浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



日本橋本町・うなぎ・大江戸

dancyotei2008-11-12



11月8日(土)第二食


昨日の続きなのだが、
歌舞伎座


たまたま、飛び込んだ演目を見た、という状態ではあった。
運よく、といったらよいか、3階席の昼の部の席が手に入り、
二つの演目を見ることができた。


昼の部がはね、1階席まで、降りてきてみる。


ここを見ると、やはり、一度、1階席、桟敷だったり、
花道のそばだったり、で、観てみたくなる。


値段もそれなりだが、遥か彼方の最後列からよりは、
やはり、よいであろう。


こうした普通の席のお客さんは、まあ、7〜8割は、女性。
3階席は、思った以上に若い女性なども見かけた。
また、いわゆる、着物を着た、お金持ちそうな
おば様、という方々ばかりかと思ってもいたが、
それほどでもない、という印象であった。
今日は、地味な日だった、のか、
今どきのおば様は、着物、でもないのか、、。


ともあれ。


この文章を読んでいただいている方で、
歌舞伎というものを観たことのある方、というのは
どのくらい、いらっしゃるのだろうか。
(あるいは、歌舞伎座で観たことのある方は?)


落語ファンと、歌舞伎ファンというのは、
あまり重なっていないようには、思う。


私などは、落語の入口が、立川談志家元であったから、
歌舞伎よりは、絶対落語の方が、偉い!、ぐらいに、
思っていたりした頃もあったのも事実である。


庶民のものは、落語だ、ということもあっただろう。


しかし、今はともかく、歌舞伎は本来、
江戸東京の、特に下町の庶民のものであったことは
いうまでもない。


むろん、今のように、女性だけではなく、
男、それも職人だって、なんだって、みんな
歌舞伎が好きだった。


戦後、昭和30年代以降であろう、
大人の男が歌舞伎を観にいかなくなった、と、
池波先生も書かれている。


今、私が、思い出したようにだが、歌舞伎を観にいくのは、
やはり、勉強、という意味も多少はある。
しかし、観てみたり、さらに調べてみたりすると、
それなりに、おもしろいし、やはり、紛れもなく、
江戸東京の文化であることが実感されてくる、
のである。


(一方で、今の寄席、には足を運ぶ気にあまりならないのが
対照的かもしれない。正直のところ、大看板がどんどん
亡くなっていき、談志師匠は、痛々しくて見られず、
さらに、この人を追いかけたい、という人も見当たらない、
というようなことなのである。)


さてさて。
なにを食べようか、考えながら、歌舞伎座を出て、
おば様、お姉さま方でごった返す、歌舞伎座前。


ガードレールにくくり付けた、自転車をはずし、走り始める。
歌舞伎座のお弁当にはきてみてわかったのだが、
色々なものがある。


文字通り、幕の内各種。
それから、新富鮨の鮨。
築地宮川本廛のうなぎ、まであった。


これを見て、先週食べたばかり、ではあるが、
どうも、頭に、うなぎが引っ掛かっていた。


宮川本廛へいってみようか、とも思ったのだが、
なんとなく、ここには(またもや)いい印象がない。
で、あれば、、、日本橋までいき、大江戸、という
結論になった。


ここは、一度だけだが、きたことがあった。


そして、確か、ここ名物の、いかだ、が、
土曜日は、割引、ということを覚えていたのである。


きた道を戻り、日本橋本町。
昭和通りの東側。


このあたりは、完全なオフィス街で、
土曜日は、人通りはまばら。


ちなみに、この界隈のオフィス街は
大手製薬会社が軒を連ねている。
実は、これ、江戸時代から、なのである。
今、このあたりのビルの大手製薬会社は、
もともと、この地にあったのかは、調べていないので
わからないが、江戸の頃も、日本橋本町といえば、
生薬(問)屋、というのが、決まりものであった。
(さらに、どうでもいいが、
製薬会社でいえば、大阪というのが、本家である。
この日本橋本町にあたるのが、大阪は、道修町
武田、田辺、なんというところが、江戸から続く老舗。)


ともあれ。


江戸通りを渡って、すぐのところが、
大江戸。


店前に、割引、というのも書いてある。


5時前、入ってみる。


と、お客は、なし。
まあ、こんな時間である。


ここは、座敷もあるが、そちらは、
予約や、宴会用なのであろう。


椅子席。


なのだが、半個室、というのか、
暖簾が下がって、顔が見えないような
机の造りになっている。


お好きな所に、というのだが、一人で来て、
他に客もおらず、顔の見えないところに座る意味も
あまりないだろうと、広い、外のテーブルに座る。


寒かったが、自転車をこいできたので、やっぱり
のどが渇いた。ビールをもらう。


それから、つまみは、あんきもの煮たもの、
珍しいので、それも。


それから、いかだの3000円の。
割引、といっても、150円だけ。


あんきも





これは、うまい。
普通は、蒸して、ぽん酢しょうゆで食べるが、
甘辛く煮たのは初めて、で、ある。


ばくばく、食ってしまう。


お重。









さすがに、でかい。
でかいだけでなく、味もよい。


味付けは、比較的、濃い目であろうか。


お重も大きいので、飯の量も多い。
食った、食った。腹一杯。



勘定をして、出る。



再び、自転車に乗り、帰り道。




歌舞伎を見て、うなぎを食って。
(うなぎは、2週続いているが)
充実した、土曜日である。




ぐるなび