かしい味ではあり、うまい。


空芯菜





牛バラかけご飯。





これは、中華では、比較的珍しくない、
定番ともいってもよいようなメニュー、なのであろう。
しかし、私は、ここで覚えたような気もするし、
他ではあまり食べたこともない。


自作もしたりしている。


味は八角が多少利いた、甘辛のしょうゆ味。
牛バラ肉は柔らかく煮込まれている。


これが抜群に、うまい。


水餃子。





スープはしょうゆ味。


これは、餃子がうまい。
餃子といっても、形が餃子であるだけ。
中の具は、海老なども入った、いわゆる点心。


腹一杯、腹一杯。



東京中華の老舗。
どれもうまい、慶楽、で、ある。





慶楽
住所 東京都千代田区有楽町1−2−8 慶楽ビル
電話 03-3580-1948