10月5日(日)昼
さて、日曜日。
今日は、近所に住む友人夫婦と昼、飯を食う、
ことになっていた。
もともと、旦那の方が、知り合いであるのだが、
その奥さんがこの日記を読んでいて下さり、
ご近所だし、是非夫婦で、というお誘いであった。
そして、場所も指定。
御徒町のとんかつや、本家ぽん多。
上野、御徒町は日本のとんかつの発祥の地、
と、呼ばれており、この件に関して、昨年、少し考えてもみたりした。
現在も、上野、御徒町には蓬莱屋、双葉、ぽん多、井泉など
老舗も多い。
ぽん多は二軒。ごく近所だが、
中央通りを渡った、天神下に蘭亭ぽん多、
というのもある。
創業は、「本家」ぽん多の方が明治38年。
蘭亭の方は戦後すぐ、昭和21年あたりのようで、
「本家」の方が、古い。(現在は関係はないよう。)
12時に予約と、いうことで、元浅草の拙亭から、
内儀(かみ)さんと二人、15分前に出て、自転車で向かう。
(私は、内儀さんに5分で着くよ、といったのだが、
こういところ、内儀さんの性格、なのである。
人との待ち合わせには、早く出ないと、気がすまない。)
本家ぽん多は、こちらからいくと、ちょうど、
竹町公園の南の通りを真ぁ〜直ぐに、いったところ。
昭和通りも渡り、JRもくぐり(ちょうど、青葉などがある、
ラーメン横丁のガード。そういえば、最近ここに、
蒙古タンメンができている。開店すぐにきてみたら、
おそろしい行列で、素直に、青葉へいったのであった。)
少し、右に道はカーブするが、道なりに、中央通りに出る、
すぐ手前。
ここにこの店があることも、むろん知ってはいたが、
くるのは初めて。
一応、以前に使ったものだが、江戸の地図も出しておこう。
今、松坂屋の南館のあたりで、中央通りが
カーブをしているが、ここが、江戸の頃は、
クランクになっていた。
この地図で、上野新黒門町、としてあるあたりから、
その南側の武家屋敷の北側が、今の、本家ぽん多の
あるところと、思われる。
黒門町といえば、落語ファンには、先代桂文楽師。
師がこのあたりに住んでいたので、黒門町の師匠と
いわれていた。
黒門の由来は、上野寛永寺の門が黒かったので
ということ。
明治になり、黒門町はこちら、中央通りの東側と
西側、両側にでき、今の黒門小学校は西側にある。
ともあれ、
案の定、少し前に着いてしまった。
店は、新しいが、老舗らしい重厚な表。
創業明治38年、と、表記された看板もかかっている。
天気もよい。
店前のガードレールに腰掛けて、待つこと数分。
12時ちょうどになり、入ってしまう。
予約をした友人の名前をいうと、やはり、こちらが先で、
二階のテーブル席を、案内される。
一先ず、二人で座ると、すぐに、友人夫婦も到着。
お昼であるが、ビール。
お通し。
これ、蛤、なのであるが、うまい。
うす衣のから揚げにしょうがじょうゆ、で、特段のものが
入っているのではないのかも知れぬが、そうとうに、気を付けて
味付けされているようである。
ここは、かつは、一種類のよう。
カツレツ、2,625円 。
それから、友人の奥さんが、どうも、イカフライがうまいらしい、
という噂も聞きつけ、一つ、イカフライも。
呑みながら、話しながら、待つと、
きた。
カツレツ。
アップ
見た目、かなり、白っぽい。
この種のとんかつも、あるには、ある。
食べてみると、、、
そうとうに柔らかい。
白い衣は、色だけでなく、実際にふんわりと揚げられ、
さらに、肉自体も、柔らか。
おそらく、筋を丹念に切っているのではなかろうか。
脂身はまったくとられている。
寿のすぎ田などとは、まったく別物であるが、これはこれで、
十分に、うまいであろう。
うまいと、噂の、イカフライ。
これも、やわらかい。
うまみの濃い肉厚のいかが、よい食感で、揚げられている。
そして、もう一つ、落とせないのが、ご飯。
とんかつやのご飯、いや、というよりも、下町の食いものやの
ご飯は、というべきか、こうあらねばならない。
なにかというと、シャキッと、堅めに炊かれていること。
(すぎ田もそうだし、最上なのは、うなぎや、で、あるが、
雷門の、色川。
これほどの、シャキッとした飯を炊く食いものやは、なかろう。)
これだけでも私などは、納得してしまう。
ともあれ。
なるほど、噂通り、吟味をし、丁寧に、また、時代を越えて、
伝えられてきた、カツレツ、とんかつ、であろう。
うまかった。
勘定をし、店前で再会を約し、二人と別れる。
P.S.
この奥さんは、著名なイラストレーター、画家、樋上公実子さん。
〒110-0005 東京都台東区上野3-23-3
03-3831-2351